2014/06/24

充電と通信が同時にできる『スマートデスク』を実現するシート

机の上に敷いたシートの上に置いただけで、カプラに接続されたLEDライトが光る。中央に置かれたタブレットの下にある箱にもカプラが埋め込まれており、そこからUSBでタブレットに給電されている

シートの裏側に配置されている給電用のカプラ

置くだけで、充電と通信が同時にできるスマートデスク。そんな便利な未来を垣間見せてくれる技術を、情報通信研究機構(NICT)が研究している。

NICTが研究しているのは「シート媒体通信」という技術。薄い発泡スチロール(電気を通さない誘電層)をアルミのメッシュ(電気を通す導電層)でサンドイッチしたシートの中に電磁波を閉じ込め、専用の「カプラ」をシートに接触させることで、電流と信号波が同時に伝わる仕組みだ。

シートへの給電は、シートの裏側にカプラを配置し、そこにアンテナを接続して電磁波を受信することで行なう。閉じ込める電磁波の周波数はおよそ2GHzから5GHzまでで、メッシュの大きさで調整できる。カプラが接触しない限り、電磁波はシートの外に漏れることはないので安全だ。

現在、実用化されているワイヤレス充電技術には、電磁誘導方式、磁気共鳴方式などがあるが、この2つは、いずれもコイルを近づけることで電気が流れる性質を利用したものであり、電磁誘導方式では、充電器と充電されるデバイスのコイルの位置を合わせる必要があった。シート媒体通信であれば、磁気共鳴方式同様に、どこに置いても充電ができるのに加えて、通信も行える。

6月11日から13日まで開催されたInterop Tokyo 2014会場で行われたデモンストレーションでは、テーブルの上に敷いたシートの上にカプラに接続したLEDライトやスマートデバイスを置くと、光ったり充電されたりする様子が展示されていた。展示されていたシートのメッシュはおよそ7㎜間隔で、無線LANと同じ2.4GHz帯の周波数帯の電磁波を閉じ込めることができる。

また、応用事例として、小型電極とセンサーをシートに取り付けた、人体のモニタリングシステムが考案されている。現在のデモで使用しているシートよりももっと柔らかい、布に近い材質のシートを用いれば、脳波や心電などさまざまなバイタルサインを測定して、その場で無線通信で測定器に送信するようなアプリケーションが考えられる。

現在、脳波を測定するときには、19個、あるいはそれ以上の数の電極を頭の決められた位置に取り付け、それぞれの電極に通信ケーブルと電力供給ケーブルが必要となるが、この技術を使えば「かぶるだけで脳波がきちんと測定できるセンサー」を実現でき、患者の負担が軽くなる。

自由に曲げられる薄いシートに触れるだけで充電と通信ができる。さまざまな応用が期待できそうな技術だ。

著者:水島 みなと

IT系コンサルティングファームを退職後、フリーのITコンサルタントとして独立。エンタープライズICT分野を中心に執筆も行う。趣味は散歩、特に建物めぐり。最近猫を飼い始めて、ペット関連サービスの情報を収集中。

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