2020/06/23
災害時にも役立つ! 大容量モバイルバッテリーの選び方、規格の知識、おすすめを紹介
近年、大雨や大型台風、地震などの自然災害が増えており、同時にその影響による停電も頻繁に報告されている。そういった場合でも、回線さえ切れていなければ、スマホは家族との連絡や情報収集といった場面で非常に役に立つ。そのためにもいざというときの充電手段は、常に備えておきたい。そこでおすすめなのが、大容量バッテリーだ。
最近ではスマホ以外にもモバイルバッテリーで充電できる機器も増えており、平時であれば外出先でタブレットやノートPCを使う際や、キャンプなどのレジャーシーンなどで大いに活躍してくれるだろう。
そこで本記事では、大容量モバイルバッテリーの選び方や、容量以外に考慮すべき点、おすすめのモバイルバッテリーを紹介する。
モバイルバッテリーの容量
まずは、容量の基礎知識。バッテリーの容量は「mAh」という単位で表される。最近のスマホの内蔵バッテリーは概ね3,000~4,000mAhで、たとえば「Xperia 1 II」と「Galaxy S20 5G」は4,000mAh、「AQUOS R5G」は3,730mAh、「TORQUE G04」は2,940mAhだ。
モバイルバッテリーについても同様に、容量はmAhで表されている。この数値を目安に自分に合ったモバイルバッテリーを選ぶことになるが、モバイルバッテリーの容量は、そのままスマホに充電できる容量ではない。充電時に損失するエネルギーがあるので、実際に利用できるのは規格の数字そのままとはせず、少なめに見ておくと良いだろう。
また、容量はそのままバッテリーの大きさにも比例する。同じバッテリーであれば、大容量のものほど製品も大きくなるため、普段から持ち運ぶのか、もしものときに家に置いておくのか、使い方によって容量を選ぶと良い。
容量以外に着目すべき点
モバイルバッテリーを選ぶうえで容量はもっとも重視すべき項目だが、それ以外にも気をつけておきたい点がいくつかある。ここではその項目について紹介する。
①充電規格(速度)
充電端子をつなぐUSBには短時間で充電できる急速充電の規格がいくつかあるが、利用するには充電する側(モバイルバッテリー)と、される側(スマホなど)の双方が同じ規格に対応している必要がある。代表的なところでは、「USB PD(Power Delivery)」や「Quick Charge(QC)」があるので、自分の機器が対応しているか、商品説明書などで確認しておくと良い。
■USB PD(Power Delivery)
・USB Type-Cの充電規格。
・W(ワット)数が高いほど高速に充電。
・USB PDに対応したケーブルが必要。
・ケーブルは3A対応と5A対応の2種類あり、PD60W以上では5Aケーブルが必要。
■Quick Charge(QC)
・Qualcomm(クアルコム)社が策定した充電規格で、充電される側がQualcomm製のチップを採用していないと利用できない。
・Qualcomm社のSnapdragonを搭載しているAndroidで広く普及している。
・USB Type-AでもType-Cでもどちらでも使える。
・Quick Chargeに対応したケーブルが必要。
②充電ポートの種類と数
もうひとつ確認しておきたいのが、モバイルバッテリーが搭載している充電ポートの種類と数だ。大容量モバイルバッテリーは同時に複数機器への充電が可能で、複数のポートを搭載していることが多い。ただし、普段自分が利用している機器に合ったポートを備えていないと、充電ケーブルを差し込めないので注意したい。
たとえば、モバイルバッテリーに搭載されているUSB Type-Cポートは、規格上、USB Type-CポートあるいはLightningポートを備えている機器にのみ充電できる。そのため、手持ちのスマホがmicroUSBの場合は差込口の形状も違うため、モバイルバッテリーにUSB Type-Cポートがあっても充電することができない。
スマホだけでなく、もしものときに充電するノートPCやタブレットなど、できるだけ自分が利用している機器の数に近いポート数があるバッテリーを選ぼう。
おすすめ大容量モバイルバッテリー
ここからは、おすすめの大容量モバイルバッテリーを紹介する。容量重視のものから持ち運び可能なタイプまで紹介するので、モバイルバッテリー選びの参考にしてほしい。
・120,600mAhの超大容量と3種類の出力方法で災害時にも役立つ「Anker PowerHouse」
合計で最大30W出力が可能(1ポート最大2.4A)なUSB Type-Aポートを4つ搭載。USB Type-Cポートは非搭載だが、代わりに120W(110V=1.09A)に対応したACコンセントと12Vのシガーソケットを備えている。ACコンセントにUSB PD出力に対応した充電器を接続することも可能だ。
