2019/03/28

ガラケーからスマホまで! auケータイ・オブ・ザ・イヤーで平成を振り返る

2018年9月末時点で、携帯電話の契約数は約1億7538万件。昭和の終わりにショルダーフォンが誕生し、ケータイが我々の生活に浸透していったのが、まさに平成という時代。

今回は、平成元年(1989年)から平成30年(2018年)という30年のあいだに発売されたauケータイの中から、各年を代表するケータイを「auケータイ・オブ・ザ・イヤー」として発表。当時の話題性と、auケータイ図鑑のハートボタンの数とで「auケータイ・オブ・ザ・イヤー」として選定。各年を代表するケータイと平成ケータイ史を、当時のできごとと共に振り返ってみよう。

auケータイ・オブ・ザ・イヤーとは?
ショルダーフォンの誕生から約30年に及ぶ携帯電話の歴史を振り返り、KDDIの前身である日本移動通信(IDO)やDDI-セルラー、ツーカー時代の携帯電話から現在のスマートフォンまで網羅した「auケータイ図鑑」のなかから、当時の話題性や、サイト上の「ハートボタン」数をもとに選定した。

<目次>

平成30年(2018年)
INFOBAR xv/au Design project

INFOBAR xv

平成最後のau Design projectはストレートタイプ

「INFOBAR」の15周年記念モデルが、この「INFOBAR xv」。初代「INFOBAR」のデザインを踏襲し、テンキーストレートタイプのボディで、タッチパネルやインカメラはあえて搭載していない。これは、ファンからの熱い声に後押しされたau Design projectがスマートフォン全盛の世に投げかけたひとつの回答だった。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、カーリング女子日本代表が試合中に話していた「そだねー」が受賞。「今年の漢字」は北海道胆振東部地震、大阪府北部地震、西日本豪雨など、災害の脅威が各地を襲ったことから「災」に。SNSの世界では、2017年に日本に上陸したショート動画アプリ「Tik Tok」が女子高生の間で爆発的にヒット。音楽ではDA PUMPの『U.S.A.』が話題に。若者の関心が「写真映え」から「動画映え」に移行した年だった。

平成29年(2017年)
AQUOS SERIE mini SHV38/SHARP

AQUOS SERIE mini SHV38

女性でも片手で操作可能なコンパクトボディ

「カメラもいいね。手の中にここちよく収まるプレミアムなコンパクト」というキャッチコピーとともに登場。幅約67mmのコンパクトなボディは女性でも片手でラクに操作できる。カメラは約2,100万画素の高精細CMOSセンサーを搭載し、薄暗い場所でも明るくきれいに自撮りができると評判を呼んだ。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、この年に表面化した森友学園問題と加計学園問題に際して用いられた「忖度(そんたく)」が受賞。ビジネス界ではプレミアムフライデーが初めて実施され、将棋界では中学生プロ棋士の藤井聡太が公式戦新記録となる29連勝を記録している。音楽業界では安室奈美恵が2018年での引退を表明。ベストアルバム『Finally』は200万枚を突破する大ヒットとなった。

平成28年(2016年)
Xperia XZ SOV34/Sony Mobile Communications

Xperia XZ SOV34

上質感あるデザインでハイレゾ音源にも対応

高純度メタル素材採用の一体感のある上質なデザインと、ハイレゾ音源の再生に対応したオーディオで人気を集めたモデル。カメラ機能にはXperia史上初となる、3つのセンサーが搭載され、暗がりでのシーンでも鮮明な撮影が可能に。電源ボタンには指紋認証センサーが搭載され、自然な動作でのロック解除を実現した。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、プロ野球で2試合連続サヨナラホームランを放った広島カープの鈴木誠也について緒方監督が評した「神ってる」が受賞。広島カープはこの年から3年連続でリーグ優勝を果たすことになる。また、スマホ向けのゲームアプリ『ポケモンGO』が大流行。映画では新海誠監督の『君の名は。』、動画ではピコ太郎の歌う『ペンパイナッポーアッポーペン』(PPAP)が話題に。さらに、「Instagram」のユーザー数が1,000万人を超え、「インスタ映え」という言葉も誕生した。

