2017/11/20
『Google Home』『Amazon Echo』…話題のAI搭載スマートスピーカー機能・特長を比較
ついにGoogle Home、Amazon Echoが日本上陸、先行していた日本生まれのClova WAVEとともにスマートスピーカーの主役が出揃った。
また、ソニーからはLF-S50G、オーディオメーカーのHarman KardonからはInvokeとAllureというスマートスピーカーも2017年12月に、AppleのHomePodも2018年には日本での発売が予定されている(アメリカなどでは2017年12月に発売)。ようやく日本でも本格的なスマートスピーカーの時代がスタートするというわけだ。
スマートスピーカーとは?
スマートスピーカーとは、音声だけで操作できるスピーカーのことで、音楽を聴かせてくれるだけでなく、家電や照明のコントロールや、天気予報やニュースなどの生活情報を伝えてくれるなど、さまざまなアシスタント機能をもつ。いわばスマートホームの小さなコントロールタワーといってもよいだろう。
このスマートスピーカーのアメリカでの売り上げは、2016年には650万台に上り、2017年には2,450万台に達すると予想されている(アメリカのVoiceLab社予測)。まさにアメリカでは「一家に一台、スマートスピーカー」の時代が目前で、日本もまたこれに続くことになりそうだ。
IT巨人たちが続々と参入
世界初のスマートスピーカーで、2014年に世に出てひと足先にアメリカにスマートスピーカー・ブームを巻き起こしたのが「Amazon Echo」だ。円筒形で、てっぺんの円周がLEDで青く光る。このAmazon Echoの成功を見て、続々とIT企業の巨人たちがスマートスピーカーをつくり始めたというわけだ。
Amazon EchoがAlexa(アレクサ)を搭載しているように、それぞれが、各社のデジタル・パーソナル・アシスタントと呼ばれるAIのインターフェースを搭載している。基本的な機能はほぼ一緒で、スマートスピーカーに話しかけると、音楽を再生したり、ニュースを読み上げたり、なんらかのアクションをしてくれる。
なにをしてくれるのか、なにができるのかは、それぞれが搭載するシステムやプログラムによって異なる。また、スマートスピーカーがみんな円筒形なのは、複数のマイクを円形にぐるりと取り付けて、どの方向からの人の声も正確に拾えるようにしているからだ。
では、各社のスマートスピーカーの特長を簡単に説明してみよう。
どんどん進化を続ける先発のAmazon Echo
「Alexa!」
日本で発売されたのは普及タイプの「Echo(エコー)」、スピーカーを小型化した「Echo Dot(エコードット)」、高機能版の「Echo Plus(エコープラス)」の3種。搭載しているデジタル・パーソナル・アシスタントは「Alexa」だ。
このAlexaでは、さまざまな企業(サードパーティー)がEchoを利用するプログラム(スキルと呼ばれる)を開発できるようになっており、たとえばアメリカではピザチェーンがピザの注文を、スターバックスがコーヒーの注文ができるプログラムを提供するなど、Echoを使った数多くのサービスが利用できる。テレビ、ラジオや旅行、銀行、グルメサイトなど、すでにたくさんの日本向けスキルも公開されている。
巨大なGoogle検索データベースがアドバンテージのGoogle Home
「Ok, Google!」
Google陣営から登場したのは「Google Home」とスピーカーを小型化した「Google Home Mini」。搭載するデジタル・パーソナル・アシスタントは「Googleアシスタント」で、話しかけるだけでGoogle検索という巨大なデータベースが使えるのがアドバンテージ。
音楽の再生はもちろん、調べ物やスケジュール管理、家電の操作などが行える。別売りのChromecast(クロームキャスト)をテレビに接続すれば、Google Homeからテレビをコントロール、映画やYouTubeを楽しむことができる。Alexaのスキルにあたるプログラムが「アプレット」と呼ばれるもので、こちらもサードパーティーが自由に開発できる。日本でもグルメサイトやラジオ、物件探しアプリなど、Google Homeの機能を拡張するさまざまなアプレットがどんどん登場している。
オーディオとしての完成度とSiriが魅力のHomePod
「Hey, Siri!」
