2014/03/06

女性目線で作られたブレスレット型ウエアラブル

手首に装着するものといえば、腕時計、装身具のブレスレット、テニスのリストバンドなどが定番だった。日本では、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」で取り上げられたミサンガのネット通販にも注文が殺到したそうだ。

ここ数年は、主にアメリカから「Fitbit Ultra」「Jawbone UP」「Basis」といった、ウォーキングやランニングなどの活動や心拍数をトラッキングするデバイスが相次いで登場し、手首に着けるものが急増している。これらのデバイスは主に、手首の動きや皮膚の表面をセンサーで計測して、データを蓄積し、スマートフォンなどに送る仕掛けになっているが、それらとは逆に、iPhoneから着用者に情報を送る製品「MEMI」が登場した。

MEMIは、iPhoneへの電話やメッセージ、メールなどの着信を、振動で装着者に知らせてくれる。他の活動量計(トラッカー)と大きく異なるのはデザインで、単なるファッション用の金属製ブレスレットにしか見えない。バイブレーションは3種類あって、電話の着信、メッセージの受信、スケジューラからの通知に割り当てることができる。2回タップすれば振動が止まる。小さなLEDライトはついているが、これは充電中を知らせたり、Bluetoothレンジから外れたかどうかを知らせたりするためで、メッセージなどを表示するほどの大きさはない。充電やソフトウェアのアップデートに使うMicro-USBポートは見えない場所にあって、一回の充電で5日使える。家族や大事な取引先などあらかじめ登録しておいた人からの電話やメッセージのみ振動で知らせるように設定することもできる。重さは55.6グラム。8月発売予定で、既に予約を受け付けており、価格は150ドルだ。

MEMIは、女性のために女性がデザインしたそうだ。女性は、衣服のデザインなどから、携帯電話やスマートフォンをポケットなどに入れて持ち歩けない場合が多く、バッグに入れた携帯の着信に気づかないことがよくあるそうだ。だからといって、無骨で無粋なデバイスを常時身に着けるのも嫌ということだろう。

女性を意識したブレスレット型デバイスは、ほかにも登場している。革バンドにクリスタルをあしらったようなデザインの「JUNE」は、紫外線対策が目的の製品だ。iOSデバイスと連動して、太陽光にさらされ過ぎたらアラートを発してくれるほか、紫外線(UV)強度をモニタリングし、日々の習慣をトラッキングして、スキンケアのアドバイスをしてくれる。革バンドから外してブローチのように身に着けることもできる。発売開始は4月以降で価格は99ドル。

JUNEを開発したNetatmo社は、2012年からiOSデバイスと連動する個人用気象観測システム「Netatmoウェザーステーション」を作っているパリの会社だ。JUNEのウェブページには女性モデルが大きくフィーチャーされ、「Be Sun Savvy(太陽に精通しなさい)」と訴えかけている。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発にあたる。現在はビジネスアーキテクツ社にてモバイルヘルス分野の新事業立ち上げに従事。同志社大学ビジネススクール嘱託教員として「技術開発と事業化戦略」を担当している。