2016/06/14

【イベントレポ】ワイヤレスジャパン2016に潜入! IoTや通信技術は、家やオフィスをどう変える?

私、コバスチャンです。こんな感じで行ってきます

5月に東京ビッグサイトで行われた、「ワイヤレスジャパン2016」。"モバイル/ワイヤレスで実現するビジネス・イノベーション"と銘打って、IoT(Internet of Things)関連の最新技術が展示されるイベントです。

IoTって名前は最近よく聞くけど、それによって私達の生活がどう変化するのかがいまいちわかりにくい。ということで、「OneMe Store」のバイヤーである僕、コバスチャンこと小林が、IoTやワイヤレス技術の最前線をレポートします。ではさっそく突入してみましょう。

家やオフィスが、ますます"スマート"に!

今回のイベントはB to Bの展示が多く、平日に参戦したこともあって会場内にはビジネスマンが目立ちました。そもそも「IoT」は、平たく言うと「モノのインターネット」。機械やデバイスをインターネット経由で操作できますよ! ってことで、これから大きな成長が期待されている市場なんです。スマートフォンがあれば、スマートロックやスマートコーヒーメーカーもあるのが現代です。

サムターンに取り付けるだけで、自宅のカギがスマートロックに

こちらの「Qrio Smart Lock」(Qurio)は、スマホアプリでカギの開閉ができるスマートロック。粘着シートでドアに取り付けるタイプなので、カギの交換や穴あけは必要なく、賃貸住宅でも使えるそうです。

本体はBluetooth LEを使ってスマホと通信していて、通信圏内に入ると自動的にカギを認識し、スマホのスライド操作だけで解錠できます。まだ試用版ですが、操作のいらない「手ぶらで開錠機能β」もリリースされているとか。さらにカギのURLをコピペして、期間限定の開錠キーを他人にメールで送ることもできます。ちょっとしたホームパーティーや、今話題の民泊なんかにも使えて便利そうですよね。

コーヒーメーカーもアプリで遠隔操作・管理する時代に?

こちらは、皆さんも一度は使ったことがあるかもしれない、のネスプレッソ(カプセルを使うコーヒーメーカー)のスマホアプリ連動型バージョン「PRODIGIO」(ネスレネスプレッソ)です。

専用アプリを使って、カプセルの残数管理や新たなカプセルの注文、さらにコーヒーの抽出の予約時間管理などもできてしまうという、家にあってもオフィスにあっても便利な一台でした。

会場のデモではシートから電力を供給され、電池無しでミニ四駆がぐるぐると走り回ってました

あと、まだ研究段階ではあるものの、NICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)が展示していた「載せるだけ! 電力とデータのやりとりができる自由なシート媒体通信」には興味を引かれました。

ケーブルがいらないデスク、ほしいです

これ、データと電力をマイクロ波に変換して閉じ込めるシートで、薄い板のほか、布に織り込むこともできるそうです。たとえばデバイスを机の上に置くだけでデータ通信や充電ができたり、衣服に使ってウエアラブルセンシング(ウエアラブルセンサによる計測技術)などに応用できたりするとか。未来の素材って感じがしますよね。

公衆トイレやビルのセキュリティまでもがスマホと連動?

もちろん、IoTは家の中だけで使われるわけではありません。広い範囲での社会インフラとして、どんどん通信技術が活用されているようです。たとえば、これ。

なんと、「IoTでトイレの危機的状況を回避!」ということで、スマホからトイレの空き状況をすぐに確認できるという画期的なサービス。その名も「トイレsearching」(レンジャーシステムズ)です。

どのようなサービスかというと、オフィスやショッピングモールなどの商業施設・駅・観光施設等のトイレの各扉にマグネットセンサービーコンを取り付け、ゲートウェイ経由で常時空き状況をモニターすることができるのだそう。

