2017/11/29

起伏のある土地でも自律飛行が可能に! 3次元地図と通信が広げるドローンの未来

日本初! 3次元地図を利用した完全自律飛行

2017年11月14日、KDDIは、新潟県長岡市山古志において、3次元地図を利用したドローンの完全自律飛行実験を行った。この実験は、次世代型ドローンを活用した新たなサービスの提供を目指す「スマートドローンプラットフォーム構想」の一環として行われたもので、3次元地図を利用したドローンの完全自律飛行は日本初の試みとなる。

通常のドローンは現場のオペレーターの操縦によって飛行を制御するが、今回の実験では飛行中の位置、高度、速度などの飛行状況を3次元地図および4G LTE経由で監視し、離陸から着陸まで4G LTE経由で制御する。

今回の実験で用いられたドローン。機体はプロドローン社が開発

スマートドローンはauの4G LTE通信モジュールのほか、優れた衝突回避機能をもった機体や、飛行禁止エリアを回避するための3次元地図などを搭載。限られたエリア内で人が立ち会い操作を行っていたこれまでのドローンと異なり、広範囲での自律飛行や従来のエリアを超えた遠隔地から制御を行うことができる。

今回の実験は、山古志の虫亀地区のドローンステーションを離陸したドローンが、山古志支所に設置されたドローンポートに着陸し、充電を行ったあと、再度離陸。養鯉用の棚池で防虫剤を散布し、再びドローンポートに戻ってくるというものだ。

なお、山古志は錦鯉の原産地として知られ、古くから養鯉業が盛んな地域である。「養鯉」は「ようり」と読む。

ドローンステーションを離陸後、山古志支所のドローンポートに着陸、充電
ドローンポートで充電後に再び離陸し、養鯉用の棚池で防虫剤を散布
山古志支所に設置されたPCの運行管理画面。3次元地図はゼンリン社が製作し、運行管理はテラドローン社が担当

計6kmの長距離飛行を終え、日本初の3次元地図を利用したドローンの完全自律飛行実験は無事に成功した。

KDDI長岡市山古志スマートドローン実証実験(2017/11)

3次元地図と通信が広げるドローンの可能性

スマートドローンプラットフォーム構想の中核を担うKDDIの松木知明は、「これまで様々なドローンの実験を行ってきたが、今回の実験は非常に難易度の高いものだった」と語る。

KDDI 商品・CS統括本部 商品戦略部 松木知明

「スマートドローンの活用事例として、農業、測量、点検、警備のほか、将来的には輸送が想定されますが、いずれも異なる高度で安全に飛行し続けることが求められます。今回の実験では、起伏の激しい山古志を舞台に、3次元地図をもとにした高度の自動設定や、途中駐機による充電を行うことで、異なる高度でも長時間にわたって安全に飛行できることが実証されました

長岡市山古志支所 産業建設課 五十嵐 豊さん

今回の実験を自治体はどう捉えているのだろうか。長岡市山古志支所の五十嵐 豊さんは、災害時の危機管理対策としての活用に期待を寄せる。「土砂崩れの発生現場など、人が立ち入れない場所でも、ドローンならすぐさま現地の状況を確認できますよね。被害状況がわかれば、自治体として優先順位をつけて対策にあたれるので、二次災害の予防に大いに役立つと思います」

KDDIがスマートドローンプラットフォーム構想を発表したのは2016年12月のこと。それからちょうど1年が経ち、今回3次元地図を利用した完全自律飛行の実験が成功したことで、「次世代型ドローンを活用した新たなサービスの提供を目指す」という構想は現実化へ向けてまた大きな一歩踏み出した。

撮影・文:TIME & SPACE編集部

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