2019/08/22
防水・防塵の等級『IPX』とは? スマホを例に注意事項や保護基準を紹介
スマホの機能表やカタログでよく目にすることがある「IPX8」や「IP6X」といった表記。防水・防塵の性能を示していることはわかっているが、正しい内容を理解している人は意外と少ない。これらの表記の意味をきちんと理解しておけば、トラブルを避けることもできる。
防水性能さえ備えていれば、水でもお風呂でも海でも大丈夫! ……というわけではないのだ。
本記事では、機能表にある「IPX○」「IP○X」について解説するとともに、等級ごとの防水性能や、スマホの正しい防水の知識についても紹介する。
防水、防塵性能を示す「IP」コードと「IPX」とは?
IP○○という表記は、「IP(International Protection)」コードと呼ばれ、2003年に国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)で定められた、スマホをはじめとする精密機器の水や固形物に対する保護性能を表している。
この「IP」コードは、防水・防塵の両方を表記する場合と、それぞれ一方の性能のみを表記する場合の2通りがある。
「IP」コードのうち、防滴・防水に対する保護等級のことを「IPX(あいぴーえっくす)」と呼ぶ。防水性能のない「IPX0」から、水中の厳しい条件下でも保護される「IPX8」まで9段階の等級があり、IPXに続く数字が大きいほど、防水性能が高いことを示している。
ただし、それぞれの等級は防水性能の内容が異なるため、複数の項目に合格しているという意味で「IPX5/IPX8」のように、等級が併記される場合もある。なお、等級ごとの詳細については次章で紹介する。
防水等級について
防水等級(IPX)は、0から8までの9段階にわけられる。それぞれに定められた保護内容とテスト方法は以下のようになっている。なお、テストで用いられる水は常温の水道水を用い、テスト後に機器として正常動作することが前提だ。
防塵等級について
防塵性能については、「IP0X」から「IP6X」まで7段階の等級がある。7段階のうち、スマホに関する等級は「IP5X」の「粉塵が内部に侵入せず、若干侵入しても正常運転を阻害しない」と、最高レベルである「IP6X」の「粉塵が内部に侵入しない」の2つが該当。最新スマホの防塵等級は「IP6X」になっている。
最新モデルの防水・防塵性能は?
「iPhone」「Xperia」「Galaxy」「TORQUE」の各最新モデルの防水・防塵性能は、以下の通り。
iPhoneは、iPhone 7以降のモデルから防水に対応を開始し、iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XRは、防水、防塵性能ともっとも等級の高いレベルになっている。過酷な環境での使用を想定し、高耐久性を追求しているTORQUEは防水・防塵性能の搭載は早く、2014年7月発売の「TORQUE G01」から最高等級を搭載し、「TORQUE G02」ではIPX8に加え、メーカー独自の性能テストを行い、スマホ初となる耐海水性能も搭載している。
「IPX8」でも過信は禁物。機器ごとのマニュアルを参照しよう
現在、発売されているほとんどのスマホは「IPX8」と、もっとも高い防水保護等級になっている。しかし、「IPX7」まではテスト内容が明確になっているものの、「IPX8」は「IPX7以上かつメーカーと機器の使用者間の取り決め」と明示されているだけなのだ。
そのため、保護等級レベルが「IPX8」であっても、機種ごと、メーカーごとにそれぞれ「保護」内容は異なっている。具体的に「IPX8」レベルの防水機能が搭載されているスマホの取扱説明書には、以下のような注意書きがある。
【IPX8であっても注意が必要なケース】
水道水であっても、温度条件や含有物、また激しい動きのある条件下では、保護性能の範囲外になっているケースが多い。このほか、ジュースやアルコール、酸や酸性の食品、石鹸、洗剤、香水、虫除け、ローション、日焼け止め、接着剤リムーバー、毛髪染料、溶剤などの液体がかかることも「IPX8」の保護性能の範囲外となっている。
また、IP6Xの防塵性能を持つモデルでも「砂浜、泥の上への直置きの禁止」、「受話口/スピーカー、送話口、スピーカーへの砂の混入による故障」と記載のあるモデルもあるので注意いただきたい。
このような取扱説明書に記載されている内容を知らずに、スマホが浸水したり、粉塵が入ったりして故障したとしても保証対象外になる場合がある。またIPXはスマホのみならず、スマホ用の防水ケース、防水イヤホンなどといったアイテムも同様の注意が必要だ。スマホを長く使うためにも、自分のスマホ、防水グッズのIPXに関する注意書きを参照し、また、今回の内容をもとに防水・防塵性能を正しく理解して利用してほしい。
文:よもぎ三太郎