2016/09/01

ハイレゾ音源のポテンシャルを引き出す“ポタアン”とは?

CDのスペックをはるかに超えた、ハイレゾ音源

どこにいても手軽に音楽をダウンロードできるようになり、いまや音楽はスマホで楽しむことが普通となってきた。最新のヒットチャートから懐かしの名曲まで、たくさんの楽曲を持ち運べる利便性に加え、音楽を楽しむためのヘッドフォンやスピーカーといった関連アイテムも、日進月歩で進化している。

そんななか、注目されているキーワードが"ハイレゾ"だ。ハイレゾとは、ハイレゾリューション、つまり「高解像」の略で、CDよりも多くの情報量をもつ高音質な音源データのこと。

従来のCDは音源を録音する際にデータ量をおさえるため、通常では人には聞こえない音域をカットしていたが、ハイレゾの登場により、音源そのままをデータ化できるようになったのだ。これにより音の奥行き、表現力などが上がり、アーティストの息づかいやライブ独特の空気感など、CDの音をはるかに上回る高音質が楽しめるようになった。

※「スマホでも聴ける!! CDの約1,000倍音がいい「ハイレゾ音源」とは?」

先日auからも、ハイレゾ対応イヤフォンを標準装備した機種「HTC 10 HTV32」が登場したばかり。スマートフォンを取り巻く現状においても、着々とハイレゾの存在が大きくなっている。

※「オーディオ機能がスゴイ! 最新スマホ「HTC 10 HTV32」でハイレゾ音源を150%楽しむ方法」

ハイレゾ音源のデータは、既存のイヤフォンやスピーカーでも楽しむことはできる。ただ、どうせなら、そのハイレゾ音源の魅力を120%引き出して聞いてみたい、という人もいるだろう。そこで今回、オススメしたいのがポータブルアンプ、通称"ポタアン"だ。

ポタアンの仕組みは、デジタル→アナログ変換にあり!

ポタアンはその名の通り、持ち運びがしやすいヘッドフォン、イヤフォン専用のアンプのことで、スマートフォンの音楽をポタアンを通して聴くことにより、プレーヤー本体の音質よりも高音質で音楽を楽しめるというものだ。もちろん、スマホだけではなく、携帯型音楽プレーヤー全般に使用されている。

そもそも一般のオーディオ機器におけるアンプには大きくふたつの役割がある。ひとつ目は、元々は小さな電気信号である音源の音量を「増幅」すること。出力が大きければ音の再生に余裕ができ、大きな音は迫力が出て、小さな音は繊細に再現することができる。一般に出力数が大きければ大きいほど高価になる。

ふたつ目は、デジタル信号である音源データを、内蔵されている「DAC(Digital to Analog Converter)」と呼ばれる変換機によってアナログへと変換し、音楽として耳に届けること。このDACの性能によって、再生時の「忠実度」が左右されるというわけだ。

もちろんスマートフォンにおいても、「DAC(Digital to Analog Converter)」が内蔵されているのだが、サイズ的な限界がある。そこで、外付けのポタアンを経由することで出力を上げ、音楽に特化した「DAC」を通すことでより高音質な音を楽しめるようになる、というわけだ。

今回は、スマホにピッタリな、使いやすくて手軽に高音質を楽しめる、編集部オススメ入門編ポタアンを3つ紹介しよう。その前に、ポタアンの性能を比べるために必要な基礎知識。再生可能な音を表現するには、主に2つの単位がある。まずは、音がつくる連続した空気の振動を1秒間に何回測定できるかを表現するhz(ヘルツ)、そして、無音から最大音量まで何段階の音量差を測定できるかを表現するbit(ビット)だ。

共に数値が高いほど、細かく音をキャッチしていることになるので、滑らかな高音質となる。ちなみに、CDは44.1kHz、16bitという単位。聞き慣れたCDの音の数値と比べてみると、ポタアンのスゴさがよりわかりやすいだろう。

【1】コンパクトなのに高性能な「MOJO」

"ポタアンの代表格"と言われるほど、ファンのあいだでは知名度の高い「MOJO」。特筆すべきは再生可能なフォーマットが幅広く、最大768kHz/32bitまで対応している点だ。現存するほぼすべてのオーディオフォーマットに対応する柔軟性が、音楽好きに受けている。

使用時間は、連続再生最大8時間の利用が可能なため、ドライブやキャンプといった外出時にも、安心して持ちだすことができる。また、ポタアンはスマートフォンと併用して使うため、手のひらに収まるコンパクトなものが使いやすい。「MOJO」は、幅82mm×奥行60mm×高さ22mmと幅はほぼiPhoneと同じなので、スマートフォンの下に本機を重ねながら使うことも容易だ。重さは約180g。これならばバックに入れておいても気にならない程度だろう。電源と音量の3つのボタンは、流れる音楽の周波数によって10段階に色が変化していく遊び心も。価格は6万8,000円と高めだが、これだけ充実した高機能でこの価格は納得なアイテムだ。

【2】スマホの充電も可能な、ハイスペックポタアン「HA-2」

アメリカのオーディオブランドOPPOが提案する「HA-2」は、幅が68mm、奥行きが157mmとスマートフォンのような縦長のシルエットと高さ12 mmの薄さが魅力。重さはiPhone 6 Plusとほぼ変わらぬ175gと超軽量ボディだ。DACは、多数の受賞歴を誇るデスクトップ型のヘッドホンアンプに使用されたものを、モバイル向けに改良し搭載。そのためポタアンのなかでもかなり精度の高い音質を実現している。再生可能なフォーマットは最大384kHz/32biまで対応。

高品質なポタアンでありながら、モバイルバッテリーとしても使えるメリットも。1台で2つの機能を搭載して、価格は3万9,900円。ほかのポタアンに比べるとかなりコストパフォーマンスがいい商品といえる。また、独自の高速充電機能を搭載しており、30分で約70%までの急速充電ができるなど、スマートフォンをサポートする機能を満載した1台だ。

【3】Bluetooth対応。ワイヤレスで高音質を堪能できる「サウンドブレスターE5」

最大192kHz/24bitに対応した高音質再生が可能な「サウンドブレスターE5」。今回紹介する3種類のなかでもっとも軽量な約164gを実現した小さなボディには多彩な機能が満載だ。

スマートフォンはもちろん、PCとMacなどUSB接続が可能なデバイスにはすべて対応しており、PCで映画を観ながら、テレビゲームをしながら、大迫力の音を楽しむことも出来るのだ。また、ポタアンとしては珍しくBluetoothも搭載しており、ケーブルレスで高音質なサウンドを聴くことも可能となっている。

専用のアプリをスマートフォンにダウンロードすれば、音声コントロールやミュートのON/OFFなど、個人の好みで細かな調整も楽しめる。サイズは幅70mm×奥行き111mm×高さ24 mmとこちらもコンパクトサイズ。さらに、2万2,800円と手に入れやすい価格なので、ポタアン初心者にオススメな商品。

製品を駆使すれば、高級ヘッドフホンやイヤフォンといったアクセサリ真価を引き出し、楽しみの幅も広がる。なによりも、好きなシチュエーションで楽しむ未体験の高音質が、あなたを感動させてくれるハズ。これを機に、目眩くハイレゾの世界へと、足を踏み入れてみてはいかがだろうか。

文:長浜優奈(EditReal)