2014/02/12

刹那的メッセージ交換

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夜中に書いた手紙を昼間に読み返すと恥ずかしい思いをするという「真夜中のラブレター現象」は古くから知られているが、手紙も電子メールもショートメッセージも、出してしまったら消しようがない。真夜中でなくても、調子に乗って書いてしまった文章や送った写真が永遠にインターネットの中に残り続けるとなると、慎重な人であれば推敲に推敲を重ねないと、送信したり、アップロードしたりできないに違いない。また、相手を間違えてメール等を送ってしまい、冷や汗をかいた経験を持つ人も多いだろう。

メールなどは、サーバーからパソコンに落としてしまってサーバーから削除し、さらにパソコンでも消してしまえばこの世から消え去ったような気になるが、どこでコピーされて格納されているかは実際には分からないし、ソーシャルメディアでの不特定多数に向けたメッセージは、削除してもそれを見た人がコピーを取っている場合がある。

そんな中、アメリカでは消えるメッセージが相次いで登場している。若者を中心に人気を集めているのが「スナップチャット(Snapchat)」。数秒後に消えてしまう画像やメッセージの「共有」サービスだが、一日に4億もの「スナップ」が送られているという。なお、Snapchatは、2013年12月に、電話番号からユーザー名を検索する機能の問題点に攻撃を受け、460万人分の会員氏名と電話番号を流出させる事故を起こしているが、その後、対策として、2014年1月に同機能をオプトアウトするほか、新規ユーザーには電話番号認証を行わせるなどのバージョンアップを行っている。

「Ansa」はスマートフォン(iOSおよびAndroid)用アプリで、こちらも画像やメッセージが届くと自動的に消えてしまう。同じようにテキストメッセージが消えてしまって二度と読めなくなるサービス「Peek」は、徐々に"薄れて"消えていき、消える速さを送り手側が設定することができる。

こうした消えるメッセージは、利用者の安心感に強く訴えかけているようだ。エンド・ツー・エンドで暗号化するなど、提供側もセキュリティやプライバシーへの配慮をアピールしている。スナップチャットは現在のところ無料で、広告も出ないが、逆に毎日4億通も増えるメッセージを蓄積し続けていたら、ストレージ費用が膨大で運営は難しいだろう。提供側にも「消える」ことでメリットがある。

しかし、実際には、この「消える」ことが油断を招き、こうしたアプリやサービスが、 性的な内容の文章や画像を送り合う「セクスティング」を促しているという側面もあるようだ。消えると分かっているので安心して送ることができるというわけだが、例えば、スマートフォンの画面をキャプチャーしたり、別のスマートフォンで写真に収めてしまったりすれば、消えたはずの画像が残ってしまうことになる。

結局のところ、画像や動画、文章を送る際には十分に注意するということが、送り手側に求められるということだろう。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発にあたる。現在はビジネスアーキテクツ社にてモバイルヘルス分野の新事業立ち上げに従事。同志社大学ビジネススクール嘱託教員として「技術開発と事業化戦略」を担当している。

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