2020/03/03

Twitterに投稿した写真から『身バレ』? 原因や危険性、身元特定されない対策を解説

近年、TwitterやInstagramといったSNSに投稿された写真から個人情報が特定され、それが事件にまで発展したという事例を聞くようになった。SNSに投稿した写真に少しだけ写り込んだ背景から、居住地や現在地が絞り込まれたり、部屋の間取りから物件情報を探し出されたりする、『SNS身バレ』である。昨年は女性アイドルが、なんと瞳に写り込んだ景色からその場所を特定されてしまうという衝撃のニュースも報じられている。

自撮りしている女性

実際のところどんな写真や文章を投稿すると、個人情報を特定されてしまう危険があるのだろうか。情報リテラシーの専門家として全国で講演を行っている小木曽 健さん監修のもと、SNS身バレの原因と危険性、必要な対策ポイントをまとめた。

個人を特定されると、どんな危険がある?

まず、自宅を特定されてしまうと、どのような危険があるのだろうか。

代表的なのはストーカー被害だ。冒頭の事件のほかにも部屋に侵入されて盗聴器を仕掛けられたり、住所は特定されていなくても行きつけのお店から尾行されたりといった事例もある。

SNSへの投稿

また、空き巣に狙われるリスクもある。SNSの情報をもとに、家族構成や生活スタイル、所有しているクルマの車種から留守の時間帯まで把握することも、決して不可能ではないからだ。SNSでよく見かける「今日から出張です」「旅行で◯◯に来ました!」などの投稿も、留守であることを宣言しているようなもの。実際、SNSに投稿された内容から「忍び込む家」を選定していた窃盗団が、2018年に愛知県内で検挙されている。

子ども自身がSNSに投稿している場合も、プライベートな情報を書き込んでいないか、しっかりと見守ってあげることが大切だ。インターネットが身近になった現代だからこそ、子どもに正しいネットリテラシーを教授するのが大人の役目ともいえるだろう。

どんな投稿から個人を特定されてしまう?

個人を特定されてしまう原因となるのは、どんな写真やツイートなのか。投稿者のちょっとした不注意だと思われるかもしれないが、実は普段写っていてもほとんど意識を向けないような、思わぬものが落とし穴になる。

特定される原因①
写り込んだ生活圏内の飲食店、病院、マンホールなど

屋外での撮影時に注意したいのは、やはり背景だ。ペットの散歩やジョギングなど、自宅の近くであることがわかるような写真をSNSに投稿している人は多い。レストランや病院、商店街などが写り込んでいれば、その場所を検索するだけで簡単に「自宅の近所」が特定できてしまう。

そのほか、マンホールも市町村ごとにデザインが異なったり、固有番号や自治体名が記載されていることもあるので注意が必要だ。川幅や道路の車線の数さえも、地域を判別するヒントとなってしまう。

下関市のマンホール 下関市のマンホール

特定される原因②
自宅の部屋の間取りや、自然光の入り方

もちろん、屋内で撮影するからといって油断は禁物だ。商業施設ならテナントやキャンペーンの広告など、手がかりになるものはいたるところに散らばっている。

さらに自宅での撮影時に気をつけたいのは、窓の外の景色や部屋の間取り。誰でもアクセスできる不動産のポータルサイトを利用して、物件を特定されてしまうケースもある。冒頭のアイドルの瞳に映った背景から住所を特定された事件では、カーテンの位置や自然光の入り方から高さや方角を計算し、マンションの何階に住んでいるかまで把握されていたという。

女性の瞳の接写

特定される原因③
郵便物やレシート、宅配便伝票の映り込み

郵便物やレシートといった、住所が記載されているものから特定されてしまう事例もある。通販をよく利用する人は、うっかりダンボールが写り込んでしまっていた……なんていうアクシデントにも気をつけたい。

レシートは生活エリアや大まかな居住エリアを絞り込める。待ち伏せにあったり、ほかの情報との合わせ技で自宅を特定されたりするリスクは高い。

宅配便の場合、伝票に印字された荷物番号の映り込みにも注意が必要だ。荷物番号を検索することで、大まかな配送先=大まかな居住エリアを推測される可能性があるからだ。

ちなみに荷物番号は「バーコード」で併記されていることもあり、荷物番号を隠すだけでは不十分な場合もある。バーコードは誰もが読み取れるものではないが、知っておいて損はないだろう。

