2018/05/01

引越し先でスマホがつながらない? 『電波サポート24』の効果を検証

引っ越ししたものの「自宅でスマホがつながりにくい」という方もいるのではないだろうか? 実はかくいう筆者も、新居のリビングではスマホのアンテナが1本しか立たないことが発覚した。ネットがつながるのも遅いし、通話もときどき途切れてしまう状況だ。

リビングで電波がつながりにくい
電波状況がよくないiPhone

わが家の場合、窓の側に行けば電波が良くなるため、通話は窓際が中心だ。しかし、これでは仕事の話も大きな声ではしゃべりづらいし、彼女との甘い深夜トークもご近所さんにご開陳ということになる。

電波状況が悪く通話が途切れてしまう様子のライター

スマホは現代人の必需品である。このままではアプリもサクサク落とせないし、仕事の電話にも支障が出る。いや、なにか電波を改善するいい方法があるはずだ!

というわけで、auが提供している電波状況を改善してくれるサービスを利用してみることにした。

auの電波状況改善サービス「電波サポート24」とは?

auの「電波サポート24」とは、自宅で電波が悪いときに連絡をすると、電波状況を改善する専門家「電波サポーター」が無料で自宅に来て、電波対策を行ってくれるというサービスだ。

まずは、auホームページの「電波の改善を要望したい(電波サポート24)」ページにある「電波改善のお問い合わせ」で、住所や電波状況などを入力して、担当者からの連絡を待つ。入力は10分程度で完了し、返信は24時間以内に電話でもらえる仕組みになっている。ちなみにauショップや電話からも申し込みが可能だ。

iPhoneで問い合わせページに住所や電波状況などを入力中の様子

電波サポート24のコールセンターから折り返しの電話があり、希望の日時を伝える。そして当日……。自宅のチャイムが鳴った。ドアを開けるとそこにはスーツ姿の男性が。

申し込みの数日後、電波サポーターがやってきた!
担当サポーターの須郷さん

彼が電波状況を改善する専門家、「電波サポーター」の須郷剛裕さんだ。須郷さんは関東ブロックの担当者で、時には片道4時間をかけて遠方のお客さまの自宅まで改善に行くこともあるという。

電波状況について、つながりづらい状況や場所をヒアリングしてくれるサポーター

まずは電波状況をヒアリング。どのような状況や場所でつながりにくいかを説明したあとに、須郷さんはおもむろに自分のスマホを取り出し部屋の中を歩き始めた。

スマホを手に窓際やリビングなどくまなく電波をチェックしていくサポーター

手にしているのは電波状況を調べる独自のアプリで、回線速度や通信状況がひと目でわかるそうだ。「あー、これは相当悪いですね」と須郷さん。そして大きなトランクを取り出した。

床を傷つけないよう持参したクッションを用意する電波サポーター

このトランクは電波サポーターの必需品。その日に訪問する件数分の電波状況を改善する機器や電波測定器などが入っていて、重い時には10kg以上にもなるそうだ。床を傷つけないようにクッションも持参している。

トランクから出てきたのは機器自体が基地局になる「auフェムトセル」。家に引いてある固定回線につなぐことで小型の基地局になり、電波を飛ばしてくれるという。

サービスの特徴を説明する須郷さんとauフェムトセルを眺めるライター

工事は不要で、簡単に設置できるようだ。さっそく須郷さんが設置してくれた。

「以前は設置まで2週間程かかっていたのですが、今はご利用されている固定回線によって当日設置もできるようになりました」

スムーズに設置をする電波サポーター
auフェムトセルとホームゲートウェイ auフェムトセル(左)とホームゲートウェイ(右)

機材の開封から設置までの所要時間は約10分。訪問当日は機器の設置のみが行われ、翌日には電波状況が改善されるという。

※お客さまがご利用する固定回線により当日設置できない場合がございます。

「床に寝転んでスマホ」は電波が悪くなる!?

電波のプロに質問をするライター

さて、電波サポーターの須郷さんに自宅まで来ていただいたので、電波状況が悪くなる原因を聞いてみたい。まず気になるのは、電波が悪くなりがちなシチュエーションについて。部屋の中で数メートル移動するだけで受信しづらくなることがあるが、なぜなのか?

