2016/04/25

法人向け新モデル登場。MWC16に見るKDDI関連トピック

モバイル通信業界で世界最大規模のイベント「Mobile World Congress 2016」(MWC16)が、2月22日〜25日の4日間、スペインのバルセロナで開催された。スマートフォンなどの端末の新製品から、各種のソリューション、次世代のネットワークインフラを支える新技術まで、多くの講演や展示から今後のモバイル通信を見通すことができるイベントだ。

MWC16のHPブース。中央にContinuum機能をアピールする「HP Elite x3」を展示し、多くの来場者が使い勝手を試していた

KDDIに関連する製品や技術も会場内で複数見られた。端末では、法人向けに国内で発売する2機種を出展。HP(ヒューレット・パッカード)の高性能Windows 10 Mobileスマートフォン「HP Elite x3」と、パナソニックの堅牢スマートフォン「TOUGHPAD FZ-N1」である。

「出先でスマホ、会社でパソコン」を1台で実現

HPのブースでは、Windows 10 Mobileスマートフォンの新製品「HP Elite x3」を中心にした展示が行われていた。

6インチの大型ディスプレイを搭載した高性能Windows 10Mobileスマートフォンは、MWC会場で開催された複数のアワードを獲得した

HP Elite x3は、国内でも製品数が増えるWindows 10 Mobileスマートフォンのなかで、最高性能を誇るスマートフォンだ。

プロセッサには、クアルコムの上位モデルであるQualcomm Snapdragon 820を採用。6インチの大画面ディスプレイに4GBのROM、64GBのRAMを搭載するという豪華なスペックを誇る。さらに、ビジネスでの新しい利用形態として期待される、Windows 10の「Continuum (コンティニュアム) 機能」に対応することで注目されている。

Continuum機能とは、スマートフォンにキーボードやマウス、ディスプレイを接続することで、パソコンと同等の使い勝手を提供する機能だ。「HP Elite x3」は、有線接続によるContinuumをサポートしていることが特徴。これにより、ディスプレイなどと接続したオプションのクレードルに「HP Elite x3」を載せるだけで、すぐにデスクトップパソコンのように利用できるほか、無線接続によりContinuum機能が不安定になるリスクを防げるのだ。

Salesforceを利用していた「HP Elite x3」をクレードルに挿すことで、外付けディスプレイにSalesforceの画面が表示されるContinuumのデモ

HPのブースやマイクロソフトのブースでは、「HP Elite x3」によるContinuum機能のデモンストレーションが行われ、多くの来場者がその使い勝手を確認していた。「HP Elite x3」でSalesforceのサービスを利用しているシーンのデモンストレーションも、同ブースで開催。外出先でも、オフィスに戻ってからでも、1台の「HP Elite x3」を使ってシームレスにビジネスの作業が行える利便性、管理するデバイスが1人につき、1台で済むことによるコスト削減などのメリットを示していた。

ハードウエアとしても、ビジネスでの使い勝手を高めた設計になっている。au VoLTEによる高音質でスムーズな接続ができる音声通話機能、auのサービスで受信時最大225Mbpsの高速通信ができるキャリアアグリゲーション(CA)への対応と通信まわりの性能を高めた。さらに防水、防塵、耐衝撃性能を備え、さまざまなビジネスシーンでの利用への配慮も行き届いている。KDDIは、アジアでは唯一の「HP Elite x3」のキーパートナーとして、日本やオーストラリアでのソリューションの提供を推進する。

小型軽量化を進めた堅牢ボディーの「現場対応スマホ」

堅牢スマートフォン、タブレットの「TOUGHPAD」シリーズ、各種のIoTソリューションや技術を並べたパナソニックのブース

パナソニックがMWC16で発表した法人向け堅牢スマートフォン「TOUGHPAD FZ-N1」も、KDDIが国内で取り扱いを発表した製品である。

KDDIが2014年から取り扱っている「TOUGHPAD」シリーズの新製品で、防塵・防滴/防水、耐落下、衝撃性能といった堅牢さはそのままに、小型軽量化を進めるなどして使い勝手を大幅に向上させた。

パナソニックのブースには、Android版とWindows 10 Mobile版の2種類のTOUGHPAD 新製品が展示されていた。KDDIが取り扱うのはそのうちのAndroid版の「TOUGHPAD FZ-N1」となる。ブースでは、従来製品の約450gと比べて、大幅な軽量化を果たした275g(KDDI取り扱いモデル)の薄型ボディーをアピール。ディスプレイは5インチから4.7インチへとひと回り小さくなるものの、片手にフィットする大きさと重さがビジネスで快適に利用できることを示した。

斜め下にバーコードリーダーの読み取り光を照射する「TOUGHPAD FZ-N1」。画面とバーコードを同時に確認しながら自然に操作ができる

「TOUGHPAD FZ-N1」のもうひとつのポイントは、物流・配送のピッキング作業や流通・小売の在庫確認・棚卸しなど多くの業務で利用するバーコードリーダーの照射角度を調整したこと。従来製品では、本体の上面にバーコードリーダーが設置され、読み取り光は上部に向けて照射する形状だったが、「TOUGHPAD FZ-N1」は角度を付けて斜め下を照射するように変更した。上面にバーコードリーダーが配置されている従来製品では、対象となるバーコードを読み取りながら画面を確認することが難しかった。バーコードと画面を同時に見られるようにして欲しいというユーザーからの声を反映した改善点で、これによりバーコードの読み取りが楽に行えるようになったのだ。

従来機種との厚さの比較。軽く、薄くなったことで使いやすさが格段に向上したという。写真はWindowsモデル

4.7インチのディスプレイを搭載し、各種の現場での仕事をサポートする「TOUGHPAD FZ-N1」

「TOUGHPAD FZ-N1」もau VoLTEに対応。3マイクとノイズサプレッサーにより騒音を抑えた通話ができるほか、大音量のツインスピーカーで様々な業務の現場でのコミュニケーションをスムーズに行える。従来製品との比較で性能が抑えられているのは、画面サイズと使用環境条件程度。従来製品は、-20度~60度での利用が可能なのに対して、「TOUGHPAD FZ-N1」は-10度~50度となる。「ロシアなどの極寒のところでは、従来製品を今後もお勧めする」という説明員からのコメントからも、グローバル感が伝わるような展示会となった。

文:岩元直久

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