2018/12/13
彼女との“おもいで”が蘇った! 笑いと涙の『おもいでケータイ再起動』大阪編
大阪でガラケーと“おもいで”の再起動
「おもいでケータイ再起動」が大阪で行われました。
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場所はJR大阪駅のすぐ近くにある「au OSAKA」。
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「おもいでケータイ再起動」は、電源が入らなくなったガラケーをお持ちいただければ、専用機器「バッテリーテスター」を使って再起動し、保存されていた写真をプリントしてプレゼントするイベントです。
こちらがその「バッテリーテスター」。
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手持ちのガラケーに合う充電用ケーブルがあれば、いつでも充電できると思われるかもしれませんが、実は古いガラケーのバッテリーは、結構使えなくなってしまっているケースが多いんです。昔のガラケーって、だいたい押入れとか引出しの奥にしまってありますよね? 普段充電することなんてあまりない。でもそうして放置しておくと、電力を完全に使い果たしてしまうのです。そして“充電するために必要なパワー”すらなくなってしまう。いくら合うケーブルがあっても、そのガラケーは充電できません。
バッテリーテスターを駆使して、そんなガラケーに息を吹き返させるのがこちらのイベント「おもいでケータイ再起動」。2017年7月に名古屋からスタートし、KDDI直営店を中心に、今年8月までに仙台・福岡・那覇・長野・赤坂、東京と神奈川のららぽーと3店舗で開催してきました。
そして今回の「au OSAKA」は、今年5月の那覇以来、久しぶりのKDDI直営店での開催。
イベント開始前から行列ができるほどの大盛況。
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現場でまずお申し込みいただき、受付開始時間をお知らせするというかたちで、参加いただいたみなさまにはご迷惑をおかけしました。思わぬ大反響で、午前中に受付を終了してしまい、ご対応できなかったみなさま、本当に申し訳ありませんでした。
“おもいで”の写真たちをフォトブックとして
過去の「おもいでケータイ再起動」では、よみがえったガラケーからお好きな写真を1枚選んでいただき、プリントアウトしてプレゼントしてきました。
今回は、最大180枚まで好きな写真を選んでいただき、フォトブックというかたちにしてプレゼント。富士フイルムとのコラボレーションで実現した、このイベント初の試みです。
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再起動したガラケーから写真をモニターで選んでレイアウトして、
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プリントしてその場で製本。

こんな感じのフォトブックに仕上げてお渡しする富士フイルムのサービス「PhotoZINE(フォトジン)」で、こちらも大好評!
今回もたくさんのガラケーが蘇り、たくさんの笑顔が
古いガラケーにあらためて電源を入れることは、まさに“おもいで”まで再起動するということ。ケータイって、親友よりも夫や妻よりも、一緒に過ごす時間が長い“相手”かもしれません。
だからお持ちいただいたガラケーに電源が入ると、みなさんこんなテンションです。
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このイベントには、まさに“老若男女”あらゆるみなさんがいらっしゃいます。
性別も世代も属性も本当にバラバラなみなさんが、持ち込んだガラケーの電源が入ると、瞬時に破顔。ケータイショップのカウンターで、目の前にいるのはその日会ったばかりのスタッフなのに、このうえない笑顔に変わり、空気がなんだかあたたかくなるのです。
それが「おもいでケータイ再起動」。
大阪で再起動したガラケーと“おもいで”たち
さて今回、au OSAKAでは、どんな“おもいで”が再起動されたのでしょうか。
■「40年ものの晴れの日の衣装」川崎さん母娘
「あー、この頃はまだ自分の顔だったんですねー」と、感慨深げなのは26歳の娘さん。大学時代に使っていたガラケーから当時のプリントシールが大量に発見されました。
今のプリントシールは、撮影した画像を自由自在に“盛る”ことができますが、彼女のガラケーのディスプレイに現れたのは、まぎれもなく彼女の顔。
「あー、5〜6年前って“盛る”っていっても美白程度だったんですね(笑)。今みたいに自由に“変形”できると、こうしてあとで見てもグッとこないかもしれないですよね」

