2015/12/01

“最高の一杯”にかける情熱 auショップで買える『丸山珈琲』、そのおいしさの秘密を探る

普段の生活を楽しくする"ちょっといいもの"をお届けするサービス「au WALLET Market」。なかでも、目玉の一つであるこだわりの食材として、第1弾では「秋川牧園の無農薬野菜や新鮮卵」について紹介したが、第2弾では「丸山珈琲」をピックアップ。今どきのコーヒー業界は、豆の産地や品質を重視し、その豆本来の個性や味わいを楽しませてくれるカフェやコーヒー専門店が主流になってきた。日本でもこうしたコーヒー店がずいぶん増えたが、その先駆け的な存在が「丸山珈琲」だ。本当においしいコーヒーとは何か。それを提供できる秘密は何なのか、その背景を探ってみた。

丸山珈琲の心臓部である、直営店併設の焙煎工場へ

さわやかな秋晴れが心地よい10月末、取材陣一行は長野県小諸市にある「丸山珈琲小諸店」に到着。丸山珈琲の創業は1991年、軽井沢(南ヶ丘)のペンションの一角で喫茶店を開いたところから始まった。その当時の趣を残している軽井沢本店も温かみがあると人気だが、本拠地はこちらの小諸店。というのも、全商品がラインナップされている広い直営店があるだけでなく、丸山珈琲のすべての豆を焙煎する工場が併設しており、同社の主要な業務を担っている店舗だからだ。

長野県小諸市にある「丸山珈琲小諸店」。木を基調とした建物は、温かみがありながらモダンな雰囲気。目の前には、浅間山の雄大な風景が広がる

外車のディーラーだった物件を買い取って、現在の工場&直営店にリフォームしたのが7年前。オーナーでありバイヤーでもある丸山健太郎さんが厳選し、産地で直接買い付けた豆は、横浜の契約倉庫で低温保存され、いざ焙煎となると小諸に運ばれてくる。焙煎工場の外周にはクルマが通り抜けられるようになっており、荷受けから出荷までスムーズに行えるそう。

"いい豆"を求めて、年の半分近くを海外行脚

倉庫には、あらゆる国から輸入されたコーヒーの生豆(なままめ)が積まれている。「現在は、およそ15〜18カ国ほどから買い付けています。契約している農園数ですか? それは......多すぎてわかりません(笑)」とブランドマネジャーの中山吉伸さん。アフリカや東南アジアから中南米まで、コーヒーの産地は世界中に広がっている。無数にあるなかで、どのように"いい豆"を選ぶのか。

麻袋で送られてくる生豆。非常に高価なものなどは、真空パックされたアルミ袋で発送されてくるものも

「一つには、COEがあります。これは、Cup of Excellence(カップ・オブ・エクセレンス)の略で、コーヒー豆の国際品評会のこと。ブラジルやコロンビアなど各生産国で、それぞれ毎年開かれます。厳しい審査を通過し、国際審査員によって100点満点中85点以上という高い評価を受けたコーヒー豆だけにCOEの称号が与えられて、その豆は公開国際オークションにかけられるのです。たとえば、ブラジルで1位を受賞した豆は"2015ブラジル カップ・オブ・エクセレンス第1位"と呼ばれて、オークションによって落札されるというわけです。実は、丸山珈琲は過去100回のCOE中36回、第1位の豆の落札に成功していて、その年の最高品質の豆を入手できているのです」と中山さん。

そして、ある意味ではCOEよりも重要といえるのが、丸山オーナーの"海外行脚"だ。150日近くを海外の産地等を訪ねるのは、農園やコーヒーの様子を見たり、生産者とコミュニケーションを何よりも大切にしているから。そして、継続的かつ言い値で買い付けることを基本にしている。優良な農園といっても、テロワールや、品種、見から種を取り出し乾燥させる生産処理方法などによって、品質や個性はさまざまだ。もちろん、生産年によって出来も多少異なる。でも、丸山珈琲はできるだけ継続的に買い付ける。これが生産者に経済的安定をもたらし翌年以降のための投資に活用できたりと、それが生産者のモチベーションの向上につながり、結果的にいい豆を作り続けることができる。丸山オーナーは、ときには家庭や家族の問題の相談に乗るなど、家族同様の密接な関係性を大切にしている。つまり、人と人とのつながりが、素晴らしい品質のコーヒーを安定的に買い付けられる最も重要な点である。

カラフルな麻袋は、コロンビアのロス・ノガレス農園、丸山珈琲のロゴが印刷された袋は、ブラジルのイルマス・ペレイラ農園のもの。麻袋のデザインにもお国柄がちらり

丸山珈琲オーナーの丸山健太郎さん。取材時は海外出張中のため、残念ながら不在でした。日本で姿を見かけたら、幸運かも!?(写真提供:丸山珈琲)