平成27年(2015年)
TORQUE G02/KYOCERA

TORQUE G02

アウトドアシーンで役立つアプリを搭載

世界初の耐海水性能を備え、水中撮影も思いのままになった。また、波のサイズや風の状態など、サーフポイントのコンディションをチェックできる「なみある?」、現在地や登山ルートの情報サポートする「YAMAP」など、海や山などのアウトドアシーンで活躍するセンサー連携アプリを標準搭載している。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、中国人観光客の買い物の様子を表した「爆買い」が受賞。訪日外国人数が約1,974万人と過去最高を記録している。若者のあいだではハロウィンに大騒ぎをする文化が変転し、池袋ではアニメのコスプレイベントとして定着。一方で女性には、天使、宇宙、小動物などのモチーフを指す「ゆめかわいい」というキーワードが流行した。音楽ヒットチャートはAKB48の『僕たちは戦わない』が178万枚を売り上げ、トップを飾った。

TORQUEの当時のカタログ 当時のカタログ

平成26年(2014年)
isai VL LGV31/LG Electronics

isai VL LGV31

フルHDを超えるWQHDディスプレイを搭載

auの4G LTEを活用した最新の音声通信サービス「au VOLTE」に対応。フルHDを超えたWQHDディスプレイは、PCサイトも無理なく表示できた。また、本体を振るだけで情報入手、壁紙・アイコンの設定変更、画像編集などが可能な「isaiモーション」が搭載された。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、2013年と2014年の『キングオブコント』に2年連続で準決勝に進出した女性お笑いコンビ、日本エレキテル連合の「ダメよ〜ダメダメ」が受賞。社会面では17年ぶりの増税で消費税率が5%から8%に引き上げられた。また、昼の長寿番組『笑っていいとも!』が32年間の歴史に幕を下ろす。若者のあいだでは、コミュニケーションアプリ「LINE」のスタンプ利用が爆発的に広まり、大きな話題に。

平成25年(2013年)
GALAXY Note 3 SCL22/SAMSUNG

GALAXY Note 3 SCL22

タッチペンと連携した多彩な操作方法

Noteシリーズの象徴であるタッチペン「Sペン」の機能が強化されたモデル。ペンで画面をタップしながら呼び出せる「エアコマンド」や、手書きで入力した数字や文字をデジタルデータとして利用する「アクションメモ」など、Sペンと連携させた多彩な操作性が話題を呼んだ。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、林修先生の「今でしょ!」、滝川クリステルの「お・も・て・な・し」、ドラマ『あまちゃん』で話題になった「じぇじぇじぇ」などが受賞。また、富士山が世界文化遺産に登録され、楽天イーグルスの田中将大が開幕から24連勝という日本プロ野球新記録を達成。ファッションでは人気モデルのローラが、ハイウエストのショートパンツやスキニーパンツ人気に火を点けた。また、音楽ヒットチャートにはSKE48、NMB46、乃木坂46などのAKB48グループが常連入りし始めた。

平成24年(2012年)
HTC J ISW13HT/HTC

HTC J ISW13HT

「まばたきよりも早い」オートフォーカス機能

HTCとKDDI共同開発の日本特別仕様モデル。Beats製の高音質イヤホンを同梱していたほか、カメラにはまばたきよりも早いオートフォーカス機能とF値2.0のレンズを搭載。また、下り最大40MbpsのWiMAXに対応。テザリングも利用できた。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、『R-1ぐらんぷり』の準優勝でブレイクしたお笑い芸人、スギちゃんの持ちネタ「ワイルドだろぉ?」が受賞。東京では173年ぶりとなる金環日食が観測され、日食グラスが爆発的に売れた。また、東京スカイツリーと周辺施設を含む「東京スカイツリータウン」が開業。原宿を中心に女子のあいだでは小顔に見えるとして「伊達メガネ」がファッションアイテムとして定着。

