2014/03/07

取扱説明書リサイクルが森を育て支える au携帯電話取扱説明書リサイクル

取扱説明書の省資源化が出発点となった循環再生紙へのチャレンジ

立ち上げ段階から、プロジェクトを担当してきた井上直子

KDDIは昨年9月に、青森県および八戸市と協定を結び、「KDDI au取扱説明書リサイクルの森 八戸」を開設、12月には宮城県南三陸町の入谷生産森林組合と「KDDI au取扱説明書リサイクルの森 南三陸」を開設した。2012年には、岩手県釜石市の釜石森林組合が主催する「森の貯金箱プロジェクト」との連携も開始している。KDDIが森林整備支援を資金面でサポートするとともに、これらの森から採れる間伐材を利用して木工品などを宮城県南三陸町にある工場で製作し、ノベルティとして配布することで、森林保全と東日本大震災被災地への支援につなげるというプロジェクトだ。

森林保全も被災地支援も、現在では多くの企業が取り組んでいる課題だが、KDDIのプロジェクトのユニークな点は、その出発点が、携帯電話の取扱説明書の改善であった点だ。

立ち上げ段階から、東北での活動をはじめとする「au取扱説明書リサイクル」プロジェクトを担当してきたKDDI プロダクト企画本部プロダクト品質管理部の井上直子は、その経緯をこう説明する。

5年ほど前までの分厚い取扱説明書

「私たちの部署は、主に携帯電話の取扱説明書のチェックを担当しています。その中で、紙の使用量を減らすことによる資源の有効活用を進めてきましたが、さらにお客さまと一緒になってCSR活動につなげていけるような取り組みをしたいと思っていました」

実は取扱説明書自体も、記載内容を変えたりイラストを入れたりして、小型軽量化による省資源化を図ってきた。詳しい内容はウェブで公開するようにしたり、取扱説明書アプリを導入することにより、5年ほど前までは2冊組みで400g以上あった取扱説明書が、現在のスマートフォンでは、取扱説明書は名刺サイズのごく簡単なものになっている。

左から、歴代の取扱説明書。一番右が最新のもので、詳細はウェブで公開

さらなる資源の有効活用のために目を付けたのが、機種変更などで不要になった取扱説明書のリサイクルだ。中でも、採用する事例もまだまだ少ない「循環再生紙」にチャレンジしたのである。このチャレンジとは、自社から出た紙を回収してリサイクルに回すだけでなく、その回収した紙を自社の印刷物などに再利用するというもの。その中で、取扱説明書は、お客さまへの説明責任を果たす重要な文書のため、質の良い紙を使っており、さまざまな用途に再利用できることも背中を押した。

使用済み取扱説明書の回収ルートも一から作り上げる

循環再生紙の"循環の輪"の出発点となるのはお客さまである。そこで、携帯電話の機種変更などで不要となった取扱説明書や説明チラシ、個装箱を全国のauショップで回収することにした。

auショップ店頭に設置している「取扱説明書リサイクル」ポップ

MNP(携帯電話番号ボータビリティ)などでKDDIに乗り換えてくださるお客さまもいるため、他社の携帯電話の取扱説明書等も回収している。回収された取扱説明書等は、箱詰めにされ、循環再生紙専用のルートで古紙会社が回収する。古紙会社によって手作業で仕分け・プレスされて製紙工場に送られ、再生紙としてよみがえる。

「全国に約3000店舗あるauショップが、どこに古紙を送るかというところから決めないといけませんでした。北海道のauショップから東京の古紙会社に送っていては、回収による環境負荷も大きくなり、輸送費もかかります。製紙会社の各支店や各地域の古紙会社さんにご賛同いただいて実現できました」(井上)

「KDDI循環再生紙」を利用した封筒

こうして構想がスタートしてから約半年の準備期間を経て、2007年11月に、まずは関西でトライアルを開始。2008年2月には全国に展開をした。

その後、KDDI社内で発生する古紙(古いカタログや個人情報の入っていない帳票など)も循環再生紙の対象に加え、循環再生紙の使途は、KDDI社内報や広報誌のほか、封筒、取扱説明書、メモ帳などのノベルティ等多岐にわたる。封筒では、それまで利用していた紙よりも薄いため、裏(封筒の内側になる面)にKDDIのロゴをびっしりと印刷して、中が透けて見えないように工夫した。再使用したものには、「KDDI循環再生紙」のロゴを刷り、資源の有効利用に帯する社員への意識付けや対外的な案内にもなるようにした。

「回収した紙が、実際にこうなったんだと訴えかけることができますし、名刺になったときは感動しました」と井上は述懐する。取扱説明書リサイクル活動によって回収された古紙は2012年度までで合計約8,828t、東京タワー2棟分以上に達している。

古紙売却で得た資金を還元したいとスタートした森林保全活動

いいことずくめに思える循環再生紙だが、その実現にはさまざまなハードルがあった。循環再生紙では、回収・再生の各過程を、ほかの古紙とは分けて進める必要がある。auショップではほかの古紙とは分けて回収に出す必要があり、製紙会社がKDDI循環再生紙を製品管理するため、古紙会社でも、ほかの古紙と混ざらないようにするのはもちろん、各auショップから何kg回収されたかを計量してもらう必要がある。各過程で、多くの作業をお願いすることになってしまう。