そうして深い信頼関係を築いてきたからこそ、いい出来の豆を優先的に回してもらえることも少なくない。「生産地に訪ねたとき、部屋の隅に『Kentaro』と書かれた麻袋が積んであり、豆を取り置いてくれたこもともあったそうです。また現地では、庭先で少しだけコーヒーを育てているとても小さな畑をもつ生産を紹介され、それが絶品の出来の豆を作っていたりと、信頼関係があるかこそ新たな出会いや発見をするこもある。コーヒー豆の農園は、だいたい空港から遠く、そんな場所に足繁く通う日本人を見て『こんなところまで何度もやってくるだから、丸山は悪いやつじゃない』と思われたような出会いもあったようですよ(笑)」と中山さん。

こうした丸山オーナーの努力に加えて、確かな目で豆を選ぶことも重要なポイントだろう。何度もCOEの国際審査員を務めていて、世界でもっとも審査員としての参加経験のあるカッパー(テイスター)でもある情熱と知識と自らの足で、良質な豆を世界中から探し出してきているというわけだ。

生豆は薄い緑色。芳ばしい香りはない。いわゆる"豆"と同じやや青っぽい香りが広がった

焙煎の前には「ライスリフト」という機械を使う。麻袋の中に入り込んでしまった石などを磁気によって取り除く

コーヒー豆の味を決めるメインイベントは「焙煎」!

いよいよ焙煎(ロースト)工程に入る。昔から「味を決めるのはロースター」と言われるように、いい塩梅に焙煎できなければ、どれだけいい豆を使っていても味を台無しにしてしまうのだ。丸山珈琲の焙煎機は、アメリカLoring 社の「スマートロースター」2台。大きなドラムに熱風を送り込んで焙煎する熱風式で、豆全体にムラなく熱を伝えやすく、繊細な焼き分けができるというメリットがある。ヘッドロースターの宮川賢司さんが取材時に焙煎していたのは、コロンビアのロス・ノガレス農園の豆。「比較的、焙煎しやすい豆ですね。たとえば、ボリビア産の豆は硬い傾向にあって、硬ければ硬いほど熱が伝わりにくく、均一に焙煎するのが難しい」そうだ。

丸山珈琲の命とも言える焙煎機。容量は手前が70kg、奥が35kg。70kgタイプはスマートロースターのなかでは最大級の容量で、この1台(写真左)が、製品化された第1号機にあたるそう

専用のバーで焙煎釜から豆を引き出し、頻繁に香りをチェック

焼き具合は、目、鼻、耳で確認。目で確認するのは「色」。熱を加えるほど、薄緑色から黄色→薄茶色→茶色→焦げ茶色へと変化していく。焙煎機のモニターに表示される釜内の温度にも気を配る。鼻では、焙煎途中の豆の「香り」をチェック。耳で確認するのは「音」だそうだが、いったい何の音?「熱が加わってくると、豆が膨らんできて、ドラムに当たる音がやわらかくなるんです。ジャランジャランからシャランシャランという感じですね」と宮川さん。

狙い通りの焙煎具合に仕上がったら豆を取り出し、ゆっくりと撹拌しながら熱を冷ましていく。う〜ん、なんともいい香り! そこで、中山さんから「食べてみますか?」との提案が。「良質なコーヒー豆は、飲むだけじゃなく食べてもおいしいんですよ」とのこと。言われてみれば確かにそうかもしれない。そこで口に含んでみると......なんとも香ばしく、豆自体の甘みなどの複雑なアロマがふわっと口の中に広がって確かにおいしい!

中煎りの状態に煎られた豆。艶やかな茶色が美しい

バイヤーを担当するKDDIコンシューマビジネス開発部の吉田邦明と木戸章裕も、「焙煎したての豆って、こんなに香ばしいんですね!」「噂に聞いていた世界第1号機のロースターが、こんなに素晴らしい味を生み出すなんて」と感動。熱心に話に聞き入っていた。

左から、丸山珈琲ブランドマネジャー・中山吉伸さん、KDDIコンシューマビジネス開発部の吉田邦明、木戸章裕。焙煎機を目の前に、豆の風味を引き出す焙煎について話が盛り上がる

世界トップレベルの味わいをお届け

1日に行うカッピングは、数十種類に及ぶ

焙煎後は、必ず味わいや品質のチェックを行う。「カッピング」といわれるコーヒーのいわばテイスティングは、挽いた豆に熱湯を注いぎ、そのまま4分置いておいて浮いた粉を取り除き、その上澄みの液を味わう。息と一緒にズズーッと吸い込み、鼻腔にあがってくる香りとともに風味を確認するそう。「ロースター自身のほか、品質管理担当者、バリスタもカッピングすることもあります。カッピングはとても重要な工程のひとつです」と、中山さんは話す。

