2017/07/25
| 更新
2022/05/28
電話番号の「090・080・070」の違いとは?「010」から「090」までの利用事例も紹介
携帯電話の番号の最初の3桁といえば「090」「080」「070」だが、「060」を加えようと総務省が検討していたことがある。スマホの急激な拡大により、番号が足りなくなることが懸念されたからだ。
ほかにも、ネット上で「090を利用しているのは“おじさん”世代」というコメントが話題になったこともあるが、電話番号の最初の3桁にはどんな違いがあるのか。ケータイを中心にした11桁の電話番号における「090」「080」「070」の歴史を踏まえながら、「010」~「090」それぞれの利用事例を紹介しよう。
「090」「080」「070」が携帯電話の番号になった歴史
日本初の携帯電話ともいえる自動車電話サービスがはじまったのは1979年のこと。このときの専用番号は「030-xx-xxxxx」のように、「030」からはじまる10桁のものが使われた。
以後、この10桁の番号は携帯電話番号として用いられ、先頭の番号も「030」だけでなく「010」「020」「040」「080」「090」が使われるなど、さまざまに変遷を続けてきた。そのもっとも大きな転換点といえるのが、1999年の「電話番号の11桁化」だろう。
1999年、爆発的に増え続ける携帯電話利用者に対応するため、電話番号をこれまでの10桁から11桁へと増やし、同時に「090」からはじまる番号を携帯電話専用の番号として利用開始。また、それまで「050+7桁」「060+7桁」から始まっていた簡易型携帯電話のPHS(Personal Handy-phone System)の番号も、「070」ではじまる11桁のものへと振り分けられた。
その後、携帯電話の普及がさらに進み、「090」からはじまる11桁の番号も足りなくなると、2002年には「080」を追加。2013年にはPHS用の「070」の中から070-1~4、070-7~9で始まる番号も携帯電話番号に加わり、さらに2014年の携帯電話とPHS間の番号ポータビリティ開始からは、PHS用だった070-5、070-6で始まる番号も使えるようになった。
こういう背景のため、「090」からはじまる11桁の電話番号がもっとも古い携帯電話番号であることから、20年前から携帯電話を利用している人=「090」を利用している人と認識されたと推察される。もちろん、電話番号は解約すると再利用されることがあるので、「090」の利用者全員が20年前から利用しているわけではないことも知っておいてほしい。
携帯電話の番号が足りなくなるから「060」を追加する?
このような歴史のなか、11桁にした電話番号も2017年3月の時点で「090」と「080」ではじまる番号の空きがほぼなくなり、2017年7月時点では「070」も残りが約2,500万番号となっていた。このままでは電話番号が足りなくなるのは時間の問題ということで、総務省が「060」を携帯電話用に解放すべく検討に入った。
しかし、2021年12月の総務省の情報通信審議会において、2024年度までは番号の逼迫(ひっぱく)はないだろうということで、「060」の解禁はいったん見送りとなった。
※参考:総務省ホームページ「情報通信審議会 電気通信事業政策部会(第60回)配付資料・議事概要・議事録」
ちなみに、この「060」ではじまる番号は、現在もFMC(Fixed-Mobile Convergence)という機種(企業から支給される内線電話も使える特殊な携帯電話)で使われている。だが、その数はあまり多くなく、そのため「060」ではじまる番号のほとんどが使われずに余っている状態だったというわけだ。
5G時代の到来で大きな注目を浴びる「020」
ほかの番号の状況はどうだろうか。「020」といえば、2019年9月までポケベルの番号として使われていたので、当時使っていた人のなかには懐かしく感じる人もいるだろう。
ポケベルとはポケットベルの略称。小さなディスプレイがついたマッチ箱大の通信機器で、一般向けの携帯電話がまだ存在しなかった1970年ごろにはじまったサービスだ。相手のポケベルの番号に電話をかけると、ポケベルのディスプレイに電話をかけた人の番号や、10文字程度の簡単なメッセージが表示されるというもので、通話はできないが、1990年代には外回り営業のビジネスマンから学生に至るまで爆発的に普及した。
現在ポケベルのサービスは終了しており、ポケベル自体が利用されていない。「020-4」ではじまる11桁の番号枠(020-4xx-xxxxx)だけが、ポケベル用に念のために残されているという状況だ。
「020-1~3、5~9」からはじまる11桁の番号枠は、2017年からM2M(マシン・トゥ・マシン)専用の番号として、見守り機器やデジタルサイネージの通信、一部通信事業者のデータ専用回線などに使われてきた。そんななか2021年には、M2M専用番号が枯渇していることを受け、新たに「020-0」からはじまる14桁の番号の提供が開始された。
家電製品、自動車、公共交通機関、工場、病院など、ありとあらゆる場所で、センサーなどが取り付けられたさまざまなIoT機器が普及するなか、その機器すべてに番号を割り当てていくことを考えると、現状の番号枠ではその数が圧倒的に不足することが明らかとなったからだ。人以上に存在する多くの機器に番号を付与できるよう、桁数を増やすことで番号数を確保したのだ。
「050」「040」「030」「010」はなにに使われている?
「010」は、現在では日本から国際電話をかけるときに使われている。たとえばauであれば、「010+国番号+相手先の電話番号」で海外に電話ができる。当初は携帯電話番号に使われていたこの「010」が、今のような国際電話で使われるようになったのは2001年からのことだ。
また、「050」はIP電話(ケーブルテレビのネットワークなどを介したインターネット電話)の番号として使用されている。
では、残る「030」と「040」はなにに使われているのだろうか?これら2つは携帯電話サービスがはじまった当初に使われていた番号だが、1996年以前は、160km以上離れた場所への遠距離通話では「030」を「040」に変えないと電話がつながらなかった。
これは当時の「距離によって料金が違う」というシステムによるもので、たとえば「030-xxx-xxxx」の番号にかけるとき、この相手が160km以上離れた場所にいる場合は「040-xxx-xxxx」と先頭を「040」に変えてかけないとつながらなかった。この仕組みは1996年に廃止され、「040」はいったん使用されなくなった。
その後、「040」は1997年に再び携帯電話の番号として復活するが、携帯電話番号が11桁となった1999年に「030」とともに廃止される。それ以降、現在(2022年4月)に至るまでなににも使われていない。つまり、「030」「040」だけでもいくらかの余裕があるということになる。
現在の携帯電話番号がいつの日か枯渇してしまったときに、この「030」と「040」が使われる未来もやってくるかもしれない。
※2022年4月現在の情報です。
文:太田 穣