東京ビッグサイト内のトイレ混雑状況。こんな感じで、スマホでチェックできるんです

洋式・和式・多目的など、種類別の個室の空きを確認できるので、赤ちゃん連れのママさんなどがオムツ交換したいときなど便利ですよね。女性トイレは混雑が激しいので、列の長さや待ち時間などもセンサーで計測できるように現在開発中とのこと。僕も外出中でのトイレに困ることも多いので、トイレの位置情報を含めてもっと広まると便利になるなと感じました。

このように、どこのワナで捕獲されたのかを一括で確認、管理。これで、自治体職員や猟友会の方の捕獲や見回りが楽になります

続いては、山間部の農村地帯でのICT導入事例。富士通のブースに展示されていた、「広域鳥獣クラウドサービス」です。僕もこの展示を見るまで知らなかったのですが、2009年以降、野生鳥獣による農作物被害額は200億円を上回り、そのなかでもイノシシやシカの被害は全体の7割を超えていて、増加傾向にあるそうです。

そこで、この「広域鳥獣クラウドサービス」なるものが開発されました。これは上の写真のような「箱ワナICTキット」という通信機能を備えたワナを設置し、近隣の農家や猟友会の方に画像つきで捕獲通知を送信するというもの。捕獲データはクラウドで管理され、地域の害獣対策などに役立てられます。

農作物などに被害を及ぼすのは主に成獣ということで、カメラで個体の大きさを判別し、設定したサイズ以上の獣がワナに入ったときにだけ捕獲するようにもできるそうです。

意外なところでは、神社で夜間の侵入者を監視するために採用されているという「BE BARRIER」

そして、工場やオフィスビルなどのセキュリティに使われるちょっと変わったサービスを。こちらは、「BE BARRIER」(Coorde7)という新しいセキュリティーサービスで、コンパクトな電磁波センサーデバイスを建物や敷地内に設置することで、その場所への侵入者を"見える化"するとのこと。

侵入者のチェックというと一般的には監視カメラなどで行っていますが、ネット上のセキュリティに比べて物理的なセキュリティには抜け道が多いんだそうです。そこで、このサービスで目をつけたのが、ほとんどすべての人が持っていて、これからますます増えていくであろう通信機器の「電波」。それぞれの電波にはアドレスが含まれているので、普段は使われていない電波を検知したり、時間帯や頻度などに不審なところがあったりすると、管理者にアラートを上げるようになっているとか。

目のつけどころはいいと思うんですが、惜しいのが今のところはWi-FiかBluetoothの電波しか特定できないそうなんですよね。4Gなどの電波も拾えるようになれば、汎用性が高まりそうなんですけど......。

最後に、KDDI研究所のブースものぞいてきました。展示されていたのは、当サイト「TIME & SPACE」でも以前に紹介した、「無人航空機を活用したEメール配送システム」など。

実際に使われた無人航空機が展示されていました

これは災害時を想定したメッセージ蓄積中継システムで、携帯電話が使用できない孤立した被災地上空へ無人航空機(マルチコプタなど)がEメールのデータを受け取りにいき、持ち帰ってメッセージゲートウェイに送るという現代の伝書鳩のようなシステム。こうした実験的な試みもまた、ワイヤレス技術を使った新しいインフラとしての可能性を秘めているんですよね。

IoTは、「トイレ」で考えるとわかりやすい

今回のイベントでは、ちょっと進んだ家の中から山の中まで、様々なIoT活用の形を見ることができました。なかでも僕が今いちばん身近に、このサービスや技術が使われれば便利かな~と感じたのは、"トイレのIoT空室検索サービス"でした。

40歳を過ぎた頃からどうもトイレが近くなってしまって......最近じゃ、コンビニのトイレに駆け込むことも少なくありません。危機的状況のなかでたどり着いたトイレに長蛇の列ができていたりすると、かなり死活問題なんですよね。このように、誰にとっても必要で、身近なサービスが広く普及すると、世の中がひとつ便利になるのかなーと思いました。では、また!

文:コバスチャン(OneMe Store)