バルスタ世界チャンピオンの井崎バリスタや他のバリスタの表彰状や記念トロフィーなどが、店内にさりげなくディスプレイされている

焙煎から1〜2日寝かせたら、いよいよ出荷の時を迎える。これからギフト期を迎えると、1日の発送数は数百個に及ぶが、梱包から発送まですべて人の手で行っているそう。「一つ一つ確認しながら梱包するなんて、とても人間味がありますね」と、作業の丁寧さに感じ入っている吉田チーフバイヤー。

「au WALLET Market」から注文すると、世界トップレベルの味わいを手軽に味わえるのだ。

おいしいコーヒーにこそ、砂糖やミルクを加えてみるべし!

焙煎工場をくまなく見学したところで、「では、コーヒーを飲んでみましょうか」と中山さん。そのひと言を待ってました! お好きなものをと言われ、「きちんとコーヒーを味わいたいなら、砂糖やミルクは入れない方がいいですよね......」とつぶやくと、「いえいえ! そんなことはないですよ。口で説明するより試してみましょうか?」と言って、中山さんがあるコーヒーを出してくれた。

「これは、ニカラグアのロス・アルトス農園のコーヒーです。まずはストレートで飲んでみてください」と、中山さんはにっこり。飲んでびっくり! なんともフローラルな風味で、飲んだ後も複雑で深い余韻が残る。取材陣の全員が、これほど華やぎに満ちた香りのコーヒーは初体験だったほどだ。みんなの驚く顔を見ながら、ますます笑顔になる中山さん。「すごくおいしかったですよね。では、スプーン1杯くらい、砂糖を入れてみてください」と、またまたにっこり。言われたままに砂糖を入れて飲んでみると、またまたびっくり!! インパクトの強いフローラルな風味から、上品でしっとりした味わいになり、ストレートのときよりも滑らかさやまろやかさが味わいやすくなっている! どちらも違った味わいで、それぞれが"おいしい"のだ。同じように、別の豆を使ったエスプレッソもいただいたが、砂糖を入れた方が断然飲みやすく、幾分味わいも増したようだった。

「ね? 良質なコーヒー豆で淹れたコーヒーにミルクや砂糖を入れると、よりおいしくなる。シナジー効果が生まれるんです。おいしいコーヒーにこそ、周りの目を気にせず、ミルクや砂糖を入れて楽しんでみるのもおすすめです。たとえば、一杯目はストレートで味わって、二杯目は砂糖やミルクを入れると、一杯で2度楽しめますから」

そう話す中山さんの「どうです!?」と言わんばかりの笑顔に、すっかり乗せられてしまった取材班一行。コーヒーの奥の深さはわかっていたつもりだったが、なんのなんの! コーヒーにこんなにたくさんの味わいがあることや、コーヒーのある時間がこんなに楽しいことを、あらためて教えられたひとときだった。

この味をなんとか自宅でも再現したい! 味を引き出すプロであるバリスタと同じ味に淹れるのは無理でも、なんとか近づけたいではないか!! と、中山さんに訴えたところ、いくつか重要なコツを教えていただいた。記事の最後に紹介するので、ぜひご参考に!

つながりがもたらす最高の一杯

良質な豆を探し出す。それを安定して供給する。コーヒーの味を決める。それを最大限に引き出す。お客様に生産者の想いや豆のストーリー(背景)も伝える。これらのコーヒーにまつわるエトセトラを、丸山珈琲は1社で一貫して行っている。それは、単に「いい素材を売って終わり」ではなく、「人と人とが関わることからおいしさや幸せが生まれる」というコンセプトだからだ。「お客様に接するバリスタはメッセンジャーであり、豆の物語から家庭での飲み方まで、伝えることがたくさんあります。ですから、当社のサービスは、基本的にはフルサービスになるのです」と、中山さんは語る。

「全国に広がるauショップで、丸山珈琲をさらに多くの人に届けるという夢が叶えられると思ったんです」と中山さん

「au WALLET Market」との取り組みについては、
「最初は、『au WALLET Market』で実践しようとする新しい流通スタイルのイメージがつかめなくて、どうしたものかと思ったんです。インターネットでコーヒー豆を売るのは容易ではないという経験がありましたし、従来のお客様は50〜60代とご年配の方が多く、そんななかスマートフォンでも買えるということがどこまでフィットするのかと......。でも、最近ではスマホを使うご年配の方も増えていますし、テストマーケティングのつもりで「とにかくまずはやってみる」そこに価値があると判断して、一緒に取り組むことにしました。当社だけでは店舗数にも限界がありますが、auショップでも販売できれば全国に店舗を設けられることになります。また、自社のオンラインショップはまだスマホ非対応なので、スマートフォンを使い慣れた新しい層のお客様を取り入れられるという点も魅力に感じました」