そんな彼女のとなりでお母さんが「あっ」と声をあげました「この着物……」。
娘さんが応じます。「あ、これって私やんな?」
「うん、これはあんたやね」
実はこの着物、40年前に仕立てたもの。「晴れの日にはこれで」と、そもそもはお母さんのお母さんが、お母さんのお姉さんのために作ったそうです。
お母さんが続けます。
「姉が成人式で着ましたし、私も着ました。姉のところに女の子が2人できて、うちには3人いて……全員成人式はこの着物でした」
つまり、川崎さん家の女性たち、都合6人が40年にわたって受け継いできたことになります。
「あ、でも成人式だけじゃなくて結婚式とか晴れの日は、全部これやったよ」と娘さん。
「最初作るとき、“一生着るものだからちゃんとしたものにしよう”って言ってたんよ」
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フォトブックを作るのに、モニターで過去の写真を眺める2人。そこには同じ着物を着た従姉妹の姿もありました。
「一生着るどころか(笑)。もし私に娘が生まれたら、絶対着せようと思います」
■「画期的再起動者」 なぎさん
ずらりと並ぶ10台以上のガラケーを持ち込んだのは、15歳のなぎさん。
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「サンヨーのスライド式のケータイが好きで、いちばん好きなモデルがW54SAなんです」
写真でいうと、水色の端末とその左2台がそれ。
所有する電話の多くはネットオークションで手に入れたもの。1台は故障しているものの、ほかはすべて普通に電源が入って動くものだそう。
「好きなんですね」、と声を掛けると「でも、台数的には10年前のほうが多かったです」。
当時5歳。……ん、どういうこと?
「両親とか知り合いから機種変のタイミングで、いらなくなった端末をもらっていたんです。それで、こんな人間になってしまいました(笑)」
“こんな人間”っていうのは、「着信メロディー好き。しかもガラケーにプリセットされたのがいいんです」。
で、この日再起動したのは、お母さんからのおさがりのC304SA。
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見せてもらうと、ドヴォルザークの「新世界より」、ショパンの「別れの曲」、ムソルグスキーの「展覧会の絵」などなど。おなじみのクラシックの定番曲たちが、シンプルなアレンジの電子音で再生されます。
「これで3〜4和音かな、アレンジがいいし、響きがいいんですよねー。あー、いいなあ」
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ちなみに、実際に本人が使用していた古いガラケーも再起動。1枚だけプリントアウトした写真がこちら。
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「W11Hですね! 新しく手に入れたケータイを前のケータイで撮影したんです!」
筋金入りのガラケーマニアなのです。
■「父と愛犬」 田村佳子さん
お父さんを2010年に亡くし、実家でお父さんがかわいがっていた柴犬のベニちゃんを今年亡くしたという田村さん。
「昔使っていたガラケーに、父とベニが戯れてる動画があったなあと思って……」
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お母さんが3年前まで使っていたガラケーには、残念ながらお父さんとベニちゃんの動画は見つかりませんでした。代わりに出てきたのは自宅らしき場所でベニちゃんが映り、背後でお母さんが「ベニー、ベニー」と呼んでいる日常の風景。そして、田村さんが涙したのは、待ち受け画面が出てきた瞬間。
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それは、愛犬・ベニちゃんとお父さんをレイアウトしたものだったのです。
「母がこんなもの作っていてなんて……」
さらに、予想外の画像も出てきました。
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ベニちゃんのさらに先代犬のノマちゃんの画像が出てきたのです。
「野間町から来たから、ノマちゃんって名付けたんです」という言葉の最後のほうは完全に涙声に。
「この子は2004年に亡くなったんです。今回は父とベニのことを考えて来たので、ノマの画像は不意打ちでした」
■「高校時代から成人までの写真がまるっとないんです」田中淳詞さん
田中さんの思いは切実。ある種、携帯電話が一般的になった時代に青春を過ごす者たちにとっては避けて通れない問題かもしれません。
