2020/05/21

今さら聞けない『WiMAX』とは? 仕組みや速度、注意したい点などを徹底解説

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モバイルルーターやWi-Fi機器を探したことがある人であれば、「WiMAX(ワイマックス)」という言葉を耳にしたことがある人は多いだろう。だが、ポケットWi-Fiのようなもの、という漠然としたイメージだけで、WiMAXとはいったいどういったものなのかをきちんと理解している人はそれほど多くないのではないだろうか。

WiMAXとは

そこで本記事では、WiMAXとはなにか、ほかのポケットWi-Fiなどとどんな違いがあるのかなどを解説する。

WiMAXとは?

WiMAXは「Worldwide Interoperability for Microwave Access」の略で、携帯電話の3GやLTEなどと同じ無線通信技術規格の一種。だが、厳密には携帯電話の電波を3GPP(Third Generation Partnership Project)が標準化しているのに対し、WiMAXは無線LANの標準化を行っているIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)が規格化を行っているという違いがある。

主に固定通信向けの「WiMAX」と、スマホやモバイルルーターなど、移動して使うための「モバイルWiMAX」があり、日本ではモバイルWiMAXを用いたサービスを、UQコミュニケーションズが2009年から「UQ WiMAX」として提供している。

WiMAXとモバイル回線の違い

WiMAXといえば、ポケットWi-Fiなどのモバイルルーターを思い浮かべる人も少なくないと思うが、これはUQ WiMAXの提供サービスの印象が強いためだろう。実際、単にWiMAXといった場合には、UQ WiMAXおよびその提供サービスを指していることも多い。

では、このWiMAX(モバイルWiMAX)と、スマホやポケットWi-Fiなどで使われるモバイル回線とでは、いったいなにが違うのだろうか。簡単にいうと、通信方式の考え方、出発点が異なる。

WiMAXのイメージ

現在、スマホなどで利用されるモバイル回線は、音声通信などを遅延なく安定して通信することを重視している。これに対してWiMAXは、短時間に大量のデータを高速通信することを目指したもの。データ通信に特化した通信規格といえるだろう。ただし、現在UQ WiMAXが提供している「WiMAX 2+」に関しては、両者の違いはあまりなくなってきている。

WiMAX 2+とは?

WiMAX 2+は、UQ WiMAXがWiMAXの後継サービスとして2013年に提供を開始したもの。WiMAXの下り最大速度が40Mbpsだったのに対し、WiMAX 2+は110Mbpsと高速なのが特徴だった。

2015年には、複数の帯域を束ねるキャリアアグリゲーション(CA)技術を利用したWiMAX 2+の下り220Mbpsサービスが始まり、現在ではさらに増速し、下り558Mbpsを実現している(利用する機器や通信エリアにより異なる)。

なお、UQ WiMAXのWiMAXサービスは2020年3月末にサービスを終了しており、現在提供されているのは、WiMAX 2+のみだ。

このWiMAX 2+は、通信規格としてはWiMAX 2.1(WiMAX Release 2.1)を利用している。これは、モバイルWiMAXの後継規格としてつくられたWiMAX 2.0に、LTEのひとつであるTD-LTEとの互換を持たせたもの。TD-LTEは、国内キャリアではLTEのBand 42(3.5GHz帯)として利用されている帯域だ。ちなみに、UQ WiMAXのWiMAX 2+はBand 41(2.5GHz帯)を利用している。

このようにLTEとWiMAXは通信規格として極めて近しい関係にあり、実際のところ、その回線を使って提供されているサービスが違うだけともいうことができる。

WiMAXを使うメリットと注意点

これまで通信規格としてのWiMAXを説明してきたが、気になるのは実際の使い勝手だろう。ここではUQ WiMAXのメリットと、あわせて注意点もいくつか紹介する。

なお、以下で記載する「WiMAX」は、基本的にはUQ WiMAXのWiMAX 2+サービスのことを指している。

【メリット】
・通信容量無制限

WiMAX最大の特徴が、通信容量が無制限であることだ。最近ではキャリアの大容量プランも出てきているが、相応に価格は高くなる。その点、WiMAXはどれだけ利用しても価格は変わらない。ただし3日で10GBの通信制限があるので注意は必要だ。