HTC J ISW13Hの当時のカタログ 当時のカタログ

平成23年(2011年)
INFOBAR A01/iida

INFOBAR A01

「INFOBAR」、スマホ仕様に

独特なカラーリングがひときわ目を引く「INFOBAR A01」。液晶画面の下に配された3つのボタンも大きな存在感を放っている。このモデルからINFOBARシリーズはスマホ仕様になり、独自OSからAndroid OSに変更。機能やアプリケーションを自由にカスタマイズできるようになった。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、サッカー女子日本代表チームの愛称「なでしこジャパン」が受賞。一方で、女子高生のあいだではさまざまな言葉の語尾に「ぽよ」を付けるブームが到来。「ktkr(キタコレ)」などの省略語も流行した。音楽ヒットチャートでは1位から5位までをAKB48が独占し、国民的人気が不動のものとなった。また、マグニチュード9で甚大な被害をもたらした東日本大震災が発生した年だった。

INFOBAR A01の当時のカタログ 当時のカタログ

平成22年(2010年)
IS03/SHARP

IS03

現在のスマートフォンの定型が完成

ワンセグや赤外線通信など、フィーチャーフォン独自の機能に対応したスマートフォン。メインで使える9.6メガカメラを搭載したタッチパネルスマートフォンで、国内のAndroid搭載スマートフォンとしては初となるおサイフケータイ対応端末。現在のスマートフォンの定型であるストレートタイプでタッチパネルを実現した。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞では、大島優子が1位に返り咲いた「選抜総選挙」が大きな話題となり、「AKB48」がトップ10に選出。また、スマートフォンの爆発的な普及が始まった。フードでは『日経トレンディ』誌の「今年のヒット商品」1位に選ばれた「食べるラー油」やモンドセレクション金賞に輝いたローソンの「プレミアムロールケーキ」などがヒット。年間ヒット曲ベスト10はAKB48と嵐とで独占した年だった。

平成21年(2009年)
Cyber-shot ケータイ S001/Sony Mobile Communications

Cyber-shot ™ ケータイ S001

180カ国以上で使える「グローバルパスポート」

カメラ機能では世界初となる「おまかせシーン認識」を搭載。夜景、逆光、人物、風景とシーンに応じて露出やシャッタースピードを自動で調整してくれる。また、世界180カ国以上でそのまま使える「グローバルパスポート」に対応。GSM、CDMAのデュアルローミングによって日本人の渡航先の約99.8%をカバーした。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、蓮舫議員が先頭に立って国家予算の削減を目指した「事業仕分け」などがトップ10に選出。アメリカ発のSNSであるTwitterが世界的に流行し、日本にも上陸。「草食系男子」というフレーズが流行し、これに相対する言葉として「肉食系女子」という言葉も生まれた。

Cyber-shot ™ ケータイ S001の当時のカタログ 当時のカタログ

平成20年(2008年)
Sportio/TOSHIBA

Sportio

コンパクトなパーソナルトレーナー

ランニングやウォーキングをサポートする専用アプリとの連携に重点を置いたスポーツ向けモデル。運動中でも携帯しやすく、ボディは超コンパクトサイズのストレートタイプであったため、キー配列が独特だったが、サイドカーソルキーや側面にボタンが配置されるなどスマートな操作性を実現していた。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、『24時間テレビ』でチャリティーマラソンランナーを務めたエド・はるみの持ちネタ「グ〜!」が受賞。Apple社製のスマートフォン「iPhone」が日本で初めて発売され、女子高生のあいだではマクドナルドの新食感デザート「マックフルーリー」が大ブームになった。また、「Care Bears(ケアベア)」を始めとするクマ系キャラが人気に。音楽ヒットチャートでは『truth/風の向こうへ』『One Love』で嵐が1位と2位を独占した。