「電波は音と似た性質を持っています。たとえば屋外の音が聞こえにくい場所は、電波も入りづらい可能性があります。周りを家に囲まれた住宅地や、森に囲まれた場所で受信しづらくなるのも原因は同じです」

トイレやエレベーターなど閉塞的な場所ほど電波がつながりづらい理由はそういうことだったのか。

「ほかにもご自宅の外壁が金属製だと電波を吸収してしまうので、電波状況は悪くなりますね。最近では紫外線をカットする窓ガラスも電波を遮る原因になっています。さらに、今までの経験上、スマホを床に近づけると受信しづらくなるケースが多いですね。床に寝そべってスマホを操作する方も多いと思いますが、実はあまりおすすめできないシチュエーションなんです

とてもわかりやすく説明してくれる電波サポーター

なるほど。うちの電波が悪かった原因は、家が密集した住宅地だったことと、外装に鋼板を使用していたからのようだ。まさか、床やソファに寝そべって操作していたこともつながりにくい原因になっていたとは……。スマホを手やケースで覆ってしまうのも電波状況が悪くなる原因になるそうだ。

「実は高層階のマンションやオフィスも電波が入りづらいケースがありますが、その原因のひとつは“電波を遮断するものがないから”です」

うん? 電波を受けやすい状況で受信しづらいとはこれいかに?

「電波を遮断するものがない高層階では、さまざまな電波が入り乱れてしまい、どの電波を受信すれば良いかスマホが混乱してしまうんです。たとえば、部屋の両側で大音量のロックとクラシックを流すと、音が混ざって聞き取りづらいですよね。高層階では同じことが起こっているんです」

さすが電波のプロ、解説もわかりやすい!

作業はこれにて終了。あとは、KDDIが手続きを行い、翌日に「auフェムトセル」の電源を入れることができる。電波が改善されるのは翌日だ。

「孫の写真が見られるようになった!」と喜びの声も

せっかくなので、電波サポートで印象的だったエピソードも聞いてみた。

電波サポーターの仕事でのエピソードを聞くライター

「ご高齢のお客さまのお宅に訪問したときのことです。おじいちゃんとおばあちゃんなのでインターネットは家になく、外につながる回線が携帯電話しかなかったんですね。無事に電波の改善ができましたが、その後にお手紙をいただいたんです。『娘が送ってくれる孫の写真も快適に見られるようになりました。ありがとうございます』と。電波は目に見えないものですが重要な生活インフラだと改めて感じ、身が引き締まる思いでした」

しかし、稀にだが電波が改善できないケースもある。

「大変申し訳ないのですが、屋外の環境や、ご自宅の素材の都合でどうしても改善できないこともあります。そういうときにはお詫びとともに、電波の性質や受信しづらい理由を丁寧にご説明するようにしているんです。あるとき、改善できなかったにも関わらず、お客さまから握手とともに『これからも契約を続けるよ』という言葉をいただけて……。その帰り道で不甲斐なさと嬉しさで、少々泣いてしまいました(笑)」

訪問を終えた須郷さんは大きなスーツケースを引きながら、颯爽と路地に消えていった。きっと明日もどこかのお宅に訪問して電波を改善し続けているのだろう。ありがとう、須郷さん!

訪問を終えた電波サポーター

さて、翌日さっそく電波状況を確認してみると……。

電波状況が改善したiPhone

電波はバッチリ4本立った! ネットもスムーズに見ることができ、会話もクリアで途切れない。

快適な電波状況で通話するライター

まさかこんなに簡単に電波状況が改善されるとは! 電波が悪いなんてどうしようもないと勝手に思っていたけど、手軽に改善してくれる方法があることに驚いた。

もしも、自宅の電波状況が悪いときは、「電波サポート24」を利用してみてほしい。電波サポーターがあなたの自宅を訪れて、きっと快適なスマホ生活が送れるようにしてくれるはずだ。

文:鈴木雅矩(スズキガク)
写真:稲田 平

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