2016/01/21

【検証】ためすてみますた! 誤入力を自動で直してくれる『Fleksy』がスゴい

スマートフォンの普及により、外出先からビジネスメールを送ることも多くなっています。しかし、パソコンと比べて画面が小さいだけに、入力に時間がかかったり、思わぬ入力ミスをすることも......。で、入力ミスを発見して、慌ててお詫びのメールを送ったら「申し訳ありませんですた」なんてミスをして、恥の上塗りをしたことがある人もいるのでは?

ひとが見れば「ありませんで"す"た」ではなく「ありませんで"し"た」というのは一目瞭然。このように、スマートフォンでの入力ミスの大半は、常識的に考えたら間違いだとわかる範囲ばかり。とはいえ、機械に誤字の確認まで求めるのは難しいですよね。

親指を上下左右にスワイプすることで文字入力がラクチンに

と思っていたら、画期的な文字入力アプリが登場しました。KDDI研究所とアメリカのベンチャー企業「Fleksy社」が共同開発したスマートフォン用文字入力アプリ、日本語版「Fleksy(フレクシィー)」です。もともと、英語版を始めとして十数カ国語に対応しており、 "世界最速の文字入力アプリ"として1,000万件以上もダウンロードされたという実積を持ちます。

「Fleksy」最大の特徴は、間違った単語や文章を修正してくれる「誤入力自動補正機能」と、日本語入力に対応した先進的で使いやすい操作性「ジェスチャー操作 UI」。そのすごさは、とりあえずこの動画を見てもらえれば分かるはず!

どうです?

「あたら"き"い」→「新しい」と、勝手に補正してくれたでしょ? これさえあれば、ビジネスメールの恥ずかしい間違いも少なくなって、結果的に入力のスピードも上がるというもの。とはいえ、やっぱり自分で使ってみないとその良さはわからない。そこで、どれくらい優秀なのか実際に試してみました。

「Fleksy」のフリック入力画面で目を引くのは、キーボード中心列「た・な・は」の列にあるスワイプ用の画面。主にこの部分を使って、「ジェスチャー操作 UI」を行います。

「ジェスチャー操作UI」は、主にグレーの帯を引いたラインをスワイプ

動画にあったように、中心列を右にスワイプすると単語や文章が変換されますが、その際に誤入力があれば、正しく修正してくれます。左にスワイプすればアンドゥ(取り消し)で、変換前の文章に戻ったり削除したりすることができます。上下のスワイプでは、単語の候補を選ぶことが可能。

使ってみると、中心部に指の定位置が生まれるので、入力後の変換がかなりスムーズ。なにより、変換や修正、削除が、親指のスワイプという大雑把な操作だけでできるのは便利。10分も使い続けると、そのUIの高さに感動してきました。

指の動きを察知して誤入力から正しい文章を推測

さて、肝心の「誤入力自動補正機能」です。とりあえず、ビジネスメールで最多頻度を誇る「お世話になります」を入力。

①わざと「おせわになりまく」と打ってみた。
②よし、右にスワイプ〜。
③結果は、「お世話になり膜」。

え? ダメじゃん......。

さっそく、開発に携わったKDDI研究所の帆足啓一郎にズバッともの申しました。「誤変換、修正されないんですけど!」。すると、意外なひと言が......。

「もしかして、わざと間違えませんでしたか? 『Fleksy』は、画面上で指が置かれた場所を認識して、そこからどの方向に指が動いたかを判断しています。この際、明らかに間違った方向に指が動いたら、意思を持って入力したと考えて、そのまま変換するんですよ。

例えば、フリック入力画面での「あ行」と「ら行」は離れた位置なので、「"お"せわになります」を「"ら"せわになります」と間違える可能性は低い。そのようなフリック入力の場合は、確信的に文章を入力したと判断されるのだとか。

前述「おせわになりまく」の場合、「ま」と「く」を入力する際に、明らかに「く」に向かってフリックしている上に、「く」の中心をタップしたので、「Fleksy」は意思を持って「まく」と入力したと判断して、「お世話になり膜」と変換。驚いたことにこちらのアプリ、自然に発生したであろう誤入力だけを補正してくれるのだ。予想以上に賢いぞ「Fleksy」。

ということで、今度はちょっと急ぎ気味でビジネスメールをフリックすることに。幸か不幸か、フリック入力に慣れていない筆者は自然に間違うことができました......。

まずは、「お世話になります」を、急いで入力したところ「おせわになりまく」と......。そして右にスワイプ。なんと、先ほどと同じ誤入力にも関わらず、見事、「お世話になります」で確定変換された。おー、これは便利。調子にのって入力を続けます。今度はお礼の文章です。

こちらも急ぎでフリックしたところ「こころよりおれ"ち"もうしあげま"ふ"」という文章に。「あ行」と「た行」は近いので、ありがちなミス。なにより最後の「まふ」が情けない......。右にスワイプしたところ、「心よりお礼申し上げます」に確定変換。んー、これから「Fleksy」で原稿を書けば、誤字がなくなるかもしれないなぁ。

日本語やフリック入力に対応する難しさを克服して日本上陸!

KDDI研究所 知能メディアグループ グループリーダー 帆足啓一郎

しかし、なぜこんな的確な修正が可能なのでしょうか? 再び帆足さんに話を聞いてみました。

「先ほどお話しした通り、『Fleksy』はスマホの画面上に置かれた指の座標を認識して、動く方向からどういった文字が入力される可能性が高いかを判断しています。『おせわになりまく』と誤入力した場合を例にとると、入力された時点で『Fleksy』のアルゴリズムによって、指の動きから推測し『おせわになりまく』、『おせわになります』、『おせわになりまくふ』など、複数の入力候補が挙げられます。そのなかから、独自の辞書や、これまでの入力傾向から正しい可能性がもっとも高い文章を判断して選択。そこから漢字を含む文章として確定変換しているんです」

スワイプした瞬間に変換されているように見えて、裏ではそんな複雑なことが行われているなんて、すごい話だ。それにしても「Fleksy」はアメリカでは2013年にサービスが開始。すでに十数カ国語に対応しているというのに、日本への導入は遅くないですか。もっと早く出会いたかったのに......。

「そこには、まずひらがなで正しい文章を推測して、さらに漢字を含んだ文章に変換するなど、日本語の難しさがあるんです。加えて、フリック入力という日本独自の入力方法もハードルのひとつで、『Fleksy社』もなかなか参入ができなかったと聞いています。しかし、『Fleksy』の入力のしやすさや使いやすさは折り紙付き。お客様の利便性を上げるために日本市場に導入をしたいと考えていたので、協力させていただきました」

ちなみにフリック入力以外にも、英字のキー配列であるQWERTYキーボードでの入力にも対応。当然、指の動きが異なるので、別々のアルゴリズムで動いているのだとか。加えて、「Fleksy」は無料配信で、auユーザー以外でも利用可能。まさに「お客様の利便性を上げたい」という言葉通り。

スマートフォンの文字入力が苦手な方や、視覚に障がいを持つ方などの文字入力のサポートになれば」と帆足氏。スマホでの文字入力が苦手で、ビジネスメールが誤字だらけになりがちなあなた。「Google Play」から無料でダウンロードできるので、一度試してみてはいかがですか。

文:コージー林田