2016/03/28

『ロボットタクシー』の実証実験がすでに始まっているようです

今年注目を集めているのが、さまざまなセンサーやコンピューターなど、最新テクノロジーを駆使した自動運転技術。CMやニュースなどで見かけることが多くなり、身近に感じ始めた人も多いのでは? そんななか、「DeNA」と総合ロボットメーカー「ZMP」の合弁会社「ロボットタクシー」が、自動運転技術を利用したサービスの運用実験に着手。みんなが子供の頃に思い描いていた、無人タクシーの実現へ向けて一歩を踏み出した。

2016年2月末、神奈川県藤沢市の公道で実証実験がスタートした「ロボットタクシー」。実験の内容は、公募した近隣住民10組が参加し、パソコンかスマートフォンでの配車予約から、実験車両による住居とイオン藤沢店間の送迎を体験するというもの。安全のために、ドライバーとオペレーターが乗車したうえで自動運転走行を行った。また、運行に対する社会的受容性を確認するため、ユーザーの生の声も収集。サービスの現実化に向けて、着実に新たなステージへと向かっている。

広報担当の青野光展氏によると、「自動車が日常の足として使われている地域での具体的な実験となりました。モニターの皆様からは、『自ら運転しなくても、気軽に使える交通サービスの実現に期待したい』と応援いただいています。また、自動運転は想像よりもスムーズで、違和感もなく安心との声をいただいています」。

そもそも「ロボットタクシー」は、自動運転車両を利用した新しい日本の交通サービスとして、過疎化や高齢化の進む地域を中心に、移動が不便な人びとにとっての新たな交通手段として構想されたもの。病院や介護施設への巡回や、廃線になったバスや電車の代わりとして、また、外国人観光客が言語に悩まず利用できる移動手段など、地方創生、都市の国際競争力強化への貢献といった点からも注目されている。

また、交通手段としてだけでなく、運輸やショッピングサービスといった、さまざまなジャンルとの連携も期待されており、自動運転ならではの低コストが、大きな可能性を生み出そうとしている。

「今後も、自動運転を利用した交通サービスが社会に受け入れられるよう熟考し、より快適なシステムへと成長させていきたいと考えています。もちろん、一層安心できる技術の開発も欠かせません。われわれが取り組むべきことは多いですが、ロボットタクシーは世の中の課題を解決するサービスになり得ると感じています。期待に応えるため、今後も開発陣一丸となって取り組んでいきたいです」と青野氏。

一般化するにはいくつかのハードルを越えねばならないとはいえ、「ロボットタクシー」は技術面だけなら完成間近といえる。無人のタクシーが田舎のお年寄りを都市の病院へ案内し、帰国した外国人観光客が日本でのハイテク体験を誇らしげに語る。そんな時代が、もう目の前まで来ているようだ。

文:金井幸男