2014/02/14

技術の進化で二極化が進む3Dプリンター

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CESでの3D Printing Zone

3Dプリンターそのものは、低価格と高価格の二極化が進む

Stratasys社による買収に加え、専門店を成功させたMakerBot社の存在が3Dプリンター市場全体の牽引役になっている

会場では、3Dプリンターで出力したパーツを使った楽器によるバンド演奏が注目を集めていた。出力できる素材の種類も加工技術も一気に高まっている

2014年に入って3Dプリンター市場はますます活況を呈している。1月にラスベガスで開催されたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)では3Dプリンターの専用ゾーンが設けられ、3D Systems社やStratasys社をはじめとして、出展ブース数は大小約30にものぼった。Tech Fasterの記事によると、当初運営側が用意したブースはすぐに売り切れ、その後追加したブースもまたたく間に売り切れたという。低価格プリンターの販売開始から約5年でStratasys社に4億ドル以上の価格で買収されたMakerBot社のプレス向けカンファレンスも話題になり、今年の目玉カテゴリーの一つに位置づけられていた。

市場全体の状況を見ると、コンシューマ向けの500ドルを切る低価格のデスクトップ製品と、高いスペックを持つ高価格製品への二極化が加速しているように見える。低価格市場に関しては、オンライン販売から人気を集めた前述のMakerBot社が、2012年末にニューヨークをはじめとした販売店開設を成功させるなどして一般にニーズが広がり、大学や高校、公共図書館にも設置される例が増えている。今までは自作キット販売が中心だったが、CES会場では完成品を発売するクラウドファンディング出身のメーカーがいくつか見られた。

高価格製品に関しては出力の精密化もさることながら、素材のマルチ化が目を引く。樹脂やゴム、医療や宝石の加工に使われるワックスからセラミック、鉄といった硬度のあるもの、さらに食べられる砂糖などの食材まで材料として出力できるようになってきている。

Mcor Technologies社の「Mcor IRIS」は、コピー用紙を素材にして、これに1枚1枚カラー印刷して積層・裁断するという方式で、フルカラーの物体を出力でき、今後需要の拡大が見込まれている。他メーカー製品では、大型の一体成型出力や同じ形のものを一発で複数出力できるものなど、応用技術も多様化が進んでいる。また、3Dプリンターで出力するためにはデータを作成、加工するスキャン技術やソフトウェアも必要だが、会場では3D Systems社が、全身をキャプチャーできる3Dフィギュア版プリクラともいえる「3DMe Photobooth」を展示。さらに、逆転の発想でジオラマやプラモデルのパーツを個別に出力して後で組み立てられるWhite clouds社の出力サービスも注目を集めていた。

もう一つ注目するポイントがあるとすれば、3Dプリンティング技術の応用範囲の広がりだろう。たとえば、WobbleWorks社は3Dプリンターで使われるストローのような素材をそのまま電熱ペンで出力して、立体的な絵や文字を描けるというユニークな製品「3Doodler」を99ドルで発売している。クラウドファンディングのKickstarterで資金調達に成功し、販売業績は上々とのことだ。また、360Heros社は、アクションカメラ(ハンディビデオカメラ)「Go Pro」を6〜12台取り付けて、360度の3D動画/写真を撮影できる器具を3Dプリンターで制作し、販売している。ニーズに合わせて細かなパーツを作り、組み替えができるのがポイントで、現在特許出願中である。

このように、今後は3Dプリンター本体より、それで何を作ってビジネスにつなげるかという話題が増えていきそうだ。

著者:野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」、「DIME」、「App DIME」「ライフハッカー」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。

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