・工事なしですぐに使い始められる

WiMAXは、高速通信を使い放題ということで、自宅の固定回線代わりに利用することもできる。実際、自宅用途向けの「ホームルーター」という機器も販売されている。

ホームルーターのイメージ

固定回線を引く場合、回線工事が必要になるが、UQ WiMAXは届いたその日から利用できる。配線なども必要ないので、設置場所がコードで乱雑にならないというメリットもある。

・利用できる接続台数が多い

一般的なモバイルルーターは、スマホやPC、ゲーム機器などを同時に接続できる台数が10台前後のものが多いが、UQ WiMAXの最新モバイルルーターは16台と接続可能台数が多い。

WiMAXの同時接続数のイメージ

また、先述のホームルーターなら40台の接続に対応している。ひとりで使うのはもちろん、家族での利用にも余裕がある。もちろん、多接続になれば通信速度は落ちるので注意は必要だ。

・オプションでauのLTE回線も利用可能

UQ WiMAXは基本的に全国で利用できるが、大手キャリアのサービスエリアと比べると、通信できるエリアは若干狭い。また、建物内などで圏外になることもある。そういった場合、利用する機器が対応していれば、auのLTE回線に切り替えて利用できる。ただし、別途オプション料金は必要だ。

普段は問題ないが、出先で圏外になってしまったという場合には便利だろう。契約前にUQ WiMAXを試用できるサービスもあるので気になる人は試してみるとよい。

・理論値最大1.2Gbpsの高速通信に対応

WiMAX 2+サービスの通信速度は下り最大558Mbpsだが、利用する機器、そして通信エリアによっては、auのLTE回線とキャリアアグリゲーションを行うことで、下り最大1.2Gbpsの高速通信を利用できる。このように、ほかの4G LTEの電波とCAを実現できるのが、WiMAXの強みだろう。

なお、これはもちろん理論値での話だ。また、ハイスピードプラスエリアモード(au LTE回線を用いた通信)を利用するので、データ容量は無制限ではなく7GB/月の制限が付く。利用できる機器も限られるが、いざというときには心強い。

【注意点】
・3日で10GBの通信制限がある

UQ WiMAXのメリットとして通信容量が無制限であることを挙げたが、実際には3日間の通信量が10GB以上になると、混雑緩和のため、通信速度が制限される。ただし、制限されるのは翌日の夜間(18時頃~26時頃)のみで、日中は制限なく利用可能だ。なお、通信制限中の速度は概ね1Mbpsとなる。

・使用環境によっては電波が入りづらい

WiMAX 2+サービスが利用する周波数帯(2.5GHz帯)は、ほかのモバイル通信(700MHz~2GHz帯)と比べ、周波数が高い。電波は周波数が高くなるほど直進性が強く、遮蔽物に弱くなるという特性があるので、WiMAX2+は建物内では電波が弱くなったり、圏外になったりすることもある。

モバイル通信では3.5GHz帯も使われているが、同時に低い周波数も利用できるため、建物内などではそちらでカバーされている。WiMAX 2+は2.5GHz帯のみを利用しているので、これができないわけだ。据え置き機として利用するなら、事前の試用で使用場所の電波状況を確認しておこう。

WiMAX(モバイルWiMAX)は、もともと次世代(4G世代)の高速通信を担うものとして規格が整備されてきた背景を持つ。結果的に、4G LTEなど一般的なモバイル通信のほうが普及したが、通信規格として近しい存在であるWiMAXも幅広く利用されている。

日本国内ではWiMAXはUQ WiMAXのことと混同されがちだが、ひとつの通信規格の名称として、きちんと覚えておきたいところだ。

文:山本竜也

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