2019/07/24
夏の自由研究はスマホでプログラミング! マイクロビットで楽しむ方法を理系男子が解説
小中学生のお子さんがいるみなさんがこの時期、頭を悩ませるのが「夏休みの自由研究」ではないだろうか。
もし、まだテーマが決まっていないのなら、「プログラミング」に挑戦してみることをおすすめしたい。いまや子どものプログラミング教育は世界的な潮流で、2020年からは日本の小学校で必修化も予定されている。ひと足早く、親子で一緒に学んでおいても損はないだろう。
「マイクロビット」でプログラミングの基礎を学ぶ
子供向けプログラミング学習キットはさまざまなものが発売されているが、はじめてのプログラミング体験ならイギリスで誕生した教育用小型コンピューターボード「micro:bit(マイクロビット)」がおすすめだ。その名のとおり43×52mmという“マイクロ"サイズで、手軽にプログラミングが学べる教材として世界中の教育現場で利用されている。2,000円程度という価格も魅力だ。
これがマイクロビットのボード。手のひらサイズの小さな板に、25個のLED、2個のボタン、光と温度のセンサー、加速度計といった機能が搭載されていて、それらをどうやって作動させるのか、プログラミングによって指示を出す。
難しいプログラミング言語を駆使する必要はなく、専用のアプリ上でプログラムのブロックをドラッグ&ドロップしていく。その作業は視覚的にも楽しく、遊び感覚でプログラミングの基礎と仕組みを理解することができるのだ。
たとえば、現在の気温をLEDで表示するプログラムを組むと、マイクロビット上にはこのように表示される。25個のLEDはプログラム次第で数字や文字など様々なものを表示させることが可能だ。
マイクロビットの入門として一般的なのは、簡単なゲームの製作。じゃんけん、ピンポン、シューティングといった簡単なゲームは、手引きがあれば小学生でもつくることが可能。遊びながら気軽にプログラミングの基礎を学ぶことができる。
KDDIの技術者が本気でマイクロビットのプログラミングをしてみた
マイクロビットは子供向けの教材ではあるものの、れっきとしたコンピューターなので、技術とアイデア次第ではさまざまなことができる。では、大人が本気で取り組んだらいったいどんなものができてしまうのだろうか?
さっそくTIME & SPACE編集部からKDDIの技術者に声をかけてみた。
応えてくれたのは岡本浩尚(左)と中川健太(右)。
岡本は入社2年目で、趣味は電子工作。小学5年でホームページ作成を始め、中学生でプログラミングにのめり込むなど、子供の頃からコンピューターに慣れ親しんできた。中川は入社8年目で、現在は技術系の広報業務に従事。今回の企画では主にマイクロビット内部のプログラミングを担当した。両者ともKDDI技術企画本部・技術開発戦略部に在籍。AIやIoTなどの先端技術の開拓を担う、ゴリゴリの理系である。
「通信会社の技術者として、世の中を明るく楽しくする作品を作りたい」と両者は意気込みを語る。
というわけで、企画のスタートから構想期間を含め、約2週間の製作期間を経て完成したのがこちら。
おぉ、なんだかかわいい。岡本・中川の両名に説明してもらおう。
岡本「「マイクロビットには様々な機能が搭載されていますが、今回はそのなかから『ボタン』『LEDライト』『温度計』を利用して、その日に楽しかったときや驚いたときの記録を残せるものを作成しました。名付けて『ワクワクバッジ』です」」
中川「「外に持ち出すことを前提に、アクリルのケースをつけました。ケースは秋葉原のパーツショップで購入したものです。これをホルダーなどに入れて首から提げて使うことを想定しています」」
岡本「「マイクロビットにはAとBの2つのボタンがあり、今回はAを『いいねボタン』、Bを『びっくりボタン』に割り当てました。使い方としては、たとえば外へ遊びに出掛けたとき、楽しいと感じた時にAボタンを押すと、ニコニコマークがLEDで表示されます。そして、なにか驚いたことがあった時にBボタンを押すと、ビックリマークがLEDで表示されます」」
岡本「「1日が終わって帰宅したら、パソコンにつなげます。すると、それらが時系列で、ボタンを押した時点の気温とともに、グラフで表示されます」」
岡本「「ピンクの棒グラフが『いいね』を押した回数、オレンジの棒グラフが『びっくり』を押した回数です。そして青の折れ線グラフが気温を表しています。これが『ワクワクのきろく』です。
このグラフを見れば、その日の何時頃にどんな気持ちになったのかがマイクロビットに記録される。だから『ワクワクバッジ』というわけです」」
