2016/06/13

最新のデジタルテクノロジーが集う“音楽フェス”、『SXSW』とは

オバマさんもやって来た!!

こちらがSXSWの公式サイト→http://www.sxsw.com/

「SXSW」と書いて「サウス・バイ・サウス・ウエスト」と読む、この一大フェスティバル。最近、いろんなメディアでこのSXSWの4文字を見かけることが多くなってきました。2015年にはPerfumeのライブが一大センセーションを巻き起こし、話題にもなりましたっけ。とはいえ、これがどれだけすごいフェスなのか、きちんと知っている人はまだまだ少ないように思います。

SXSWとは毎年3月、アメリカのテキサス州オースティンで開催されるのが習わし。2016年は日本からも[Alexandros]や水曜日のカンパネルラ、和楽器バンド、Yoshikiなど多くのミュージシャンが参加。オバマ大統領もやって来てキーノート・インタビューに登場している。とにかく世界中から大勢の「業界」関係者がオースティンに大集合する、ものすごいイベントなのだ。

未来のビジネスの一大見本市

とはいえ、ICT用語事典で説明しようとしているくらいだから、このSXSWはただの音楽フェスではない。確かに、1987年の第1回目は普通の音楽フェスとしてスタートしたが、1994年には映画祭も含まれ、そして1998年にはインタラクティブフェスが加わった。

このインタラクティブフェスは、かつて、誰も知らなかったTwitterが賞をもらい、世界的に注目されたことから、インターネットやデジタル関連の最新テクノロジーなど、未来のビジネスの一大見本市として大きな権威を持つようになったのだ。オバマさんがわざわざやって来るゆえんである。

2016年のSXSW。これはインタラクティブ部門のセッションの様子

2015年に、AR(拡張現実)テクノロジーとステージの融合したライブでPerfumeが大評判を取ったのが、このインタラクティブ部門だった。この部門でのアワードは、毎年多くの受賞者・受賞社が輩出するが、下はその一部をリストにしたもの。これを見れば、このSXSWに全世界から熱視線が注がれるのも納得するはずだ。

2007 Twitter(ツイッター)
2009 Flickr(フリッカー)
2010 Siri(シリ)
2011 Airbnb(エアビーアンドビー)
2011 Spotify(スポッティファイ)
2012 Pinterest(ピンタレスト)
2013 Sound Cloud (サウンドクラウド)
2015 Lyric Speaker(リリック・スピーカー)

どれも、今ではジャンルのトップに君臨するサービスやアプリケーションばかりだ。ちなみに、「Lyric Speaker」は日本企業の手によるもの。これは、音楽を再生するとスピーカーに内蔵された透過型スクリーンに歌詞が浮かび上がるという製品だ。優しい曲調なら、優しいフォントやモーショングラフィックになるなど、自動的に歌詞をビジュアライズしてくるのだという。

2016年のアワード受賞アプリがゲットできる

では、2016年はどんなものがアワードに選定されたのだろうか。受賞した数多くの製品やビジネスプランはSXSWの公式サイトで確認することができるが、すでにスマホで使えるアプリなどもある。たとえば、「splash」というアプリは、iPhoneだけで360度動画が撮影でき、しかもVR画像として多くの人と共有できるようにするもの。試してみではどうだろうか。

インタラクティブ部門で受賞するのはデジタル関連ばかりじゃない。汚れた水を最新のフィルター技術を駆使して飲み水に変えてくれる、リュックサック型の濾過装置「The Filter Pack」といった、災害時や水道の通っていない途上国などで大いに活躍するであろう製品もアワードを受賞している。

音楽部門では日本人受賞者も

さて、インタラクティブだけでなく、音楽でも映画でもそれぞれのアワードがある。音楽ではミュージックビデオで、ロサンジェルス在住の日本人映像ディレクター、ヒロ・ムライさんの名前があり、チャイルディッシュ・ガンビーノの「Sober」が受賞作として紹介されている。なかなか切なくて、いいビデオなので、ぜひご覧あれ。

音楽から映画、ICTからエコビジネスまで、とにかくありとあらゆる「業界」関係者が世界中からわんさかやって来るSXSW。ちなみに、KDDIもSXSW2016に、「Linked-door」のデモを出展。大変なご好評をいただいております。

文:太田 穣