丸山珈琲の戸惑いは、吉田チーフバイヤーも感じていたと言う。

「丸山珈琲がこだわっている売り方をきちんと再現できるのか、何度も確認されました。これは難しいかも......とも思いながらも、とにかく自分たちの思いを伝えようと。というのも、さまざまなコーヒー企業の中でも、これほど高品質な豆を大量に仕入れて卸しているという点で丸山珈琲は格別でした。しかも、生産者の生計を支えるような仕組みをつくっていたり、スタッフをバリスタに育てたりなど、人を大事にするという企業コンセプトがとてもいいと思ったんです。実際に、東京の尾山台店にコーヒーを飲みに行ったのですが、スタッフがみんな笑顔で仕事をしていたので、これはもう絶対にいい会社だなと。だから、『一緒にやりましょう』と言ってくださったときは、とてもうれしかったですし、同時に責任をもって取り組まなければと気の引き締まる思いでした」

いざサービスが始まってみると、「au WALLET Market」からコンスタントに発注が。中山さんは、「まだまだ伸び代はあると思いますが、当初に予想していたよりも手応えがあると感じた」そう。これを受けて、12月にはフレンチプレス+クリスマスブレンドという「au WALLET Market」限定商品を発売する

「丸山珈琲の価値は、おいしいコーヒーという"モノ"を提供しているだけでなく、飲む"コト"の素晴らしさを伝えていること。"コト"の楽しさを伝えるという点は、au WALLET Marketを通じてお客様に提供したい価値とも一致しています。」と、木戸バイヤー。

モノを売るだけではなく、別の価値をも届けるのが「au WALLET Market」。そのなかの丸山珈琲で、コーヒーのある生活の楽しさ・心地よさをお楽しみあれ。

お待ちかね、家庭でおいしいコーヒーをいただくコツとは?

本文内でも触れた、プロの味に近づける秘訣を【準備編】と【抽出編】に分けてご紹介。ぜひ満足のいく一杯に近づきますように!

【準備編】

1.良質な豆を買う
なによりこれがいちばん重要。豆が良ければ、どのような抽出方法であってもそれぞれに美味しくなる。

2.ちょっとしたひと手間をかける
きちんとグラム数を計って入れる、抽出時間を計るなど。コーヒースプーンだと、かさで計るので重さにバラツキが出る、つまり味わいも変わる。せめて、新しい豆を買ったら、使っているスプーンがすりきりで何グラムになるのか一度計っておくといい。一番は、かさではなく、スケールで重さを測ること。

3.直前に豆を挽く
粉にすると、豆に比べて香気成分がどんどん飛んでしまうので、粉にした場合はなるべく早く飲む。できれば、ミルを用意し、飲む直前に挽くのが良い。

【抽出編】

1.お湯の温度に気を使う
最適なお湯の温度は、煎り方によって異なる。浅煎りと中煎りの場合は、沸かしたてを。高品質なコーヒーは、熱湯で抽出しても雑味が出にくいので、沸騰直後のお湯を使ってOK。深煎りの場合は、少しだけ温度を下げたほうが良い(目安は90℃くらい)。そうすることで、苦みの角がとれるのだそう。

2.器具は同一メーカーで揃える
フレンチプレスでもペーパードリップでもなんでもOK。ただし、ペーパードリップの場合、ドリッパー、ペーパー、注ぎ方を同一メーカーの器具と淹れ方(注ぎ方)を守ること。推奨する抽出方法がメーカーによって微妙に異なるのは、それぞれ目指している味わいの考え方もが違うから。できるだけ使う器具と注ぎ方をそろえて抽出すると、味わいの方向性がつかみやすい。

ちなみに丸山珈琲では、2003年からフレンチプレスに完全移行したそう。「風味豊かなコーヒーオイルを余さず抽出できるので、素材本来の味わいをそのまま楽しめる。さらに熱湯を注いで4分待つだけなので簡単に淹れられる家庭向きの淹れ方」だそう。「ペーパードリップの場合は粉やペーパーフィルターがそのオイル油分の多くを吸ってしまう」と中山さん。

3.早めに飲み切る
丸山珈琲のコーヒーの賞味期限は基本90日間と定めているが、香りが豊かな、2週間〜1カ月の間でなるべく早く飲む。保存方法は、粉は冷凍、豆は冷蔵がベスト。寒冷地の場合は、冬は冷暗所へ。空気に触れないよう、なるべく密封できる遮光性の袋に入れるのが良い。

文:知井恵理
撮影:有坂政晴

※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。