平成19年(2007年)
INFOBAR 2/au Design project

INFOBAR 2

「溶けかけた飴」をイメージしたフォルム

au Design project第7弾モデルとなったのが、この「INFOBAR 2」。初代「INFOBAR」の思想を継承しつつ、「溶けかけた飴」をイメージしたという丸みを帯びたフォルムに生まれ変わった。外部に出ていたアンテナは内蔵され、WINケータイ(CDMA 1X WIN端末)としては初のストレート型端末でもある。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、当時の宮崎県知事・東国原英夫の「(宮崎県を)どげんかせんといかん」が受賞。高校生の携帯電話の所持率が男女ともに約9割に達し、校内の公衆電話が次々に撤去された。クリスピー・クリーム・ドーナツや花畑牧場「花畑牧場生キャラメル」がブームになり、各所で長蛇の行列や品切れなどが続出。スポーツ界ではゴルフツアーで15歳8カ月という史上最年少優勝を果たした石川遼が「ハニカミ王子」として一躍人気者になった。

INFOBAR 2の当時のカタログ 当時のカタログ

平成18年(2006年)
ウォークマン® ケータイ W42S/Sony Mobile Communications

ウォークマン® ケータイ W42S

音楽機能を強化した国内初の「ウォークマン」ケータイ

ソニーが昭和54年から販売を始めたポータブルオーディオプレイヤー「ウォークマン」。この「W42S」は国内で初めて「ウォークマン」の名を冠したモデルで、約30時間連続再生や頭出し・早送りも可能。音楽操作専用のリモコンも付属していた。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、フィギュアスケートの荒川静香が披露した「イナバウアー」が受賞。同じ携帯電話番号のままほかの通信会社に乗り換えられるMNP(モバイルナンバーポータビリティ)が始まった。若者のあいだでは新しいタイプのSNS「mixi」が大流行した。ファッション雑誌『小悪魔ageha』が創刊され、「アゲ嬢」と呼ばれる女性が増加。また、テレビアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』がヒットし、エンディングテーマの『ハレ晴レユカイ』はカラオケの定番ソングとなった。

ウォークマン® ケータイ W42Sのカタログ 当時のカタログ

平成17年(2005年)
PENCK/au Design project

PENCK

アンテナを内蔵した、角のないなめらかボディ

つるりとしたタマゴ型のフォルムが特徴。アンテナを内蔵し、角や突起をなくしている。デザインはグラフィックデザイナーのサイトウマコトが手がけた。当時の携帯電話としてはトップクラスの124万画素CCDカメラを搭載。液晶側のヒンジ部近くにスピーカーを配置した。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、ライブドア騒動の際に当時の社長・堀江貴文が連発した「想定内」というセリフが受賞。愛知万博「愛・地球博」が開催され、イメージキャラクターの「モリゾー」「キッコロ」が人気者になった。また、掲示板サイト「2ちゃんねる」(現5ちゃんねる)への書き込みを元にした恋愛小説『電車男』が映画化され、最終的な興行収入が37億円と大ヒット。元祖若者SNSとされる『前略プロフィール』が女子高生を中心に流行し始めた。

PENCKの当時のカタログ 当時のカタログ

平成16年(2004年)
talby/au Design project

talby

ケータイデザインの最先端と呼ばれた「フラットデザイン」

ケータイデザインの最先端と言われた「talby」は、世界的に人気のプロダクトデザイナー マーク・ニューソンによるデザイン。フラットなボディに高精細QVGA液晶、Flashによるアニメーションを利用したリスト式メニュー、バーコードで目的地設定も簡単なEZナビウォークなどのさまざまな優れた機能を搭載した。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、水泳日本代表の北島康介の口から出た「チョー気持ちいい」が受賞。テレビ界ではNHKで5カ月にわたって放送された連続ドラマ『冬のソナタ』が大ヒットし、主演のヨン様人気も相まって韓流ブームの先駆けとなった。また、平成13年に発売された片山恭一の青春恋愛小説『世界の中心で、愛をさけぶ』が漫画化、映画化。若者を中心に火が付き、この年に書籍も300万部を超える大ベストセラーとなった。

