2020/01/22

Wi-Fiの遅さを解決するメッシュWi-Fiとは? 仕組みやメリット、中継器との違いを解説

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自宅からインターネットに接続する際、Wi-Fiを使うことが当たり前になってきている。そのWi-Fiにはスマホやタブレットはもちろん、パソコンにプリンタ、ゲーム機、テレビ、スマートスピーカーなど、機器を5台も6台も接続することは珍しくなくなってきた。そうすると気になってくるのがWi-Fiの通信速度だ。通常、家庭内のWi-Fiネットワークは1台のWi-Fiルーターですべてのインターネット接続をまかなっているので、機器の接続台数が増えれば増えるほど機器1台あたりの通信速度は低下していく。

その解決策のひとつが「メッシュWi-Fi」だ。メッシュWi-Fiを導入することでWi-Fi接続機器台数が増えても通信速度低下を抑えることができるようになる。2017年半ばから家庭用のWi-Fiルーターにも導入されるようになったメッシュWi-Fiとは、どんな仕組みを持ち、どんなメリットがあるのか解説していきたい。

従来のWi-Fiネットワークは多接続に向いていない

まず、「メッシュWi-Fi」の特長を説明する前に従来型のWi-Fiのネットワークの仕組みとその問題点についてまとめておきたい。

従来のWi-Fiネットワークは、1台のWi-Fiルーターが室内全てのWi-Fi対応デバイスに接続する方法を取っている。

従来のWi-Fiネットワークの仕組み

例えば混雑しているカフェで、フリーWi-Fiがうまくつながらなかったことはないだろうか。これは、たくさんの人がWi-Fiを利用することで、Wi-Fiの負荷が増えているときに起こる現象だ。スマホやiPad、パソコン、テレビ、プリンター、ゲーム機など、身近なWi-Fi対応デバイスが増えた今、家庭内でも同じことが起こる可能性がある。家族や友だちなど複数人と暮らしている人なら接続数も自然と増えるだろう。従来型のネットワークでは、それら全ての接続を1台のWi-Fiルーターが負担しなければならない。

また、Wi-Fiルーターの発する電波にも制限があり、無制限にどこまでも届くわけではない。室内でもWi-Fiが繋がりにくいスポットは発生するし、室内を移動中に接続が途切れてしまうこともある。

まとめると、従来のWi-Fiネットワークの問題点は大きく以下の2つとなる。

・Wi-Fiルーターに何台もWi-Fi対応デバイスをつなぐと、Wi-Fiルーターに負担がかかって接続が弱くなる
・Wi-Fi対応デバイスとWi-Fiルーターの距離が離れると接続が弱くなる

Wi-Fiのある生活が身近になった今、これではやや心許ない。

メッシュWi-Fiとは?

1台のWi-Fiルーターで担ってきたネットワーク接続の負担を、複数台のWi-Fiルーターを使って分散しようというのが、今回紹介するメッシュWi-Fiの仕組みだ。

「メッシュ」は直訳すると「網の目」。「サテライト」と呼ばれる複数の専用中継機が網の目状にネットワークを構築することで、従来のWi-Fiネットワークのデメリットを補えるのが特長である。

メッシュWi-Fiネットワークの仕組み

サテライト機はWi-Fiルーターと全く同じ働きをする、いわば「コピー」のようなもの。Wi-Fi対応デバイスは一番近くにあるサテライト機に接続されるので、1台のWi-Fiルーターに負担がかかることがなくなる。室内のどの場所にいても、通信速度を落とすことなく快適にインターネットを使用することができるのだ。

また、自宅内でWi-Fi対応デバイスを持ったまま移動するときにも、いちいち手続きなどは必要ない。一番近くにあるサテライト機に自動的に接続が切り替わるのもメッシュWi-Fiの特長だ。

後から「買い足し」ができるのもメッシュWi-Fiの利点

一軒家でメッシュWi-Fiネットワークを利用するイメージ画像

メリットの多いメッシュWi-Fiだが、実際に利用するにはサテライト機に対応したWi-Fiルーターを購入する必要があり、ネットワーク構築のための初期費用が発生することは留意しておきたい。

逆に、一度メッシュWi-Fiのネットワークを構築してしまえば、後からサテライト機を買い足すことは可能だ。「この部屋Wi-Fi弱いなぁ……」と感じたタイミングでサテライト機を購入、設置すればいい。

中継機との違いは「通信速度」

Wi-Fiの利用範囲を広げるには、メッシュWi-Fiを利用する以外にもWi-Fiルーターに中継器を接続するという方法もある。専用のWi-Fiルーターを購入する必要もなく、初期費用を抑えられる点がポイントだ。

ただしこの中継機は、前述のサテライト機とは違い、あくまでも親機であるWi-Fiルーターを中継する機能しかなく、Wi-Fiルーターにかかる負担を分散してくれるわけではないのだ。

中継器との違い

Wi-Fiの利用可能エリアは広がるが、「複数のWi-Fiを接続しているせいで通信速度が下がる」という人にとっての解決策にはならないので注意してほしい。

また、サテライト機は全て同じSSIDでアクセスすることができるため、移動中にも別のサテライト機へ自動で切り替わるが、中継機の場合は手動で接続し直す必要がある。また、何台も買い足すこともできない。

メッシュWi-Fiをオススメするユーザー

以上から、メッシュWi-Fiの導入をオススメするのは、以下のようなユーザーだ。

・複数のWi-Fi対応デバイスを使用している方

スマホやiPad、パソコン、テレビ、プリンター、ゲーム機など、常に5台や6台以上の機器をWi-Fi接続しているというのであれば、従来のWi-Fiルーターだと接続速度に支障が出る可能性が高い。メッシュWi-Fiの導入がオススメだ。

・Wi-Fiの電波が不安定な方

部屋数が多い場合や、建物の構造や電波干渉の都合で、Wi-Fiの電波が届かず接続が途切れがちになってしまうことがある。メッシュWi-Fiのネットワークが構築できさえすれば、移動中でも速度を落とさずにWi-Fi対応デバイスの使用が可能だ。

Wi-Fiに対応した機器が増えるにつれ、自宅内のWi-Fiネットワークの接続数も増えつつある。これからもその傾向は続いていくと予想されるので、機器1台あたりの通信速度の低下は大きな問題となる。その問題を解決してくれるのがメッシュWi-Fiだ。ライフスタイルによっては中継機を導入した方が効率的な可能性もあるので、自分自身の生活環境やWi-Fi接続状況をよく見直してから導入を検討するようにしよう。室内のどこでもさくさくWi-Fiにつながる環境は、生活をより快適にしてくれるはずだ。

文:大竹利実