現在28歳の彼が持ち込んだのは、2005〜2010年までのあいだに使っていた2台のガラケー。つまり15歳〜20歳までの思い出が詰まった2台です。普段必ず持ち歩き、学校生活とも日常とも切り離せなくなった世代の携帯電話には、まさに“おもいで”が全部詰まっています。
「ハードディスクとクラウドに分散して保存されている写真をちゃんと整理しようと思って、2年前に着手したんです。そしたらどこをどう探しても、2006年から2010年のデータがごっそりないことに気づいたんです。どうやら昔のガラケーにしかないっぽくて」
ちょうど高校生活の日常と修学旅行、さらには成人式までを網羅する時代。
「信じられないぐらいのショックで。1年前からこのイベントが近くに来るのを待っていたんです」
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で、この表情。
「ああ、うれしい……なんやこの動画? “先生トイレ!”“マリオラッパー”。わけわからんもんいっぱい入ってますね! へーーー」
しみじみ。
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「自分で保存したり、友だちがメールで送ってくれた画像とかムービーとか、わけわからんものがいっぱい入ってます(笑)」
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「あ、修学旅行!」
沖縄の伊江島で民泊した時の画像は待ち受けになっていました。
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「いちばんうれしかったのは、高校時代の日常の写真が出てきたこと! 今はもう潰れてしまった行きつけのパン屋とか。カツ丼1個3,500キロカロリーっていうデカ盛りの有名な食堂とか」
「ここにあったか」と小さな声で言ったのはガンプラ。中学高校時代にせっせと作ったものの「写真で残すから心残りはない!」と自らに言い聞かせ、アーカイブ化して全部処分したガンダムのプラモデルたち。
失われたアーカイブがおおよそ10年ぶりに蘇ったとのこと。
■「これメインで、あとはノープランです」下田さん一家
というのは、パパの言葉。パパ、ママ、ハルちゃん、イチくん、赤ちゃんの五人家族は、「おもいでケータイ再起動」のためだけに福岡からやって来てくれました。
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5人が座っている椅子の後ろにはキャリーケース。新幹線で大阪駅に着くや否や、その足で会場入り。
「イチの赤ちゃんのころの写真がガラケーにしか入ってなくて、それをどうしても見たかったんです」とママ。3月に福岡で開催したんですよ! 「そのときは知らなくて……」
携えてきたのは3台のガラケー。①6年前、②9年前、③さらにもうちょっと前に使っていたもの。結果的にはすべて首尾よく再起動できました。
当初の目的、長男のイチくんが赤ちゃんだった頃の写真を見て、お姉ちゃんのハルちゃんが絶叫。
「おにぎりだー! イチ、めちゃくちゃおにぎりだー」。どうやら顔のフォルムのことを言ってるみたい(あとでお見せします)。
で、②のケータイに写っている幼き日の自分を見ては「ホラホラ、ハル超かわい〜」とアピール。返す刀であらためて「イチおにぎり〜」と弟いじりに精を出す。。
ですが、人生どこに落とし穴があるかわかりません。
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ハルちゃんの動画を発掘。「母ちゃん」と「父ちゃん」への愛を歌ったオリジナルソング。Tシャツとパンツというセクシースタイルです。床に置いたバランスボールを全裸で頭でぐいぐい押すという謎の動画も。これには、おにぎりのイチくんも爆笑。
「やだー見ないでー(照)」と絶叫するハルちゃんの声を、ママの「あ!」が遮りました。それは3台目の、ママがまだ結婚する前に使っていたガラケーが再起動した瞬間。
「ええと、これはもういいからしまっておこうね」
10年前のママのプライベート・ガラケーは、瞬時に荷物のなかに戻されるのでした。
そして、みんなでフォトブック作成!
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おにぎりっぽく見えるのが、長男のイチくんです。ここでも「アタシかわいい」「イチおにぎり」のくだりを繰り返し、「えー、私の写真はいいよー」「せっかくだから入れようよー」といったやり取りを経て、完成したのがこちら!
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こうして「おもいでケータイ再起動」を象徴するかのような一冊に!
