2018/11/22
漁師の笑顔のために! 北海道の漁師町に電波を届けた舞台裏
日本全国、いまやスマホはどこでも使えて当たり前。と言いたいところだが、例外もある。そのひとつが、海の上。海は陸に比べてはるかに広い。ゆえに、すべての海域に電波を届けるのは難しい。そうなると困る人たちがいる。
牡蠣などの海産物に恵まれた「漁師の町」
ここは北海道の厚岸町(あっけしちょう)。漁業が盛んな町として知られ、サンマ、昆布、アサリなど様々な魚介類が一年を通して水揚げされる。
ちなみに厚岸の語源は、「アイヌ語のアッケウシイ(アツ=オヒョウニレの樹皮、ケ=はがし、ウシ=いつもする、イ=所)であるという。カストリクム号の航海記録では、当時のアイヌが自らの土地を『アッキス(オランダ語発音)』と呼んでいたことが記録されている。いずれにせよ『アッケシ』という地名はアイヌ民族の言葉であり、それはこの地に和人より先に住んでいた人が誰なのかを物語っている」とのこと。(厚岸町のHPより)
とりわけこの地の名産品として全国的に有名なのが、牡蠣だ。ジューシーで旨味が詰まった厚岸産牡蠣はプレミアムな食材として人気を誇る。
対策のきっかけは、漁師さんからの声
そんな厚岸町にある「auショップ厚岸」には、漁師のお客様も数多く来店していたが、その際に彼らからの要望が寄せられることもたびたびあった。それは「スマホやケータイがつながりづらくて困っている」というものだ。
「かつて漁師は無線でやり取りしていましたが、最近はもっぱら携帯電話を使っています。高齢の方はケータイ、若い人はみんなスマホですね。用途は、漁師同士や家族とのやり取りのほか、海難事故やエンジントラブルに見舞われたときの連絡手段としても、いまやスマホやケータイは欠かせません。海の上で使えないと、漁師は非常に困ります」(厚岸漁業協同組合 杉田洋介さん)
そのような声を受けて、KDDIの担当者たちは動き出した。
「スマホやケータイは市街地でも、住宅地でも、海の上でも、重要なライフライン。つながらないと仕事や生活に支障をきたしかねませんよね。厚岸は漁業の町で、うちのスタッフの親戚や私の友人にも漁師さんはたくさんいます。そんな厚岸において、漁師さんの仕事場である海の上でつながりづらいというのは、大きな課題でした。『海の上でもスマホやケータイを使いたい』という漁師さんの声になんとかお応えしたいと、“電波状況を改善してほしい”とKDDIの菅原さんに相談したんです」(auショップ厚岸 店長 岩佐将吾)
「私は日頃から電波状況に関するお客さまの声を各地のショップからヒアリングし、対応しています。auショップ厚岸の岩佐店長から相談を受け、漁師さんにも安心してauをお使いいただきたいという思いから、電波対策の担当者に改善できないか相談しました」(KDDI コンシューマ北海道支社 菅原静香)
電波対策の難しさとは?
電波対策の担当者は、菅原から相談を受けて、対策に乗り出すことに。
「設置済みの基地局へのアンテナ追加や、新しく計画していた基地局の位置を見直し、電波を強化する対策を取ったんです。漁師さんの声をもとに、釣り場や網場へも電波が届くように設計を行いました」(KDDI 札幌テクニカルセンター 脇 孝拓)
電波対策を行った後、担当者のひとりである脇は現地へ向かった。
「厚岸漁業協同組合さんに相談したところ、漁船を出していただけることになりました。漁師さんも漁でお忙しいなか協力してくださり、これは本当にありがたかったですね。電波測定の当日は、朝8時から午後3時まで7時間、船に乗りっぱなし。船酔いとの戦いでした(笑)。電波が強化され、結果として釣り場や網場へも電波が届くことが確認できたのです」(脇)
担当者間の連携により実現
町のショップスタッフがお客様の生の声を聞き、それをショップ担当者が拾い上げ、電波対策の担当者に働きかけた結果、つながりづらかった場所がつながりやすくなった。KDDIコンシューマ北海道支社の菅原は「今後も同様の取り組みを続けていきたい」とこれからの意気込みを語る。
「ショップに寄せられた漁師さんの声を聞き、何とか厚岸町でご利用いただけるようにしたいと考えました。対策に関わった様々な部署の担当者も同じ想いを持ち、対策を実現することができました。今回の電波対策でスマホやケータイがつながりやすくなり、漁師さんからは喜びの声が寄せられていると聞き、本当に良かったと思います。これからもひとりでも多くのお客様にご満足いただけるよう、そしてauを好きになっていただけるようがんばります!」(菅原)
「漁師の困っているという声を対策につなげてくださって、とても感謝しています。漁師の安全・安心のために、これからもつなげる取り組みを続けてくださいね」と厚岸漁業協同組合の杉田さんも期待を寄せる。日頃から何気なく使っているスマホやケータイ。その裏には、お客様の声に耳を傾け、改善の要望を汲み取り、それに応えようとする継続的な取り組みがある。今日もどこかで、ゲンバダマシイを熱くたぎらせるKDDI関係者が、「できない」を「できる」へと変えるべく、地道な努力を続けている。
文・写真:榎本一生
撮影:稲田 平
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