平成15年(2003年)
INFOBAR/au Design project

INFOBAR

「INFOBAR」シリーズの初代モデル

“デザインケータイ”という新ジャンルを築き上げたau Design projectのファーストモデルであり、プロダクトデザイナーの深澤直人が手がけたバータイプの携帯電話、「INFOBAR」シリーズの初代モデルでもある。厚さ11.4mm、重さ87gのコンパクトボディで、無駄のないスクエアフォルムと四角くて大きなタイルキーが特徴だった。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、この年に行われた総選挙で各政党が掲げた政権公約を指す「マニフェスト」が受賞。また、六本木ヒルズと六本木ヒルズ森タワーが同時開業し、東京都心の風景を大きく変えた。女子高生の必須アイテムはシールなどでかわいくデコる「スケジュール帳」。日本で『冬のソナタ』がブームになったのもこの年。音楽業界ではSMAPの『世界に一つだけの花』が大ヒットした。

talbyの当時のカタログ 当時のカタログ

平成14年(2002年)
A3012CA/CASIO

A3012CA

35万画素の高感度カメラを搭載

最大の特徴は、総画素数35万画素の高感度カメラを搭載していていたこと。露出の設定や4倍ズームが可能になるなど、携帯電話のカメラ機能にさらなる磨きをかけたモデル。また、最大26万色相の「CrystalFine液晶」で画像を美しく表現し、最大40和音で高品質なサウンドも楽しめる。閉じているときはサブディスプレイに時計や電波状況が表示された。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、多摩川に現れたアゴヒゲアザラシの「タマちゃん」が受賞。当時の小泉首相もコメントするほどの大きな話題となった。プリクラの機能がどんどん進化し、女子高生のあいだで「盛れるプリ機」が大流行。また、アイフルのテレビCMでチワワの「くぅ〜ちゃん」がお茶の間で大人気に。

A3012CAの当時のカタログ 当時のカタログ

平成13年(2001年)
C5001T/TOSHIBA

C5001T

動画再生機能を搭載した「ムービーケータイ」

スマートなデザインの折りたたみタイプで、電話やメールの着信時には本体背面で7色のイルミネーションが光る。高精細ポリシリコンTFT液晶を搭載し、デジタルステレオサウンドによる高音質を実現。au初となる動画再生機能を搭載した「ムービーケータイ」で、約800KBの大容量データが収録可能だった。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、「骨太の方針」や「聖域なき構造改革」などを含む「小泉語録」が受賞。東京ディズニーシーとユニバーサル・スタジオ・ジャパンがそれぞれオープンした。また、JR東日本が東京圏でIC乗車カード「Suica」のサービスを開始。お笑い界では「M-1グランプリ」がスタートし、初代優勝者は中川家だった。また、メジャーリーグに移籍したイチローが新人王とMVPを受賞した。

平成12年(2000年)
C303CA/CASIO

C303CA

業界初の耐水・耐衝撃ボディ

同メーカーの腕時計「G-SHOCK」にも似たデザインと、業界初の耐水・耐衝撃ボディを備えた初代"タフネスケータイ"。携帯電話としては当時最速だった高速データ通信「PacketOne」対応でアクセスもスムーズ。イラストも見やすい高精細大画面液晶ディスプレイを搭載し、AI辞書変換機能&ユーザ辞書搭載で文字入力も大幅に効率アップした。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、慎吾ママの「おっはー」と、IT技術の変革によって社会や経済に大きな変化をもたらす「IT革命」が受賞。出会い系サイトにまつわる犯罪が増え、大きな社会問題となった。また、2000年と沖縄サミットを記念して2,000円札が発行されたほか、「プレイステーション2」が発売された。若者のファッションでは「腰パン」や「厚底ブーツ」が流行。CDのヒットチャートではサザンオールスターズの『TSUNAMI』が289万枚を売り上げ、年間トップとなった。