宅配便の送り状の荷物番号

特定される原因④
写真に埋め込まれる位置情報

スマホやカメラで撮影した際に写真データに埋め込まれるGPSの位置情報から住所を特定されるケースもある。撮影場所や撮影日時をあとから確認できる非常に便利な機能だが、他人からも閲覧できるため、知らずにアップロードするとのぞき見されてしまう恐れがあるのだ。

GPS情報を表示させた画面 撮影日時や緯度経度が記録される

近年、TwitterやFacebook、InstagramといったSNSでは、投稿時にこういった情報は自動的に削除されるようになったが、メールに添付した写真やブログなどに掲載した写真は、埋め込まれた情報を誰でも自由に閲覧できる可能性があるので注意が必要だ。

iPhoneでGPS情報を表示させた画面

写真を撮影地ごとに整理できる機能は非常に便利だが、その写真を投稿すると位置情報の特定につながってしまう可能性があることも認識しておこう。

特定される原因⑤
「自宅前で道路工事」などの些細な“つぶやき”

写真のみならず、何気ない“つぶやき”も個人を特定する情報になり得る。地名や駅名、会社名、学校名は言うまでもないが、たとえば「自宅前で道路工事をしている」といったような“つぶやき”にも注意しておいたほうがいい。役所のホームページで公共工事の実施予定を調べれば、居住エリアを特定することも可能だ。ほかにも、「近所に◯◯がオープンした」「局地的な豪雨で洗濯物が……」といった情報も、居住エリアの目星をつけるヒントになる。

このように、情報を組み合わせて個人を特定する手法には「モザイクアプローチ」という呼称もついている。特に自宅や職場近くで撮った写真の投稿は控えておいたほうが安全だ。

投稿した写真から特定を防止するための対策は?

ここからは、投稿した写真から個人情報特定を防止するための対策について紹介したい。

まず写真を撮影するときは、あらかじめGPSの設定をオフにしておく。iPhoneであれば、[設定アプリ]▶︎[プライバシー]▶︎[位置情報サービス]▶︎[カメラ]へと進み、「位置情報の利用を許可」のページで[なし]を選択。

iPhoneで撮影時のGPSをオフにする設定画面

写真に写り込んだ背景についても入念なチェックを行おう。エリアや個人の特定につながりそうな景色はもちろん、見落としがちなマンホールやレシートの写り込みにも目を光らせてほしい。文字が小さかったりぼやけたりしていても、補正して読み取られる可能性はゼロではない。もし、投稿したい写真に個人特定されかねないものが写っていたら、トリミングなどの加工によって完全に取り除くか、画質を大きく下げてアップロードするのも手だろう。

SNSに書き込むコメントに、自分の会社や学校、居住エリアに関わる固有の情報が含まれていないか気をつける。コンビニやスーパーのオープン情報、縁日の日程なども、個人を特定する材料になってしまう。どうしてもプライベートな情報を載せたいのなら、閲覧できる人を限定して投稿するのも選択肢のひとつだが、もし投稿内容に問題があれば、限定公開だろうが際限なく拡散していくことも知っておいてほしい。その他、スマホの紛失やSNSの乗っ取りといったリスクもあるため、絶対に安全だとは言い切れないことは理解しておいたほうがいいだろう。

心配しすぎる必要はないが、「知る」ことでリスクの軽減を

SNSを利用する以上、多かれ少なかれ自分の情報がネット上に蓄積されていくことは避けられないが、仕組みを理解し、対策方法を知っていれば、そのリスクは大幅に減らすことはできる。上記のような例や事件はあくまで特殊な事例なので、SNSを利用することに神経質になりすぎる必要はないが、そもそものリスクについて知らなければ、気をつけることすらできない。特に子どもがいる家庭では、親と子でSNSについてきちんと話し合い、理解したうえで楽しく利用するようにしよう。

文:佐藤宇紘

小木曽健

小木曽 健(おぎそ・けん)

1973年生まれ、埼玉県出身。IT企業でCSR部門の責任者を務める傍ら、書籍執筆や連載、メディア出演などを通じて、情報リテラシーに関する情報発信を幅広くおこなっている。著書に「ネットで勝つ情報リテラシー」(筑摩書房)、「11歳からの正しく怖がるインターネット」(晶文社)など。