2013/06/19

KDDI研究所見学会レポート〈「使いこなす」を実現する技術〉を公開

KDDI研究所見学会レポート〈「使いこなす」を実現する技術〉を公開

5月23日、KDDI研究所は〈「使いこなす」を実現するKDDIの技術開発〉をテーマに、埼玉県ふじみ野市にある同社研究所で最新技術を公開した。KDDI研究所として初めての試みだ。見学会では、同日発表されたAdvanced MIMO技術をはじめとした研究内容が紹介された。

KDDI研究所の中島康之所長

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KDDI研究所の概要

まず、中島康之所長がKDDI研究所の概要を紹介した。

KDDI研究所は、1953年にKDD(国際電信電話株式会社)の研究部として発足した。1987年に現在のふじみ野に移転。1998年、より小回りのきく研究開発を目的として、KDDとは別組織の株式会社KDD研究所となった。2001年には、KDDI発足と同時に、京セラDDI未来研究所と合併し、株式会社KDDI研究所となった。

現在、研究所には300名弱の研究員がおり、メインとなる埼玉県ふじみ野市の研究所には200名、東京都千代田区飯田橋の研究センターには100名弱が在籍する。

FMBC(Fixed Mobile Broadcast Convergency:固定通信・移動通信・放送の融合)に向けて、KDDIグループは3700万の加入者がいる移動体通信事業を核に、ブロードバンドサービス、ケーブルテレビサービス、モバイルブロードバンドの分野で、幅広いサービスを展開している。

KDDI研究所はそれぞれの分野に向けて、「ネットワーク高速大容量化」「サービス基盤構築」「魅力的で使いやすいサービスの実現」の3つを柱に研究開発を行っている。研究から実用化まで一貫して手掛けつつ、外部技術も取り込んでスピーディーな展開をはかっている。

グループとしてサービスを提供している分野が幅広いため、研究開発部門のテーマも多岐にわたる。各部門で要素技術を研究開発するだけでなく、研究プロモーション部門で開発された要素技術を組み合わせ、研究成果を新しいプロダクトにまとめあげる。「研究・開発・実用化の3つのステージの中で、ドロップしない仕掛けをつくっています」(中島所長)とのことだ。

標準化に先駆けた取り組みが差別化につながる

基地局装置と端末装置の間を有線で接続したデモンストレーション装置

今回の見学会の目玉は、この日発表されたAdvanced MIMO技術である。 MIMO技術(複数のアンテナを使い、同時に通信することで通信速度を向上させる技術)をさらに高速化する技術で、現在のLTEに比べると周波数あたりの利用効率はおよそ3倍に向上する。研究所では、Advanced MIMOを、LTEの次の通信規格となるLTE-Advancedで使われる標準技術として、標準規格を策定する3GPPという業界団体に提案していく。

標準化された技術は自由に使えるが、実際の利用環境に展開した時には、さまざまな条件が重なって、思い通りの性能が発揮できないこともよくある。「標準化に先駆けて研究開発を進め、良い結果を出せていれば、それをノウハウとして高い水準のサービスを提供でき、ただ標準化された技術を利用するだけの企業に比べると差別化が図れます」。標準化を待つのではなく自社の研究成果を「標準」として提案することの意義について、中島所長はこう語る。

インフラ、サービスなど幅広い分野での研究成果を公開

当日は、先に紹介されたAdvanced MIMO技術以外にも、さまざまな研究成果が公開されていた。その一部を紹介する。

■LTE-Advanced向け無線機内蔵小型アンテナ

無線機を組み込んだアンテナ素子の大きさは手のひらに乗る程度だ

携帯電話用のアンテナと無線機を一体化し、携帯電話の基地局の小型化を実現する。携帯電話の部品を転用しておりコンパクトで軽い、無線機とアンテナの間の配線不要で省エネになるというメリットがある。1基地局あたりの設備費は50%減、工事費は67%減、消費電力は50%減と試算しており、通信データ量増大に対応した基地局建設の大幅なコスト削減の切り札になると期待されている。

■電波無響室での端末の無線性能評価

中央の人形(人体ファントム)の周辺にあるポールに設置したアンテナ群で任意の電波環境を作り出す

現在のLTEでは、MIMOを利用するため携帯電話に2本のアンテナが内蔵されているが、今後、内蔵するアンテナ本数を増やしていく方向になる。アンテナ数が多い端末の無線性能評価のために、複数のアンテナから端末に向けて電波を送信して、さまざまな電波環境を作り出す技術。性能評価に利用される電波無響室(電波の反射や外部からの電波の影響を遮へいし、端末の無線性能を正しく測定するための設備)の公開。壁や天井の無数の突起は、電波を反射せず吸収して熱に変える。

■ブラウザ同期技術

オペレーターとテレビ電話で会話しながら買い物ができる。「商品の一覧を見たい」「○○をいくつ注文したい」などのリクエストにオペレーターの操作で対応し、表示が切り替わる

ネットを介してPCやタブレットのブラウザ画面を共有することにより、オペレーターによる利用者の支援を可能にする技術。利用者はオペレーターとの通話開始ボタンを押すだけで、あとの操作はオペレーター側で行い、画面の変化を確認しながら買い物支援や健康情報の提供を受けられる。

■大規模画像認識技術

画面の特徴を形から抽出する。一部分しか見えていなかったり、隠れていても正しく判定できる

スマートフォンのカメラで撮影した画像と「一致する」画像を検索し、関連する情報を表示する。あらかじめ登録しておいた画像の中から、カメラで写した画像と一致する画像を効率よく検索するために、データを圧縮したままで特徴を抽出する技術や、類似度を判定する独自アルゴリズムを実装した。

■音声合成エンジン「N2 TTS」iOS版

N2TTSを利用した「ぺらたま」という育成ゲームが展示されていた。Android版は既に15万ダウンロードされている

Android用に提供されていた音声合成エンジン「N2TTS」は、iOS版の提供が開始された。日本語の漢字かな交じり文の音訓読みの判定とアクセント位置の設定による発音記号への変換と、なめらかで自然な発生にする処理を、3.5MBのメモリーで実現する。

■つぶやき分析システム「Social Media Visualizer」

プロフィール分析の例。この日は三浦雄一郎氏のエベレスト登頂が話題となっていた

ツイッターのつぶやきを解析し可視化する。キーワードを入力することで、その話題についてつぶやいているユーザーの性別や年代、職業などのプロフィールを推測してその比率を見られるほか、その話題に対するポジティブ・ネガティブ比率などを表示する。

今後は複数のサービスの連携やビッグデータ解析にも取り組む

今後の注力分野について、中島氏は、KDDIの掲げる3M戦略(「マルチユース」「マルチネットワーク」「マルチデバイス」戦略)を基軸に、「複数のサービスが連携して提供できるサービス」を挙げた。「現在はワンアカウントでさまざまなことができるイメージだが、例えばタブレットとCATVのセットトップボックスが連携するような世界を提案していきたい」(中島氏)。

KDDI研究所の安田 豊会長

また、KDDI研究所会長の安田豊氏は、新たな分野の例として、ものやセンサーなどが互いに通信するM2Mの領域で、産業や社会インフラに役立つビッグデータ解析を挙げ、「 現在かかわっている領域以外でも、健康、医療、社会インフラ、災害対策、農業、漁業などの幅広い領域で、広く役立つような研究開発に取り組んでいきたい」とした。

取材:板垣朝子(WIrelessWire News)

※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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