2018/12/05
振って選手を応援! 離れた場所でのサッカーサポーターの熱を数値化する試みが面白い
「テレビで観ている試合会場に自分の声援を選手へ届けられたらいいのに」「もっとファン同士で応援の熱を共有したい!」。そんなことをサッカーファンなら考えたことがあるだろう。もしかしたらその願いが叶うかもしれない。
カギを握るのは「フレフレアントンくん」だ。
フレフレアントンくんは、ぬいぐるみ型デバイス。ぬいぐるみのベースは、鹿島アントラーズ公式マスコットであるアントンくんだ。
実験的に開発されたもので、中にはセンサーが仕込まれており、試合中にフレフレアントンくんを振ると、振った数に応じた応援の熱量を数値化。スマホ経由でサーバーにデータを転送し、スタジアムのデジタルサイネージなどにリアルタイムに表示する。
スタジアムにいるファンはもちろん、自宅で中継を見ている人など、離れた場所にいてもフレフレアントンくんを振って、応援の熱量を選手たちに伝えたり、ファン同士がリアルタイムで盛り上がりを共有したりできる。これがフレフレアントンくんのコンセプトだ。
フレフレアントンくんを鹿島アントラーズのサポーターが体験!
このフレフレアントンくんのコンセプトモデル(実験機)を鹿島アントラーズのサポーターに体験してもらうため、9月1日にカシマスタジアムで開催された「鹿島アントラーズvsサンフレッチェ広島戦」のパブリックビューイングに体験用の特設ブースが設置された。
特設ブースには2体のフレフレアントンくんを用意。2人1組で一緒に振ると、振った回数がシンクロしてカウントされて、専用ディスプレイのゲージが増え、一定数を超えるとゲームクリア! 応援パワーがひとつになることで特別演出が発動し、「鹿島の神を呼びおこせ」など、熱い応援メッセージが表示されるのだ。サポーターのみなさんは、応援しながらフレフレアントンくんを振って振って振りまくり、“ゲーム感覚”で楽しみつつ、その熱量をシェアできる仕組みだ。
今回は特設ブースのディスプレイを使用したが、将来、スタジアムの巨大モニターなどに応援メッセージ表示できれば、サポーターは応援の熱量をシェアできるし、メッセージを見た選手のモチベーションもアップするはずだ。
ファンが熱量を共有できる! 観戦しながら振るのも楽しい!
この新しい応援方法にアントラーズサポーターも大盛り上がり! 全身を使ってジャンプしながら振ってくれた子どもや、「行けー!」と声を張り上げながら振りまくるサポーターなど、応援の仕方はさまざま。さっそく、実際に体験した人の声を聞いてみよう。
・終始ハイテンションで応援していた2人組
「応援の熱量を見える形で伝えられるのが嬉しいし、スタジアムで観戦しながらサポーター同士で一体感が得られるのがいいですね。あと、応援するのが単純に楽しい! 2人で振っているとかなり盛り上がります」
・休日のホーム戦はよくスタジアムに来るというファミリー
「ぬいぐるみは子どもが親しみやすいから凄くいい! 何より、試合中に子どもに渡しておけば、遊びながらずっと振ってくれるので、相手をしなくて済みます(笑)。家にアントンくんのぬいぐるみがたくさんあるので、混ぜて置きたいな。アントンくんだけじゃなく、『しかお』や『しかこ』(アントンくんのパパとママ)バージョンも欲しい!」
・ユニフォームを着たサポーターのご夫婦
「楽しいからついつい振っちゃって思った以上に盛り上がりますね。いいエクササイズになるかも(笑)。これで全国のファンと連動できるようになったら応援に熱が入ってすごく楽しいと思います。」
ほかにはこんな意見があった。
「振ってモニターのゲージを上げることが、敵サポーターと競争しているみたいで気分がアガります」
「体を動かすので自然と声が出て、いつもより応援に熱がこもります」
「振るとゲージがどんどん溜まってゲームみたいでドキドキして楽しかったです」
「通信技術がエンターテイメントに利用されていることに驚きました。とても有意義なことなので、実現に向けて頑張ってほしい」
「大好きなアントンくんと一緒に応援できて楽しかったです。可愛いから、持って帰りたーい!」
今回、体験してくれたのは全部で61名。多くのアントラーズファンがフレフレアントンくんを介して応援を共有し、大いに盛り上がってくれた。
「au未来研究所」のハッカソンから生まれた
実はフレフレアントンくん、KDDIが一般の方と一緒になって、コミュニケーションの未来を創造するオープンイノベーションプラットフォーム「au未来研究所」のハッカソン※から生まれたもの。
※ハッカソン:エンジニアなどの技術者が一定期間集中的にプログラムの開発やサービスの考案などを行い、その技能やアイデアを競うプログラム
2017年、パートナーに鹿島アントラーズFCを迎え、「Hack The Cheering サッカーの新しい応援を発明しよう」をテーマにハッカソンを開催。6つの試作品のなかからコンセプトモデル化されたのがフレフレアントンくんだったのだ。
すべてのファンの応援を会場に届けたい!
では、フレフレアントンくんの開発には一体どんな意図やビジョンがあるのだろう? 開発メンバーを代表して「かつひろさん」と「まつあきさん」に話を伺った。
「私を含めて開発メンバーの半数以上はコアなサッカーファンで、メンバーのなかにはアントラーズの全試合に行くような熱烈なサポーターもいます。僕らは応援する楽しさをよく知っているから、スタジアムに行けない人でも応援する醍醐味を体感できて、熱意を届けられるようなグッズを考えました」(かつひろさん)
実際にアントラーズファンが体験する姿を見て、「実現まで時間はかかりましたが、みなさんがフレフレアントンくんで盛り上がっている姿を見ると胸が熱くなりました」と、まつあきさんも話してくれた。
そして、自分たちがコアなサッカーファンとして応援してきた立場だからこそ、新しい応援スタイルを見出せたとも。
「応援の形はさまざまです。例えば、絶対にスタジアムで応援したいというサポーターや、テレビで応援したい人、海外から応援している人。また、応援の方法がわからない小さなお子さんや、ご年配の方、身体的なハードルがあってスタジアムに行きたくても行けない方もいらっしゃいます。みなさんそれぞれに熱意がありますが、その熱意に上下はありません。だからこそ、すべてのファンが会場に熱意を届けられるグッズをつくりたいと考えたんです」(かつひろさん)
「フレフレアントンくんによって、世界のどこにいても、スタジアムの選手に声援を届けたり、ファン同士で共有して盛り上がれたりする。そんな未来が実現するかもしれません」(まつあきさん)
スタジアム観戦と中継観戦だけではなく、その距離を超えてみんなで応援の熱量をシェアして盛り上がる。「au未来研究所」のハッカソンから生まれたフレフレアントンくんは、そんな新しい応援スタイルを提示してくれた。
文:鈴木雅矩 (スズキガク)
※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。