初めて会った下田さんご一家の“おもいで”に、スタッフがみんなグッときていたそのとき、下田パパがすごく小さな声でつぶやきました。
「オレの写真は1枚もなかったけどね……」
■「それは前の前の彼女かな」ゆうさん
「すっごい感動しますわー」としきりに繰り返していたこちらの方。
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お名前を聞いたら「みんな“ゆうさん”って呼んでくれてます」……って、なんかとても雰囲気のある方です。
最初に蘇ってきたのは、ゆうさん自身が働いていた「宝塚ファミリーランド」閉園の日の画像。2003年8月31日。「確か1日で2万人ぐらい来たんです」
そして別のガラケーが再起動して、待ち受けに登場したのが翌年、2004年の「神戸ルミナリエ」。阪神・淡路大震災を機に、鎮魂と追悼、街の復興を願って行われている芸術的なイルミネーション。
「あ、これ、前の彼女ですね!」
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お見せできませんが、非常に清楚な感じの美女です。現場の男女スタッフ全員「えーーーっ」って絶叫したほど。
当時20歳以上年下の大学生で、「僕が阪神タイガースの応援団やってて、彼女は全然野球に興味なかってんけど、一緒に応援に行ったらなんか矢野(燿大)のファンになってしもうて(笑)」
2人の甲子園球場でのラブラブな写真もありました!
その前に使っていたガラケーを再起動させようとバッテリーを取り出そうとしたとき。 ゆうさんは「ああ」と小さな声をあげました。
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「前の前の彼女ですわ」
これまたアーバンな佇まいの神戸ガール。「モテモテじゃないですかー」と茶々を入れようとしたところ、ゆうさん、この顔。
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「彼女とは結婚直前まで行きました。奥さんと別れて和歌山に引っ込んでた僕が西宮に出て来たときに知り合ったんです。精神面も生活面も、経済面も……今、僕がこうしていられるのは全部彼女のおかげだと思っています」
にわかにシリアスなテンション。再起動するには、バッテリーから彼女とのツーショットのシールを剥がさなければなりません。その旨を告げると「じゃあ、やめときますわ(笑)。これは1枚しかないから、大事にとっておきます」
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「なんか久しぶりにめちゃくちゃ汗かきました(笑)。こんなおっさんまでドキドキさせるなんて、えらいイベントですね(笑)」
ガラケーと“おもいで”を再起動させるということ
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今回のイベント期間中、約250名に参加いただき、結果約500台のガラケーを再起動させることができました。初日と2日目に関西のニュースなどで取り上げていただいたこともありますが、「自宅に眠る古いガラケーを復活させる」ということへのみなさんの興味と意欲に、あらためて驚かされることとなりました。
そして今回初の試み、富士フイルムとのコラボによるフォトブックサービスに喜んでいただけるみなさんの多かったこと!
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携帯電話にカメラ機能が加わって写真は身近になりましたが、プリントすることも少なくなりました。ガラケーから写真を取り出したいのも、それゆえなのでは? 「撮る、残す、飾る、そして贈る」という写真本来の持つ価値を重視し、伝えていこうとしているのが富士フイルム。今回それをフォトブックというかたちで提供いただきました。
いつもの「おもいでケータイ再起動」ではプリントする1枚を選ぶのに、じっくり吟味される方が多いのですが、今回最大180枚というフォトブックでも、悩みに悩まれる方多数。
「どれも大切な写真で選べない」
「180枚でも足りない」
なんて声もあちこちから聞こえてきました。そして写真を選んでいる時のみなさん、超笑顔!
これからも「おもいでケータイ再起動」続きます
再起動スタッフは常に真剣。通りいっぺんのマニュアルどおりの作業を行なうのではなく、みなさんの再起動への思いを聞くにつれ、なんとか、どんな手段を使ってでも電源が入るところを見たいと考えています。
たとえば「バッテリーテスター」は、「おもいでケータイ再起動」における“秘密兵器”ですが、実はそれ以外にも再起動のためのさまざまな手段を講じていたりもします。回を重ねるごとに再起動の成功率は高まってきているという自負もあるんですよ!
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2017年夏に始まり、KDDI直営店だけでなく、今やさまざまなところに出張し始めた「おもいでケータイ再起動」。累計来場者数 約1,900人、約1,600台のガラケーに電源を入れ、それだけの“おもいで”をみなさんにお届けしました。
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今後もこの営みは続けていきます。できる限りお持ちいただいたガラケーを再起動できるように、いろいろなアイデアを用意しています。みなさんのお近くに行くことがあると思いますので、昔のガラケーをお持ちのみなさん、どうかその日まで大事にしまって待っててくださいね。
写真:TIME & SPACE編集部
文:武田篤典
※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。