中川「「この『ワクワクバッジ』をつくるうえで意識したのは、人と人をつなぐコミュニケーションのきっかけになるようなものにすること。これをお子さんが首から提げて遊びに出掛けたら『それ、なに?』と友だちから聞かれるでしょうし、収集したデータを帰宅後に親子で一緒に見ることで会話が生まれますよね」」
マイクロビットで何かをつくろうと考えるとき、それ自体で完結するものを考えるのが一般的だ。しかし、彼らが制作した「ワクワクバッジ」はそうではなく、家族や友人とのコミュニケーションのきっかけになるものを目指した。人と人をつなぐ通信会社の技術者らしい発想である。
プログラミングの内容はこんな感じ
今回、彼らが組んだプログラムをPCで表示したものがこちら。
具体的には、たとえば「ボタンBが押されたときに『!』をLED画面に表示する」「変数surpriseを1だけ増やす」といった数々の指示があり、それらの積み重ねでこの作品が成り立っている。「こうしたら、こうする」という指示を積み重ねていくことでコンピューターを動かすことはプログラミングの基本概念。マイクロビットではそれがこのように視覚的に理解できるというわけだ。
また、ブロック表示から、プログラミング言語「JavaScript」に切り替えることも可能。
こちらはJavaScriptで表示した状態。ある程度慣れてきたらテキストでプログラムを組むこともできる。
中川「「マイクロビットは直感的にプログラミングの仕組みを理解できるので、最初の一歩としてはとても良い教材だと思います。仕組みさえ理解できれば、JavaScriptにも移行しやすいです」」
プログラミングを自由研究のテーマにする際のポイント
先述したように、マイクロビットはアイデア次第で様々なことが可能であり、KDDIの2人がつくったプログラムもその一例に過ぎない。プログラミングを夏の自由研究のテーマにする場合、どのようなことを意識すればいいのだろうか? 親御さんやお子さんへのアドバイスを聞いてみた。
岡本「「小学生のお子さんなら、マイクロビット単体でできることを考えるのがいいでしょう。たとえば、温度計の機能を使って、一定以上暑くなったら不快なデジタル表示をするプログラムを組むとか。あるいは、加速度センサーを使って、水準器のようなものをつくって、まっすぐ歩けるかを試すおもちゃをつくってみるのもいいですね」」
中川「「中学生なら、少しレベルを上げて、外部機器と連携したものにチャレンジしてみるのがいいと思います。マイクロビットに搭載されている機能と組み合わせれば、アイデア次第でいろいろなものがつくれます。たとえば、スマホで操作できるラジコンをつくってみるとか。実際にそういったキットも販売されています。音を出すこともできるので、楽器をつくってみるのも面白いかもしれませんね」」
自由研究のヒントが見つかるイベント
なお、2019年8月3日・4日に東京ビッグサイトで開催される「Maker Faire Tokyo 2019」にKDDIが出展する。同イベントは、3Dプリンタ、ロボット、VRをはじめとする先端技術の展示やデモンストレーションが行われるというもの。KDDIブースでは、プログラミング入門をはじめとする様々なワークショップも多数用意されるので、夏の自由研究のヒントが見つかるかもしれない。今回のプログラムを手がけた岡本や中川もKDDIブースにいるので、詳しく話を聞いてみたい人は足を運んでみてはいかがだろうか。
- Maker Faire Tokyo 2019
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【日時】
2019年8月3日(土) 12:00~19:00
2019年8月4日(日) 10:00~18:00
※入場は終了の30分前まで【会場】
東京ビッグサイト(西3・4ホール)
東京都江東区有明3-11-1【入場料】
前売(8/2(金)まで):大人 1,000円、18歳以下 500円
当日:大人 1,500円、18歳以下700円KDDIブース(西4ホール S-02-01)では、「おもしろいほうの未来へ。」をテーマに、IoT作品などの展示に加え、携帯電話の仕組みを分解して学ぶセミナーや親子で楽しめるIoT開発体験セミナーを実施します。
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文:榎本一生
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