C303CAの当時のカタログ 当時のカタログ

平成11年(1999年)
C201H/日立

C201H

当時唯一だったEZアクセス対応端末

携帯電話の常識を変えた先進モデルが、当時唯一のEZアクセス対応端末「C201H」。第二世代携帯電話(2G)の通信サービスであるcdmaOneによって通話音声は格段にクリアになり、最大2,000文字までのEメール送受信や情報検索も可能で、大型液晶画面、3WAY文字入力、多機能電話帳などの機能も魅力的だった。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、「ブッチホン」(当時の総理大臣だった小渕恵三氏が誰彼構わず唐突に電話をかける様)や、「iモードサービス」「2000年問題」などがトップ10に選出。電話番号が1桁増えて11桁になり、010、020、030などの冒頭番号はすべて090に統一された。音楽業界では『だんご3兄弟』が250万枚を超える大ヒットを記録し、渋谷の街にはガングロギャルがあふれかえっていた。

平成10年(1998年)
523G/パイオニア

523G

画期的な全面液晶タッチパネルを採用

当時としては画期的な全面液晶タッチパネルを採用し、この年のグッドデザイン賞も受賞した。現在のタッチパネルタイプの携帯電話の先駆け。大画面ゆえ、長いプチメールも1画面で表示。多機能電話帳、予約メール、スケジュールメモといった多彩な機能が搭載されていた。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、セクシーお笑いコンビ、パイレーツの「だっちゅーの」が受賞。映画では『タイタニック』の大ヒットに加え、『踊る大捜査線 THE MOVIE』が観客動員700万人、興行収入101億円を記録している。また、CD生産枚数が計約4億5717万枚と国内史上最高となり、CDバブル絶頂期が到来。そんななか、X JAPANのHIDEの訃報が。ヒットチャートのトップは161万枚を売り上げたGLAYの『誘惑』だった。

平成9年(1997年)
511G/ソニー

511G

「クルクルピッピッ」のジョグダイヤル

「クルクルピッピッ」のジョグダイヤルで指一本のラクラク操作が人気を集めたソニーの「511G」。超薄型の小型軽量モデルでありながら、最大300件登録できる電話帳のグループ登録、マイクの感度が上がって小声で話しても相手に伝わる「ささやきモード」などの機能を搭載し、SMSのプチメールにも対応していた。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、累計300万部以上を売り上げた渡辺淳一の小説のタイトル『失楽園』が受賞。消費税が3%から5%に引き上げられ、「プリウス」「たまごっち」「キシリトール入りガム」などのヒット商品が生まれた。若者カルチャーでは、「フジロックフェスティバル」が山梨県富士天神山スキー場で初開催。音楽業界では安室奈美恵の『CAN YOU CELEBRATE?』が222万枚の大ヒットを記録している。

平成8年(1996年)
T217/モトローラ

T217

世界最小、超軽量モデル

世界最小で約90gという超軽量モデル。バイブレーター機能搭載の「スタータック」は折りたたみ式で、オープン時は下にディスプレイとダイヤルキーを搭載していた。携帯電話のデジタル方式への移行が進むなか、アナログ方式にもかかわらず、それまでのケータイにない洗練されたデザインで人気を博した。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、マラソン女子日本代表の有森裕子が言った「自分で自分をほめたい」が受賞。日本国内でのSMS(ショートメッセージサービス)の先駆けであり、半角カナおよび半角英数字と絵文字が20文字まで送受信できる「Pメール」サービスがスタート。「ピッチ」と呼ばれたPHSとともに女子高生のあいだで大流行した。「たまごっち」がブームになり、テレビ番組のヒッチハイク企画で猿岩石がブレイクした。