森林保全活動を推進している杉田江梨

「循環再生紙は、お客さま、auショップ、全国のauショップから回収してくださる宅配便会社、古紙会社、製紙会社と、いろいろなステークホルダーの方にご協力いただいています。ふつうの再生紙では考えられないほどの手間をかけていただいていて、それでも『儲けじゃないよね、KDDIが全国で取り組みをするのであれば協力するよ』といってくださるので、協力いただいている方々には、本当に感謝しています。だからこそ、古紙を買い取ってもらったお金は、できる限り皆さまに還元したいと思いました」と井上。

そして古紙売却金を還元する手段として始めたのが、森林保全活動だ。各地で森林保全活動を行うNPOや自治体に協力し、富士山(山梨県)、天王山(京都府)、海上の森(愛知県)など、全国11カ所の森の保全活動に参加している。

「取扱説明書の校正を担当する部門と聞いて異動してきましたが、リュック背負って山へも行くのかと大変驚きました」と笑いながら語るのは、取扱説明書リサイクルの仕組みが出来上がってから現在の部署に異動し、井上とともにプロジェクトを担当する杉田江梨。「森作りへの支援からスタートして、保全地域では、植林や間伐体験等、社員やご家族も活動に参加できる取り組みをしています。日常から離れ森に入ると、みなさん夢中になって作業されます」。

次のステップは、そこで出てきた間伐材の利用となった。杉田はこう続ける。

循環再生紙から、森林保全活動。そして、そこから生まれ変わったスマートフォンスタンドやメモ帳、ブックマーク(しおり)など

「間伐支援は全国で行っていますが、当然市街から離れた場所であり、お客さまの生活には間接的かつ時間を掛けて還元されていくものなので、それまでのスキームだけで十分なのか疑問を感じていました。森林保全の現場を見るうち、その森の一部を還元していきたい、お客さまの目にふれ触ってもらえるものに変えていきたい、と思いました。そこで新たな取り組みとして、間伐材の再活用を通じて、地域の林業や木工業の活性化促進とCSR責務を果たし、お客さまと一緒に環境保全活動に参加できるような仕組みを始めています」

KDDIが支援する森から排出した間伐材で作られたスマートフォンスタンドや、循環再生紙で作られたカレンダーをauショップやオンラインショップで配布し、取扱説明書リサイクル活動の全体像を知ってもらったり、お客さま自身のリサイクル意識を上げることを目指している。

森林保全を通じて東日本大震災被災地の復興を支援

2012年には、間伐材からより大きな実用品を製作した。釜石森林組合の「森の貯金箱プロジェクト」との連携によって、地元材を用いたバス待合所とベンチを寄贈したのである。釜石森林組合は、木材を卸していた工場が東日本大震災で被災したことから木材需要が減少し、森林整備が停滞する危機にあった。震災後の釜石市の人たちの困窮は言うまでもない。そこでKDDIの森林保全活動と地元経済の復興が相まって、農林事業の再興や森林保全の成果を公共施設に変えることで、釜石の復興を支援するというプロジェクトにつながった。

「大きいモノなのですが、棒状の木材で組み立てられるようになっていて、復興計画が進む中で、形を変え組み立て直すことで、サイズや場所を変えて再設置することが可能な設計になっています。また、私たちの取り組みを受けて、ほかの企業が賛同したり他の地域にも波及したり、復興リレーにつながっていければいいなと考えています。実際に2013年には、釜石市で他企業様が同じくバス待合ベンチ寄贈をされました。他企業様がこれにソーラーパネルを付ける計画もあり、複数の企業が同じ気持ちで取り組めていることが本当にうれしいですよね」と杉田は説明する。

釜石市のスギ間伐材を活用して製作したバス待合所とベンチ

さらに冒頭で紹介した「KDDI au取扱説明書リサイクルの森 八戸」「KDDI au取扱説明書リサイクルの森 南三陸」の開設に続き、今後、その他の各地域にも範囲を広げて、東日本大震災で被災した東北沿岸地域全県への支援を目指している。

循環再生紙と間伐材を利用し、宮城県南三陸町の工場で製作した「2014卓上カレンダー」

「今後も国内材の活用を進めていきます」と展望を語る杉田。「KDDI au取扱説明書の森 長野」の間伐材が、地元の小学校の建築材料に使われるなど、支援した結果が大きな取り組みの一部になる例も出ています」。

井上は、7年以上に及ぶ取扱説明書リサイクル活動で得たものをこう語る。

「循環ということが大切なんだなとつくづく思います。この仕事では、キーワードはいつも循環です。還元方法も、サークルにするために何ができるかなといつも考えています。その輪が大きな輪であっても、小さな輪であっても、いろいろな人を取り込んで循環型の活動を広げていくことが重要だと思っています」。

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