2015/01/21

人間Wi-Fi隊と“現場指揮官”が東奔西走した極寒の冬コミ、その舞台裏に迫る

12月28日~30日にかけ、東京ビッグサイト(東京・有明)では年末の一大イベント「コミックマーケット87(コミケ87)」が開催された。既報のとおり、KDDIは今回もこのコミケに"参戦"。アニメ「デュラララ!!×2」とコラボレーションしたアニメパスの企業ブースを出展するなどし、ネット上では「auが本気を出している」と話題をさらった。

しかし、KDDIがコミケに参戦するからには、もちろん電波対策も「本気」だ。今回の冬コミでは3日間で延べ56万人が会場に押し寄せたが、人が混雑する分、携帯電話の回線も混みやすくなる。そこで、この超過密地帯でも快適な通信環境を確保すべく、KDDIではさまざまな対策に打って出た。

例えば、ラッピング車載型基地局で最大200人の通信環境を確保。また、KDDIの社員が機材を背負い、電波環境を確保するおなじみの「人間Wi-Fi隊」も、今回新たな試みに挑戦していた。それが、隊員たちのための新装備「ドラゴンレーダー(仮称)」の導入だ。これは、隊員自身の周囲に電波を必要としている人がどれくらいいるのかが一目で分かる、KDDI研究所が独自開発したアプリ。ドラゴンレーダーを持つことで、隊員はより電波が手薄なエリアを見つけ、自ら移動できるわけだ。

そんなドラゴンレーダーを装備した人間Wi-Fi隊を取りまとめるのが、"コントローラー"の存在である。コントローラーは、会場全体のトラフィックやLTEの通信状況を常時監視するKDDI新宿本部から指令を受け、適切な場所に人間Wi-Fi隊員を配備するという重要な役割を担う人物。いわば、会場での現場指揮官だ。

コントローラーの内藤正儀さん

コントローラーの後藤絢香さん

「当日は朝の7時から夜の10時ごろまで、現場の指揮や隊員たちのサポートに徹しました。期間中はフル稼働でしたが、3日間を通して特に大きなトラブルがなかったことが何よりでした」

内藤さんは、今回の通信環境強化対策で3回目のコミケへの出動

そう語るのは、当日コントローラーを務めていた一人、運用本部ネットワークオペレーションセンターの内藤正儀さん。先述の通り、会場には想像を絶するような人が局所的に集まるため、事前準備が何より大切になる。「会場内で確実に通信環境が確保できるよう、新宿駅や渋谷駅など日常的に多くの人が電波を利用する場所に出向き、事前のシミュレーションを何度も繰り返しました」(内藤さん)。

内藤さんをはじめとする複数人のコントローラーは、新宿本部からコミケ会場の通信環境についてリアルタイムに情報を得ながら、電波強化対策が必要な場所に人間Wi-Fi隊を的確に誘導していく。東地区、西地区と出展されるブースの内容や時間帯によって、常に人の流れが変わるコミケ会場では、通信環境も刻々と変わる。そんな状況下でも、来場者が快適に電波を利用できように即座に対応し、縁の下の力持ちとして会場の電波の確保に奔走した。

また、現場の人間Wi-Fi隊員のサポートも、コントローラーの任務だ。固定して設置する機材と違い、その場の状況に合わせ臨機応変に動くことができる人間Wi-Fi隊は欠かせない存在。しかし、隊員たちは極寒の中で長時間立ったまま活動することになるため、健康状態のチェックは欠かすことができない。

「現場の環境は確かに過酷ではありますが、隊員がいることで『Wi-Fiの設定方法を教えてほしい』といったお客さまの疑問をその場で解決することができます。また、大変ありがたいことに、お客さまの方から『ありがとう』『ご苦労さまです』といった声をいただくこともありました。そうして、お客さまとKDDI社員が直接コミュニケーションをとる機会が生まれることこそ、人間Wi-Fi隊を動員する、大きな理由の一つだと考えています」(同)

開場前の早朝、会場の外に基地局を設置する内藤さん

今や年末の風物詩となったコミケ。次回、足を運ぶ際には、その舞台裏にも注目してみると、また新たな視点でコミケを楽しめるかもしれない。

文:田代くるみ

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