2020/09/30

『IPアドレス』とは?わかりやすく仕組みや確認方法、個人特定のリスクなど解説

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スマホでもPCでも、インターネットを利用していると「IPアドレス」という言葉をたびたび目にすることになる。では、インターネットにおいてIPアドレスとはなんのために存在し、どんな役割を担っているのだろうか。

昨今はテレワークの広がりに伴い、固定IPアドレスが必要になるケースも増えてきた。また、IPアドレスの漏洩によるトラブルなども取り沙汰されている。これを機にあらためてIPアドレスの仕組みや種類、個人を特定されるリスクなどについて解説していこう。

IPアドレス

IPアドレスとは

IPアドレスは、スマホやPCなど、ネットワーク上の機器に割り当てられるインターネット上の住所のような存在だ。インターネットでページを閲覧したり、メールの送受信を行うには、データの送信元や送信先を識別しなくてはいけないが、この識別に使われる番号がIPアドレスだ。ネットワーク上でデータを送受信する際、通信相手を指定するために使われている。

IPアドレスには複数の種類があるが、関係する用語も多いので、グローバルIPアドレスやプライベートIPアドレス、また固定IPアドレスや個人情報との関係など、よく出てくる用語について解説していこう。

IPアドレスとは

・世界にひとつだけの「グローバルIPアドレス」

その名のとおり、全世界で通用するアドレスで、世界中どこからでもデータ送受信の際に送り間違えのないよう、世界にただひとつ、インターネットに接続する際に割り振られるIPアドレスだ。

グローバルIPアドレスは特定の国や地域に属さない「ICANN」という組織によって世界的に管理 されており、ICANNから日本の管理組織であるJPNICに割り振られ、そこからインターネット・サービス・プロバイダ(以下ISP)を経由して利用ユーザーへと割り振られている。

そのため、利用ユーザーがISPと契約すると、ISPに割り当てられたIPアドレスのなかからPCやルーターが接続した際に通信が重複しないよう割り振られるため、同じグローバルIPアドレスが存在することはない。そのIPアドレスは、XXX.XXX.XXX.XXXのように0〜255の数字4組で表記されるが、数字の組み合わせは有限であり、後述のような枯渇問題が起きている。

・ローカルネットワーク内で使用する「プライベートIPアドレス」

自宅や会社など特定のネットワークの範囲内で用いられるIPアドレスのことで、ローカルIPアドレスとも呼ばれる。グローバルIPアドレスとは違い、そのネットワーク内で識別できれば良いので、ほかのネットワークでは同じ番号が使われている可能性がある。

ちなみに、このプライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスはそれぞれ番号の割り当て範囲が決まっており、詳しい人が番号を見れば、どちらのIPアドレスか判別することができる。

・グローバルIPとプライベートIPはどうつながる?

次にグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの関係性を見てみよう。 たとえば、家族で共用のWi-Fiを使用するケース。この場合、グローバルIPアドレスが割り振られるのはWi-Fiルーターで、そこに接続するスマホやPC、家庭用ゲーム機などにはプライベートIPアドレスが設定される。これにより各機器はルーターを介してインターネットに接続できるというわけだ。

IPアドレスの仕組み

各機器はプライベートIPアドレスを経由し、グローバルIPアドレスを持つルーターを通してインターネットに接続しているのだ。グローバルIPアドレスが外部と連絡するための“外線電話”なら、プライベートIPアドレスは“内線電話”といえるだろう。

カフェなどの公衆Wi-Fiでも、各機器にはプライベートIPアドレスが割り振られ、ルーターを介してインターネットへと接続している。マンションの共用Wi-Fiも同様で、部屋ごとに専用線を引いていない場合、各部屋ではプライベートIPアドレスが割り振られるケースが多い。

IPアドレスはどのように割り振られる?

では、IPアドレスはどのように割り振られているのだろうか。IPアドレスの割り振り方は、動的タイプと固定タイプの2種類がある。通常ISPから割り当てられるのは動的タイプで、固定タイプはオプションになっていることが多い。それぞれ「動的(可変)IPアドレス」「固定(不変)IPアドレス」などと呼ぶのが一般的だ。

・動的(可変)IPアドレス

インターネットに接続するたびに、ISPから新たなIPアドレスが自動的に割り振られるのが動的(可変)IPアドレスで、普段スマホやPCなどを利用するときに割り当てられるのがこちらのタイプとなる。一定時間が経過したり、ネットを切断するたびに番号が変更される。家庭用Wi-Fiはもちろん、公衆Wi-Fiなどでもこちらのタイプが採用されている。

動的タイプの場合、IPアドレスはISPから自動的に割り振られるため、特別な接続設定などは不要だ。また、番号が変動するので、ユーザーが特定されるリスクも低いだろう。

・固定(不変)IPアドレス

一方、常に同じIPアドレスで接続するケースに対応したものが固定(不変)IPアドレスだ。会社内のシステムなど特定の許可した人(機器)しか通信できないよう設定する場合は、接続のたびにIPアドレスが変わってしまっては、どこからのアクセスか特定できない。接続が許可された人であることを特定するために固定IPアドレスが必要になるのだ。