小型のラジカセほどのサイズで重さも4.2kgあるので、さすがに普段持ち歩く「モバイルバッテリー」とはいえないが、万が一のときに1台あれば、スマホや携帯ゲーム機、PCの充電だけでなく、照明器具やサーキュレーターや小型冷蔵庫などにも利用できる。キャンプなどレジャー時の携帯品としても十分な性能だ。なお、スマホなら約40回のフル充電が可能となっている。
商品名/Anker PowerHouse
発売元/アンカー・ジャパン
バッテリー容量/120,600mAh
価格/49,800円(税込)
重量/約4.2kg
・iPhone 11を10回以上フル充電可能! おにぎり型モバイルバッテリー「cheero Power Mountain 50000mAh」
「おにぎり型」というユニークな形状が目を引くが、50,000mAhと大容量でiPhone 11の場合、10回以上のフル充電が可能。USB PD 45Wに対応したUSB Type-Cポート1つと、12W(5V/2.4A)に対応したUSB Type-Aポートを2つ備え、複数台のスマホやタブレットを充電できる優れものだ。
三角型の形状を活かし、タブレットなどを立てかけて使用できるので、普段はスタンドとしてデスクに置いておける。また、衝撃に強いアルミケースと強力なLEDライト、簡易の防滴カバーがついているので災害時やアウトドアにも役立つ。
商品名/cheero Power Mountain 50000mAh
発売元/ティ・アール・エイ株式会社
バッテリー容量/50,000mAh
価格/14,500円(税込)
重量/約860g
・手のひらサイズで出力100Wの充電モンスター ZENDURE「Supertank」
スーツケースのようなデザインで、やや厚みのあるiPhoneほどのサイズながら、27,000mAhという大容量。スマホを7〜10回充電できるほか、USB PDの最大出力である100Wにも対応し、ハイスペックなノートPCなども充電可能だ。
出力ポートはUSB Type-Aポートが2つ(18W出力と15W出力に対応)とUSB Type-Cポートを2つ(100W出力と60W出力に対応)搭載し、最大4台のデバイスに電力を供給できる。また、あらかじめフル充電しておけば、半年間利用しなかったとしても95%の電力を維持できるので、災害対応としてもおすすめ。
商品名/Supertank
輸入:ゼンデュア・ジャパン株式会社
開発元:Zendure USA Inc.
バッテリー容量/27,000mAh
価格/19,800円(税込)
重量/約500g
・持ち歩きが可能なサイズで2台同時に充電!「Anker PowerCore Essential 20000」
持ち歩きが可能なサイズでありながら20,000mAhの超大容量。USB PDおよびQuick Chargeには非対応だが、Ankerの独自技術であるPowerIQとVoltageBoostによって、ほとんどのUSB機器で最適な速度での充電が可能。
出力ポートはUSB Type-Aポートが2つ(各ポート最大2.4A、2ポート合計で5V=3A)。入力ポートとしてUSB Type-CポートとMicro USBポートを備えており、ケーブルに合わせ て選べる点が便利だ。急速充電には対応していないが、スマホの充電がメインであれば、十分な性能といえる。
商品名/Anker PowerCore Essential 20000
発売元/アンカー・ジャパン
バッテリー容量/20,000mAh
価格/3,999円(税込)
重量/約343g
・USB PD対応で大容量・高出力!「ELECOM PD20000mAh 50W出力 モバイルバッテリー DE-C19L-20000BK」
USB Type-CポートとUSB Type-Aポートを備えており、最大出力は12W。2ポート同時使用時の最大出力は50Wとなる。
USB PD 45W出力にも対応し、容量は20,000mAh。iPhone 11なら4回はフル充電できる。
商品名/DE-C19L-20000BK
発売元/ELECOM
バッテリー容量/20,000mAh
価格/23,826円(税込)
重量/約385g
大容量モバイルバッテリーは普段使いはもちろんのこと、もしものときのためにも備えておきたい。容量の大きさは安心につながり、複数の充電ポートは自分だけではなく、家族や友人などの助けにもなる。電池の容量と大きさ、重さ、価格だけではなく、自身の生活にいかに活用できるかを考え、最適なものを選択したいところだ。本記事を参考に、ぜひ試してみてほしい。
文:山本竜也