2014/08/28

『au未来研究所2014』がキックオフ! 2年目の柱は「スマホの次の発明」を目指す“ハッカソン”

KDDIは8月1日、コミュニケーションの未来を創造することを目的としたWEBサイト「au未来研究所(a.U.F.L.)」の2014年の活動をスタートさせた。

「au未来研究所」とは、KDDI研究所の付帯組織として2013年11月6日にオープンした、仮想のオープンラボラトリー。初年度は、外部パートナーとして「攻殻機動隊」シリーズなどを手掛けるアニメーション監督・神山健治氏が共同CEOを務めるスティーブンスティーブン、プロダクションI.Gを招へい。「未来と通信できる携帯電話」を中心に展開するオリジナルアニメーションドラマを公開した。アニメーションの世界において、通信やテクノロジーの未来を描くプロと協業し、コミュニケーションのあり方を問う活動を行い、話題を集めた。

また、WEB上で登録し、「au未来研究所 研究員」となったユーザーから応募された、"未来の携帯電話アイデア"をコアアイデアとして、「PHONE VENDING MACHINE(自販機で買えるケータイ)」のコンセプトムービーを開発。「必要なときだけ、必要なウエアラブルデバイスを、乗り換えていく」という、au未来研究所が想像し、創造したコミュニケーションの未来の一例を世の中に提案した。

そして、2年目となる2014年の活動では、一般ユーザーが参加できる「オープンラボラトリー」として、WEB上で行う「オンラインディスカッション」や、会場に集った参加者たちがチームに分かれてアイデアを出し合う研究開発イベント「ハッカソン」を実施するという。「衣・食・住」をテーマに行うハッカソンでは、プロトタイプ12個の制作を目指し、発表・展示はサイト上で行うほか、実物を公開する場も作る予定だ。

そこで、KDDI宣伝部でデジタル戦略を統括する塚本陽一さんに、「au未来研究所」について話を聞いた。

■そもそも「au未来研究所」を立ち上げた理由

TVCM、デジタルコミュニケーションなど広告・宣伝活動では、セールスプロモーション色が強い、商品を売るためのコミュニケーションは数多く存在する。しかし、「auというブランドを好きになってもらうためのユーザーとのコミュニケーションは足りていないのでは」と感じたのが、「au未来研究所」を立ち上げたきっかけだと塚本さんは話す。

「ロング・エンゲージメント型の付き合いで、長い時間をかけながら、少しずつauを理解してもらい、その結果、ブランドを好きになってもらえたら、と考えました。au未来研究所は、auと外部パートナーと生活者とのトライアングルの関係での"共創"をフレームワークとして考えています。コ・クリエーション(共創)するためには、いろいろな人の意見を傾聴し、多様な声を受け止めることが大切だと考えています。

昨年は、調査結果からauと親和性の高いコンテンツがアニメーションということが分かったので、アニメコンテンツに反応してくれそうな層にターゲットをしぼり、エンゲージメントを作る第一歩を築こうと考えました。アニメーション制作は、本気で作らないと話題にならないと考え、『auが本気で動画を作っている!』と驚いていただけるようなクオリティの高い作品を、あえてWEB動画で公開しました。反応としては好意的なツイートなどが多く寄せられ、狙い通りの効果を得ることができました」(塚本)。

逆に、想定以上の反応を得られたのが、「2020年のケータイとは」というテーマでWEB上でアイデアを募り、コンセプトムービー作成まで行ったオープンラボラトリーだ。

「イベント参加者やアイデア投稿者などから、"このような活動を展開するauを応援したい"、"次はauのスマホに買い替える"と、au未来研究所の取り組みに共感したり、我々のビジネスにとっても嬉しい声が届いたんです。ブランドを好きになってもらうというau未来研究所が目的としていることやビジネスにも貢献する効果であり、このような活動を継続的に続けることでロング・エンゲージメント型でじわじわと効いてくるのではと感じました」

■ネットとリアルを融合させる施策としての「キュレーションニュース」と「ハッカソン」

今年、KDDIが掲げる方針として「ネットとリアルの融合」が挙げられる。KDDIが展開するさまざまな施策においてそれは一貫しているが、特に「au未来研究所」の取り組みでは顕著だ。

2014年度の活動の一つとして、14人の特別研究員を招へいした。バイオテクノロジーや建築、デザイン、音楽、アートなど、さまざまなジャンルの識者が特別研究員として参加し、未来に関するWEBニュースをそれぞれの特別研究員が独自のコメントとともに発信する「キュレーションニュース」を毎週提供している。

「さまざまなユーザーが、多様な意見を持ち合い、未来のスマホについて意見を出し合うヒントになるように、特別研究員が未来に関するニュースを紹介します。そこから、意見を交換し合う"オンラインディスカッション"に発展させ、今度はそこでのアイデアをリアルな会場に集まった参加者たちがチームに分かれて実現させます。実際に動くプロトタイプの開発を目指す研究開発イベント"ハッカソン"でそれにトライします」(塚本)。

外部パートナーである特別研究員と生活者、そしてKDDIとでアイデア、新しい視点、新発想を紡ぎ出す "共創"の場がまさに「au未来研究所」であり、 "ネットとリアルを融合させる"ことでそれを可能にしていく仕組みだ。

今回、ウエアラブルデバイスや、スマートハウスなど、ネットワークの通信がつながり、生活の身近なところでの利便性が高まっていることに着目し、ハッカソンのテーマを「衣・食・住」に設定した。

「ハッカソンは、そこまで一般に浸透している言葉ではないので、リテラシーの高い方が反応するのではないか。アウトプットを生み出す場なので、単なるギークという方よりは、クリエイター的なものづくりをしたいというイノベーターに近い方々に来ていただけるのではないかと期待しています。また、研究員となった一般ユーザーのアイデアを加速させる工夫として、研究活動への参加率や、投稿アイデアの評価に応じてランクが上がる『クラスアップシステム』を設け、最高研究員になった研究員の中から抽選で、世界最大のテクノロジーの祭典SXSW (South By South West)に招待する企画も設けました」(塚本)

■特別研究員によるパネルディスカッションでキックオフ

8月7日には、「au未来研究所2014」のキックオフイベントが東京・秋葉原の3331Arts Chiyodaで開催された。オープニングトークには、ゲームデザイナーの水口哲也氏が、「Future Creation=Design Future Wants」をテーマに登壇し、深層心理にある欲求や本能を可視化することで難題解決に道筋をつける、「ウォンツ可視化メソッド」を解説。未来を創ることは、未来の「Wants」をどうデザインするかが大切であるとメッセージを送った。

さらに、若林恵氏(「WIRED」日本版編集長)をモデレーターに、仲暁子氏(au未来研究所特別研究員)、濱野智史氏(au未来研究所特別研究員)、玉城絵美氏(Ph.,D., HCI研究者)による「未来生活:テクノロジーはぼくらの人生をこう変える」と題したパネルディスカッションも行われ、特別研究員らの示唆に富んだトークに、熱心にメモをとる参加者も多かった。

初年度より、さらに進化した形でスタートした「au未来研究所2014」。8月31日、9月13日の2日間で行われる1回目のハッカソンのテーマは、「未来のコミュニケーションを『衣』(服/アクセサリー/メイク/着る/履く...)から発明する」。オンライン上のディスカッションルームはすでに、「衣」に関連したテーマでのやりとりで盛り上がっている。

文:伊東秀明

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