2014/07/23

台風災害を可視化する『台風リアルタイム・ウォッチャー』と『デジタル台風』

2014年7月8日 18:00 の台風8号(気象衛星画像)。台風の目がはっきりと見えている(出典:気象庁ホームページ 防災情報 気象衛星ページ

今年も台風シーズンがやってきた。7月としては記録的に強い勢力で各地に大きな被害をもたらした台風8号は記憶に新しいが、上空から撮影した台風の衛星写真とSNSに投稿された防災情報をGoogle Earth上で重ねて見ることができる「台風リアルタイム・ウォッチャー」が公開されている。

首都大学東京大学院システムデザイン研究科の渡邉英徳准教授が公開しているもの。気象衛星「ひまわり」画像アーカイブからクロールした最新72時間分の画像データと、ウェザーニューズが提供する「減災リポート」に寄せられた会員からの投稿をリアルタイムに重ね合わせ、Google Earth上に表示する。データは毎時更新される(雲の写真と台風の位置情報は3時間ごと)。72時間前までさかのぼってアニメーションで台風の動きを見たり、地名を入力して任意の地域にズームすることもできる。

台風の目や雨雲の広がりが写真でハッキリと分かり、その上に各地の雨や風、川の様子などが写真で配置されているので、天気図や台風の経路情報だけでは分からない「被害の広がり」が目に見えて体感できる。

「台風リアルタイム・ウォッチャー」で利用している「ひまわり」の画像は、国立情報学研究所の「デジタル台風」に蓄積されている。このサイトは、気象衛星「ひまわり」画像を網羅的にアーカイブしており、1979年以降約16万件の気象衛星台風画像と、1951年以降の台風のベストトラック(最終解析経路)を、日時・名前・位置・雲パターン等で検索できる台風データベースだ。台風に関するデータベースを構築するだけでなく、パターン認識やデータマイニングなどの情報学的アプローチにより、気象学的アプローチとは異なる視点から台風解析や予測に適用する新たな手法や知識を発見することを目指している。

過去の台風データに基づき、現在発生している台風と類似した経路・中心気圧を持つ台風が、発生から消滅までどのような過程をたどったかを見ることができる。また、台風ごとの被害状況のデータとして、気象庁、総務省などの災害情報や、理科年表に記録されている被害状況、日本損害保険協会による「風水害等による保険金の支払い」を見ることができ、まさに、「気象学的な台風の記録と社会に与えた影響」を一度に見ることができるサイトとなっている。過去の類似台風の被害状況を見ることで、これから来る台風の被害を予測し、備えるための参考になるだろう。

ちなみに、「デジタル台風」を運営している国立情報学研究所の北本朝展教授は、1959年に上陸して大きな被害をもたらした伊勢湾台風の高潮を実寸大で表現する「伊勢湾台風メモリーズ」を、被災から50年目にあたる2009年に発表している。地図上の指定したポイントを選ぶと、台風の接近に伴ってその地点に押し寄せた潮位の高さに合わせて周囲の壁に影が投影され、自分が高潮に飲みこまれていく様を体感できるというもの。これもまた台風災害の可視化の試みのひとつだ。

著者:水島 みなと

IT系コンサルティングファームを退職後、フリーのITコンサルタントとして独立。エンタープライズICT分野を中心に執筆も行う。趣味は散歩、特に建物めぐり。最近猫を飼い始めて、ペット関連サービスの情報を収集中。

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