Appleからは「HomePod」。搭載されるデジタル・パーソナル・アシスタントはおなじみ「Siri」だ。4,000万曲以上を揃えるApple Music®️ライブラリへのアクセスのほか、メッセージの送信、ニュースや天気の検索、家電や照明の操作が音声で行える。
巨大な低音用スピーカー(ウーファー)と7つの高音用スピーカー(ツイーター)を搭載しており、他社製品を圧倒する高品質サウンド。HomePodが置かれた部屋の音響特性を認識し、その部屋に適したサウンドを自動的に調整してくれるほか、高度なエコーキャンセレーションにより、大音量の音楽が流れていてもユーザーが離れていても、Siriが音声を理解できるとしている。日本での発売は2018年を予定。
コンパクトながら高音質に期待! Harman KardonのInvoke
「Hey, Cortana!」
「Invoke」は有名オーディオメーカーのHarman Kardon(ハーマン・カードン)らしく、ウーファーとツイーターをそれぞれ3つ搭載、360°どこからでも高音質で音楽を楽しめるスマートスピーカーだ。搭載するデジタル・パーソナル・アシスタントはMicrosoftの「Cortana(コルタナ)」。音楽の再生はもちろん、Office 365の情報への接続、ニュースや交通情報などの読み上げや、予定、リマインドの確認等に音声で対応する。
スカイプを標準で搭載するので、スカイプ同士でのハンズフリー通信ができるのは強みといえそうだ。日本発売の時期は未定。なお、同じHarman Kardonの「Allure(アルーア)」はAlexaを搭載したスマートスピーカーで、こちらは日本で2017年12月発売予定(年内に招待制での販売を開始)だ。
LINEとの相性もバッチリのClova WAVE
「Clova!」
日本で発売中の「Clova WAVE」(クローバ ウェイブ)。搭載しているデジタル・パーソナル・アシスタントは「Clova」で、LINEが開発したAIアシスタントに、韓国の検索ポータルNAVERの技術やコンテンツを活用している。
音声操作での照明・テレビのオン/オフ、占いやニュースの読み上げ、LINEの通知やメッセージの読み上げ、送信などに応じる。LINEとの相性がよいのは日本人にとっては魅力的だろう。音楽は4,000万曲以上の音楽再生ができるLINE MUSICと連携している。
ソニーらしい音へのこだわりが魅力のLF-S50G
「Ok, Google!」
ソニーから発売される「LF-S50G」は、Googleアシスタント搭載のスマートスピーカーなので機能的にはGoogle Homeと同等。とはいえ、ソニーらしい、対向配置2ウェイスピーカーシステムや2ステージディフューザーといった高音質を実現するいろいろな技術が使われており、音楽好きにオススメだ。
音楽再生や音量操作などを触れずにジェスチャーで操作できるほか、防滴仕様(JIS IPX3相当)のため、キッチンでの利用に便利。また時計が常時表示されているので「Ok, Google!」と話しかけなくても時刻がわかるのは嬉しい。
以下の表は、主なスマートスピーカーを項目別に整理したものだ。
AIと一緒に暮らす未来の日常生活
さて、このスマートスピーカー、今後、どんなふうに進化していくのだろうか。AIのインターフェースとしてミニスピーカーを選んだのは、家庭内のどこに置いてもインテリアとしてフィットしつつ、AIの耳と口の役目を最大限にこなすことができるからだろう。インターフェースとしての側面だけに注目すれば、Google Home Miniのようにスピーカー部を極端に小さくしても機能は変わらないのだ。
この点、LINEのClovaは大胆な戦略を発表している。AIの耳と口の役目だけでなく、今後は、目や鼻や手の役目も果たせるように進化させ、さまざまなデバイスに搭載するというのだ。目は画像認識であり、鼻は匂いなどの検知であり、手はロボットの手だ。つまり、ClovaというAIが、スピーカーだけでなく、カメラだったり、テレビだったり、ロボットだったり、あるいは冷蔵庫だったり、クルマだったりと、さまざまなものに姿を変えて日常生活のいたるところに入り込み、わたしたちはAIとともに暮らすことになるという未来図を描いているのだ。
AIとの共生という未来が、まずはスピーカーから始まったといえるだろう。
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文:太田 穣