T217の当時のカタログ 当時のカタログ

平成7年(1995年)
T212/モトローラ

T212

バイブレーター機能搭載モデル

コンパクトなボディに機能を満載したモデルで、「マイクロタック」という愛称で親しまれた。メニューアイコンで優れた操作性を実現したほか、通話中に相手の声を録音できる音声メモ機能も搭載。また、着信時に端末本体が振動するバイブレーター機能をいち早く採用したことでも話題になった。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、阪神大震災からの復興を願ってオリックス・ブルーウェーブの選手がユニフォームのワッペンに記した「がんばろうKOBE」が受賞。「PHS」が本サービスを開始し、マイクロソフト社のパソコン向けOS「Windows 95」が大ヒット。インターネット時代の幕開けとなった。若者文化ではギャル系雑誌『egg』が創刊。チビTが流行り、ミニスカートにへそ出しルックというファッションがブームになった。

平成6年(1994年)
T204/日本電装

 T204

縦一列に並ぶ斬新なボタン配置のペンタイプ

世界最小・最軽量クラスの小型軽量ペンタイプでユニークなデザインの「T204」。縦一列に並ぶ斬新なボタン配置が話題を呼んだ。ハンズフリー機能、すぐにかけられるワンタッチモード、便利で使いやすい新スクロール機能なども従来の携帯電話にはないものだった。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、テレビドラマ『家なき子』でヒロインの安達祐実が言ったセリフ「同情するなら金をくれ」が受賞。それまでレンタル制だった携帯電話機の買い取り制度を導入。基本料や通信料などの価格設定が見直され、多くの人に携帯電話が利用しやすい環境が整う。「セガサターン」「プレイステーション」が発売され、次世代ゲーム機戦争が過熱、音楽ヒットチャートのトップは181万枚を売り上げたMr.Childrenの『innocent world』だった。

T204の当時のカタログ 当時のカタログ

平成5年(1993年)
HP-321/TOSHIBA

HP-321

エルゴノミクスに配慮したウェービングフォルム

当時の国内最軽量185gを達成したのが「HP-321」。人間工学に基づいた「エルゴノミクスデザイン」のウェービングフォルムで、パンフレットには「軽さの美学」というキャッチコピーが踊った。搭載された高感度アンテナは、当時最新の技術だった。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、日本初のプロサッカーリーグとして開幕した「Jリーグ」が選出。また、デニーズのデザートメニューから話題になったナタデココが大ブームになり、女性誌がこぞってスイーツ特集を組んだ。若者のあいだではスケーター、ボーダーファッションが人気を博し、音楽ヒットチャートではCHAGE&ASKAの『YAH YAH YAH』 が241万枚の大ヒットを記録している。

平成4年(1992年)
ミニモJ J-53/三菱電機

ミニモJ J-53

シークレットメモリに秘密にしたい電話番号を登録

収納性に優れたフォルムで安定のホールド感を実現。当時としては珍しくボディカラーがアイボリーだった。連続130分の長時間通話が可能で、名前と電話番号が100件まで記憶できるメモリダイヤル付き。秘密にしたい電話番号が登録できる「シークレットメモリ設定」も装備していた。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、双子姉妹のきんさんぎんさんの「うれしいような、かなしいような」が受賞。音楽ヒットチャートでは米米CLUBの『君がいるだけで』が276万枚を売り上げた。『美少女戦士セーラームーン』がこの年、漫画とアニメでスタート。さらに、佐世保のハウステンボスが開業し、東海道新幹線「のぞみ」が運転を開始した年だった。

平成3年(1991年)
トーキョーフォン T-63/NEC

トーキョーフォン T-63

時計表示や保留メロディなどの機能を搭載

手になじみやすいソフトな曲線フォルムが特徴。モニター上の時計表示、保留中のメロディ、着信音の選択、着信音が徐々に大きくなる「ステップトーン」など、当時としてはお洒落な諸機能のほか、電源を入れた時に、ディスプレイにメッセージを表示させる「WAKE UPメッセージ」という機能も搭載されていた。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、チャーリー浜がサントリー「ポケメシ」のテレビCMで披露したギャグ、「…じゃあ~りませんか」が受賞。東京都庁の新庁舎が完成し、新宿西口の景観を大きく変えた。相撲界では横綱・千代の富士が通算1045勝という大記録を残して現役を引退。「ワンレン・ボディコン」の女性が集い「お立ち台」が話題となったジュリアナ東京がオープン。平成28年に解散したSMAPが『Can't Stop!! -LOVING-』でCDデビューした年だった。