固定IPアドレスでインターネットに接続する際はユーザーが手動で接続設定する必要があるが、リモートワークで自宅から会社にアクセスする場合や遠隔監視を行うネットワークカメラなど、固定IPアドレスを必要とするケースも少なくない。

動的IPアドレスと固定IPアドレスの違い

ちなみに、固定IPアドレスはほとんどのISPではオプションプランになっており、ISPごとにその取り扱いや料金も違うため、利用用途に応じて比較検討しておこう。

IPアドレスの枯渇問題。IPv4とIPv6

もうひとつ、関連知識として知っておきたいのが“IPアドレスの枯渇問題”だ。

従来のIPアドレスは、0〜255の数字4組の番号を割り振る「IPv4」というプロトコル(通信規約)を採用しており、約43億通りのIPアドレスを管理することが可能だった。しかし、スマホやIoTが爆発的に普及しインターネット需要が拡大した現在、使用できるIPアドレスの数が追いつかなくなってきた。そこで新たに取り決めたプロトコルが「IPv6」だ。4桁の英数字8組で表記するIPv6では43億✕43億✕43億✕43億までIPアドレスを管理できるため、事実上、無制限化したに等しい。

IPv4:198.51.100.100(43億通り)
IPv6:2001:0db8:0000:0000:0000:0000:0000:0001(43億の4乗通り)

ただしIPv6のアドレスを利用するには、インターネット回線がIPv6に対応していることに加え、ISPでもIPv6接続を提供していること、ルーターも対応している必要があるなどいくつか条件があり、その普及はまだ緩やかである。

IPv4とIPv6

ちなみに、過去には「IPv5」という規約も存在したが、実験的なプロトコルだったこともあり、まったく普及することはなかったそうだ。

IPアドレスの確認方法

普段、IPアドレスの情報が必要になるケースはほとんどないが、Wi-Fiにはつながるけど、インターネットが使えないなどのトラブルが発生した時、プライベートIPアドレスの確認方法を知っておくと役に立つだろう。

・プライベートIPアドレスの確認方法

スマホの場合、設定から確認することができる。通常は「192.168.x.x」が表示されるはずだが、インターネットにつながらないなどのトラブル発生時は「169.254.x.x」と表示されることがある。それはルーターから正しくIPアドレスが割り当てられていない状態であり、多くはルーターの再起動で復旧するが、原因はさまざまだ。それでは実際の確認方法を紹介しよう。

<iPhone>
「設定」アプリ▶「Wi-Fi」と進み、現在接続しているWi-Fiをタップしよう。ルーターやDNSなども確認できるため、これらの情報が必要なときにも重宝する。

iPhoneのIPアドレス確認方法

<Android>
「設定」アプリの「接続」▶「Wi-Fi」と進み、現在接続しているWi-FiをタップするとIPアドレスを確認することが可能だ。機種によって、設定画面の項目などが異なる場合もあるが、接続中のWi-Fi情報からIPアドレスが確認できるだろう。

AndroidのIPアドレス確認方法

・グローバルIPアドレスの確認方法

グローバルIPアドレスもアプリやWebサービスを使って確認することができるので、興味のある人は自分で調べてみよう。アクセスするだけでIPアドレスを表示してくれるものが多い。

IPアドレスから個人は特定できる?

IPアドレスから個人情報が漏洩しないか不安になる人も多いのではないだろうか。

結論から言ってしまうと、IPアドレスは一種の公開情報なので、第三者に知られたとしても大きなリスクはない。IPアドレスはインターネット上の住所と表現されることから、個人情報も含まれる印象を持ってしまう人がいるかもしれないが、IPアドレスから個人情報が漏洩することはないので、その心配はいらない。IPアドレスから個人を特定できるのは、契約しているISPや通信事業者に限られる。そのISPや通信事業者も、裁判所による開示命令がなければ、個人情報を開示することはない。

だが、唯一無二のIPアドレスを追跡されることで、ネットでの行動が知られてしまう可能性がある。匿名掲示板に同一IPアドレスで複数人を装って書き込んだ投稿者を特定しようとしたり、自作自演であると批判するなど、個人が特定されることはないといっても、IPアドレスを利用した騒動が実際に起こっているのも事実だ。

いつも使っているにも関わらず、意外と知らないことの多いIPアドレス。特定の利用条件下では固定IPアドレスが必要になるなど、知っておくと役に立つことも少なくない。また、IPアドレスについて正しい知識を身につけて、不要な不安を抱えることなく、インターネットを楽しんでほしい。



文:佐藤宇紘

KDDI 総合研究所 博士 田上敦士

監修:田上敦士(たがみ・あつし)

1974年生まれ、長崎県出身。KDDI総合研究所グループリーダー、博士(工学)。現在次世代インフラ1部門にて、将来のネットワーク技術に関する研究開発を行っている。最近の主な研究テーマは、情報指向ネットワーク、トランスポート層プロトコル設計など。

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