2019/07/18

超小型コンピュータ『ラズベリーパイ』とは。機能や価格、できることなど解説

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2020年から日本の小学校でもプログラミング教育が必修化される。今後ますますプログラミング教育関連の商品やサービスは増えていきそうだが、なかでもとくに人気が高いのが、超小型コンピュータ「ラズベリーパイ」(通称ラズパイ)だ。

もともとは子どもの教育用として2012年に発売されたが、数千円で買える手頃さと、その値段からは考えられないスペックの高さから、大人も巻き込んで爆発的なヒット商品となった。

では「ラズベリーパイ」とはどんなもので、一体どんなことができるのか? 解説していこう。

【目次】

『ラズベリーパイ』とは

「ラズベリーパイ」は、コンピュータに必要な最低限の基幹部品を1枚の回路基盤に搭載した「シングルボードコンピュータ」だ。

イギリスのラズベリーパイ財団が、世界中の子どもたちが実際にコンピュータに触れて勉強ができるようにと開発したもので、2012年に発売して以来、2017年12月には世界で累計出荷台数1,700万台を超え、いまや史上もっとも売れたイギリス製コンピュータとなった。

「Raspberry Pi 3 Model B+」 「Raspberry Pi 3 Model B+」

数千円で購入できる手軽さから、子ども用のプログラミング入門キットとしてだけでなく、大学の工学部や情報学部などでの授業に取り入れられていたり、また大人も楽しめる趣味として、世界中で幅広い層に利用されている。

たとえば世界110カ国に2,000カ所ある子ども向けプログラミング教室「コーダー・ドージョー」(日本でも180道場ある)ではラズベリーパイを教材として使用しており、イギリスで1万カ所以上ある、小中学生の放課後を利用したプログラミング部活動「コード・クラブ」でもラズベリーパイが用いられるなど、いまやプログラミングは子どもたちにとっても身近な「科目」といえる。

ラズベリーパイの機能

では昨年発売された「Raspberry Pi 3 Model B+」を例に、ハードウェアとしてのラズベリーパイの機能を見てみよう。ご覧のように緑の回路基盤の上に、パソコンとして最低限の部品が搭載されている。

Raspberry Pi 3 Model B+の内部構造

・CPU
コンピュータの心臓ともいえる中央演算処理装置。イギリスのARM社のもので、クロック周波数1.4GHzは教育用パソコンとしては十分すぎるパワーだ。

・GPU
ビデオ再生などマルチメディア担当のチップで、これらを組み込んで一つのチップにまとめたものがSoCでBROADCOM製。メモリは1GB。

・インターフェイス
Wi-Fi、イーサネット、Bluetooth、USB、GPIOポート(センサーなどさまざまな電子部品をつなげられる汎用ソケット)に、HDMIなど映像の入出力と、音声の入出力。ハードディスクは搭載していないので、そのかわりにmicro SDメモリーカードをスロットに差して使う。

低価格化のため、ラズベリーパイではメモリが自分で増やせないなど拡張性がなかったり、CPUを冷却するファンやヒートシンクも搭載されていないが、上記の構成そのものは市販のPCとほとんど変わらない。

ただし、実際にラズベリーパイを動かすには別途パソコン用のキーボードやマウス、microSDカード、ディスプレイとケーブル、USB電源アダプタとmicroUSBケーブル、そしてOS(基本ソフト)のダウンロードが必要となる。

OSは、「Raspbian(ラスビアン)」というLinuxベースのもので、これをパソコンでラズベリーパイ財団のWEBサイトからダウンロードしてSDカードに書き込む。そのSDカードをラズベリーパイに差し込んでインストールすれば準備OKだ。

ラズベリーパイ財団のHP ラズベリーパイ財団のHP

ラズベリーパイ財団のWEBサイトには、ラズベリーパイで動かせるロボットやオリジナルリモコンの工作方法、さまざまなゲームを「Scratch」というプログラミング言語で作る方法なども紹介されている。

残念ながら公式サイトは日本語に対応していないが、インストール方法を日本語で解説しているサイトもあるので、興味がある人はそれらを参考にしてはじめてみよう。

ラズベリーパイでできること

では、ラズバリーパイを使って一体どんなことができるのだろうか。

ラズベリーパイは小さなコンピュータなので、アイデア次第でさまざまなことができる。インターネット上には世界中の子どもや大人が自作したオリジナルの「ラズパイ作品」が数多く発表されているので、その一部を紹介しよう。

・音楽プレイヤー/ラジオ
Raspberry Pi ZeroでMP3ファイルを再生させれば自作の音楽プレイヤーになる。また、ラズベリーパイとオーディオ装置をつなぎ、スマホから選曲できるインターネット専用ラジオを作ることも可能だ。

・スマートスピーカー
Wi-Fi機能のついたオープンソースの赤外線リモコン「IRKit」を利用して、Appleの家電管理システムHomeKitを自作。iPhoneのSiriから、音声で家電をコントロールすることができる。

・ゲーム機
難易度はかなり高いが、携帯ゲーム機を作成することも可能だ。専用のキットを購入し、ゲームの著作権者が権利を手放したソフトをダウンロードして遊ぶ。3Dプリンタで筐体やボタンなどのパーツを自作する強者も。

・ロボット
自作のロボットを製作するとき、そのサイズの小ささを利用してロボットに搭載するコンピュータとしてラズベリーパイは最適だ。こちらも必要な部品をセットにしたスターターキットが販売されており、ロボットカーや二足歩行ロボットなどの制作ができる。

ラズベリーパイを使って制作をしている様子

産業界が注目している理由

教育トイとして生まれたラズベリーパイだが、いまや産業用のコンピュータとしても大活躍している。ラズベリーパイ財団の創設者のエベン・アプトン氏は、2016年に出荷された約400万台のうち半分の約200万台が産業用途で使われていると雑誌のインタビューで語っている。

たとえば工場の生産ラインのモニタリングや、ネットワークの監視など、さまざまなシーンでラズベリーパイは活用されている。必要なデバイスとラズベリーパイを組み合わせ、独自のプログラムを組むことで、既成のシステムを導入しなくても、低価格で自由度が高く、頑丈なシステムを開発できるというわけだ。

工場のイメージ

大人がハマる理由は、シンプルゆえの奥深さ

ラズベリーパイは毎年のように新しいモデルが登場し、性能も使いやすさもますます進化している。しかし価格はほとんど変わらず、4,000円台とPCに比べて非常に安価。

2019年の最新モデル「Raspberry Pi 4 Model B」 2019年の最新モデル「Raspberry Pi 4 Model B」

また、関連する商品や書籍だけでなく、インターネット上には多くのオリジナル「ラズパイ作品」とそのプログラムコードが公開されている。これによってプログラミング初心者でも手軽にはじめやすい一方、そのシンプルさゆえに上級者が本気で遊べる奥深さもある。それが子どもから大人まで、ラズベリーパイが世界中で愛される理由だろう。

プログラミング教育必修化に向けて、子どもと一緒にはじめるもよし。大人の趣味としてどっぷりハマるもよし。ラズベリーパイを通して、まずは気軽に楽しく、プログラミングと付き合いはじめてみてはいかがだろうか。

文:太田 穣

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