2020/08/27

知っておきたい5Gスマホの基礎知識 Sub6やミリ波、注意事項など解説

5G対応スマホ

2020年春、次世代通信サービス「5G」がスタートした。現時点では利用可能エリアは限定的だが、現在急ピッチでエリア対策が進んでおり、これから普及が進んでいくことが見込まれる。

そもそも5Gとはなにか? どんな特徴があるのか? 利用する際の注意点は? auスマホの品質管理の担当者に話を聞いた。

KDDI プロダクト品質管理部 沼田笑美子、山西一郎 KDDI プロダクト品質管理部 沼田笑美子、山西一郎

高速・大容量かつ低遅延による通信が可能

――まずは基礎的なところから教えてください。5Gとは端的に言うとどういったものなのでしょうか?

沼田「5Gは「5th Generation」の略です。携帯電話やスマートフォンは時代とともに進化を遂げてきました。いつでもどこでも通話できるようになったのが1G〜2G、クリアな音質での通話やネットやメールが楽しめるようになったのが3G、スマホの登場で映画や音楽などあらゆるエンタメを可能にしたのが4G。それらに続く第5世代移動通信システムが5Gです。」

1G〜4Gまでの説明図

――では5Gの特徴とはどんなところでしょうか?

山西「最大の特徴は、大容量のデータを高速に低遅延で通信できることです。4Kや8Kといった高精細な動画のライブ配信が楽しめるようになったり、複数の情報を瞬時に処理する必要のある自動運転技術に役立てたり、多視点で撮影した映像を自分の好きな角度からスポーツを観戦できるなど、リアルタイムで大きなデータをやりとりできるようになることで、新しい体験価値の基盤となります。」

5Gには「Sub6」と「ミリ波」の2種類がある

――5Gの電波にはどのような特性があるのでしょうか?

沼田「5Gで使われる周波数帯には、「Sub6(サブシックス)」と呼ばれる6GHz未満の周波数帯と、「ミリ波」と呼ばれる30GHz〜300GHz(厳密な区分けはなく日本では 28GHz帯を利用)帯の2種類があります。」

4Gと5Gの周波数帯

沼田「Sub6は、4Gで使われてきた800MHz〜3.5GHzの周波数帯に近く、4Gの延長線として既存の技術を応用でき、エリアをカバーしやすいというメリットがあります。

ミリ波は直進性が高く障害物に弱いという特性がありますが、周波数帯域を広く確保できるためより高速な通信が可能です。

たとえば、映画1本をダウンロードするのに従来の4Gで数十分かかっていたとすると、5Gならわずか数十秒〜1分程度でOK。実際に体験すると感動するレベルの速さです。

また、電波は周波数が高くなるほど遠くへ届きづらいという特性がありますが、現在の5G対応スマホは5Gの電波だけでなく従来の4Gと組み合わせて利用できますので、スマホ自体の利用エリアが狭くなるということはありません。」

5Gと4Gの電波特性の違い 広範囲をカバーする4Gに対し、5Gはピンポイントなエリアに電波を届ける

山西「そんな5Gの利用には、5G規格に対応した専用スマホが必要です。次はその5G対応スマホの注意点をご紹介しましょう。」

au 2020春夏の5G対応スマホ au 2020春夏の5G対応スマホ

5G対応スマホの留意点

――5G対応スマホを使ううえで留意点などがあれば教えてください。

山西「利用シーンにもよりますが、大容量データを扱えるようになる一方で、5Gに接続して高画質動画を長時間見続けたり、大容量のファイルを連続して送受信したりすると、スマートフォンに負荷がかかり一時的に温度が上がることがあります。その際、画面の明るさを抑えるなど機能制限が働いたり、5Gから4Gに切り替わったりすることもありますが、これはスマホの安全装置による発熱を制御する機能であり、故障ではありません。その場合は一度スマホを涼しい場所に置いて休ませてください。」

沼田「また、バッテリーの持ちについて不安に思われる方もいらっしゃいます。たしかに5Gによる高速通信はバッテリーを多く消費する傾向がありますが、5G対応スマホはバッテリー容量が増えていますし、省電力性能も高まっていますので、体感としては従来の4Gスマホとバッテリーの持ちが変わらないように設計されています。」

山西「auで5Gをご利用になる場合、5G用の契約も必要になりますのでご注意ください。」

さまざまな魅力を備え、新しいエンタメ体験を提供してくれる5G対応スマホ。その特性を理解したうえで、高速・大容量通信によってアップデートされた世界をより楽しんでほしい。



文:TIME & SPACE編集部