トーキョーフォン T-63の当時のカタログ 当時のカタログ

平成2年(1990年)
ハンディフォンミニモ/松下通信工業

ハンディフォンミニモ

手のひらにジャストフィット

モトローラ「HP-501(MICRO TAC)」との小型軽量化競争に対抗して松下通信工業が開発したのが、298gと世界で初めて300gを切る超小型モデル「ハンディフォンミニモ」。電池残量目安表示や着信ランプといった機能が盛り込まれ、キャッチフレーズでもあった「手のひらジャストフィット」は世間に大きな衝撃を与えた。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、家電などの機能に取り入れられた「ファジィ」が新語の金賞、テレビアニメ放送が始まった、『ちびまる子ちゃん」が流行語の金賞をそれぞれ受賞。エンディングテーマ曲のB.B.クィーンズ『おどるポンポコリン』は累計164万枚のCDを売り上げた。また、「アッシーくん」「メッシーくん」などの流行語も生まれ、任天堂のスーパーファミコンが大ヒットした年だった。

ハンディフォンミニモの当時のカタログ 当時のカタログ

平成元年(1989年)
HP-501(MICRO TAC)/モトローラ

HP-501(MICRO TAC)

肩に担ぐ時代からポケットサイズに

元号が昭和から平成に変わる年に発売されたのが“世界最小の最先端パーソナルホン”、その名も「マイクロタック」(HP-501)だ。携帯電話は肩に担ぐ時代から折り畳んでポケットに入れる時代へと移り、携帯電話が小型軽量化へと向かうベンチマークとなったモデルでもあった。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、流行語金賞に「オバタリアン」や新語金賞に「セクシャル・ハラスメント」などが受賞。若者文化では「渋カジ」が定着し、夜の街に「オヤジギャル」が現れた。携帯型ゲーム機「ゲームボーイ」が発売され、同年に発売されたゲームソフト『テトリス』とともに大ヒット。村上春樹の『ノルウェイの森』が大ベストセラーとなり、音楽界ではZIGGYの『GLORIA』や、プリンセス・プリンセスの『Diamond』などがヒットした年だった。

HP-501(MICRO TAC)の当時のカタログ 当時のカタログ

番外編:昭和63年(1988年)
ショルダーフォン/松下通信工業/三菱電機

ショルダーフォン

IDO(当時)の最初の携帯電話

自動車内でしか使用できなかった自動車電話を外に運び出せるようにしたIDO(当時)の最初の携帯電話。重量は2.5kgと肩に担ぐには重いものの、「どこでも話せる」というのは画期的だった。利用目的で選べる車載兼用と携帯専用の2タイプがあり、車載兼用は車を運転中に自動で充電できた。

【この年のできごと】
新語・流行語大賞は、新語金賞にソ連のゴルバチョフ大統領が進めていた政治改革「ペレストロイカ」が受賞。数年前に始まった「バブル景気」真っ盛りの年で、ゲームでは社会現象を巻き起こした『ドラクエⅢ』の発売、音楽では光GENJIがオリコン年間シングル売上トップ3を独占するなど快挙。東京ドームが完成し、瀬戸大橋が開通。「ユンケル」や「リゲイン」などのテレビCMが大量に放送された。

 

平成期の通信の流れ

昭和最後の年に携帯電話の元祖となるショルダーフォンが誕生してから早30年。携帯電話の機能とデザインは年を追うごとに進化し、通信技術もアナログからデジタル、そして高速データ通信と劇的な進化を遂げてきた平成という時代。コミュニケーションはもちろん、買い物からエンターテインメントに至るまで、私たちの生活により身近な存在として添い続けてきた携帯電話。新元号へと変わる2019年には、次世代移動通信システム「5G」のプレサービスが開始される。次の時代、われわれはどのような形の携帯電話を手にし、どんな体験をすることになるのだろうか。

文:石原たきび

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