2019/11/08

次世代無線LAN規格『Wi-Fi 6』が丸わかり! 速度向上に加え、バッテリーの節約も

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いまやスマホやパソコンだけでなく、スマートスピーカーにスマートライト、防犯カメラなど機器の通信には必要となるWi-Fi。2019年9月、その最新バージョンが「Wi-Fi6」として公式発表された。そのWi-Fi 6で、私たちのインターネット生活、そして通信の未来はどう変わるのだろうか。3つの大きな特長を中心に解説しよう。

Wi-Fi 6

正式名称は「IEEE802.11ax」

まずはWi-Fi6という呼称について。Wi-FiはIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers=米国電気電子学会。アイ・トリプル・イーと読む)が定める標準規格名を持っている。Wi-Fi 6は正式には「IEEE802.11ax」となる。この規格名を消費者向けにわかりやすくするためにWi-Fi 6とすることを、Wi-Fiアライアンスという業界団体が決定したというわけなのだ。

なお、同時に古い規格も下の表のようにWi-Fi 4、Wi-Fi 5と呼び方が変わり、製品のパッケージにも表示されるようになった。

Wi-Fiの新しい呼び方

特長① 通信速度、データ転送量がともに向上

早速、Wi-Fi 6のスペックを見てみよう。

Wi-Fi 4、5、6のスペックの比較

利用する周波数帯は、Wi-Fi 5では5GHzだけだったのが、Wi-Fi 6ではWi-Fi 4と同様に2.4GHzと5GHzの両方使うことができる。これはスループット(理論上の単位時間あたりのデータ転送量)の向上に貢献することになる。ちなみに、周波数が長い2.4GHzは壁などの障害物に強いとされ、一方の5GHzは通信速度が速いとされている。

次に理論上の最大通信速度だが、Wi-Fi 5の6.9Gbpsに対して、Wi-Fi 6は9.6Gbpsと約1.4倍高速だ。実効スループット(条件のよい状態で通信したときの実際のデータ転送量のこと)の一般的な上限値は、Wi-Fi 5の800Mbpsに対して、Wi-Fi 6は1Gbps以上と1.2倍を越える。数字を見ただけでも、かなりの高速化が実現したことがわかる。

特長② 混み合った環境でも安定接続

だが、スペックだけではWi-Fi 6の真の姿はわからない。Wi-Fi 6は、複数の機器が同時にWi-Fiに接続している状態でも、通信がスムースかつ高速に行えることを目標に開発された。混んでいるカフェや大きなスタジアムといった場所でWi-Fiにつないだとき、通信が遅くてイライラしたことはないだろうか。Wi-Fi 6ではそういった混み合った環境でも、ストレスを感じることなく通信できるようになるという。こういった技術のひとつが「OFDMA(Orthogonal Frequency-Division Multiple Access=直交周波数分割多元接続)」だ。

混み合ったカフェの店内

OFDMAは限られた周波数帯域を有効利用するための技術で、1チャンネルの帯域幅を複数ユーザーが分け合うことで、多くのデータを効率よく通信できるようにするもの。例えると、行列ができているタクシー乗り場で、ひとりしか乗らないタクシーに相乗りしていくようなイメージだ。次から次へと相乗りでタクシーが発車していくので、タクシー待ちの行列ができにくくなる。もちろん、この場合の客がデータのことで、タクシーは電波の波のこと。

また、「MU-MIMO(Multi User Multiple-Input and Multiple-Output.マルチ・ユーザー・マイモと読む)」という技術も高速化に大きな役割を果たしている。MIMOというのは、複数のアンテナを使って通信を高速化する技術だが、Wi-Fi 4の場合は送受信が1対1でしか行うことができないSU-MIMO(シングル・ユーザー・マイモ)なので、接続する端末が増えると速度が遅くなった。ところが、MU-MIMOでは複数の端末と同時に通信が可能になる。しかもWi-Fi 6では最大接続数がWi-Fi 5の4台に対して8台にまで増えた。つまり、混み合った環境でも高速かつ、つながりやすくなるのだ。

特長③ 接続する端末のバッテリー消費を節約できる

Wi-Fi 6では、接続する端末のバッテリーの節約に役立つ機能も搭載している。「Target Wake Time(TWT)」というもので、アクセスのスケジューリングを効率よく組むことでIT機器のスリープ時間を増やし、帯域幅とバッテリーの消費を節約するという。これはスマートホーム用デバイスなどのIoT機器に対して有効とされている。

大容量通信の未来を見据えたバージョンアップがWi-Fi 6

ほかにも、Wi-Fi 6はさまざまな技術と仕様の変更によって、高速化とスループットの向上を実現している。今後、4Kや8Kのストリーミング映画、VRやARといった、Wi-Fiを介した大量のデータのやり取りが、家庭内をはじめ、駅や空港、スタジアムといった公共施設でも飛躍的に増えていくはずだ。そんな未来を見据えたバージョンアップがWi-Fi 6なのだ。

Wi-Fi 6の恩恵を受けるにはルーター側とスマホなどの端末の双方が、Wi-Fi 6に対応している必要がある。2019年10月時点で、すでにWi-Fi 6対応のルーターや、「iPhone 11」や「Galaxy S10」などWi-Fi 6に対応したスマホも発売されている。とはいえ、ルーターや端末が入れ替わり、本格的に普及していくのは2020〜2021年ごろではないかと言われている。

Wi-Fi 6は下位互換性があり、Wi-Fi 6に未対応のスマホでもWi-Fi 6対応ルーターを利用可能なので、高速通信などのメリットも多少は享受できる。来たるべき未来の通信を体感できる日も遠くはないだろう。

文:太田 穣

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