2019/03/18

iOS歴史の機能進化を振り返る 初代iPhone誕生から『iOS 12』まで

iOSとは

iOSはAppleが開発した、iPhoneやiPad、iPod touchを動かすためのOS、つまり基本ソフトだ。スマートフォンはいわば超小型のコンピュータであり、その操作には、パソコンのWindowsやmacOSにあたる基本ソフトが必要となる。iPhoneの場合、それがiOSというわけだ。iOSはmacOSをベースに、携帯機器をタッチパネルで操作できるよう開発されており、Apple製品の直感的な操作を実現している。

iPhoneを操作している女性

iOSの歴史は、iPhoneの歴史でもある。その誕生は2007年1月9日、アメリカのサンフランシスコで開かれた展示・発表イベント「Macworld」で、スティーブ・ジョブズの「Today Apple is going to reinvent the phone(今日、アップルは電話を再発明する)」という有名な言葉とともに、初代iPhoneが紹介された。この日から、iOSはiPhoneとともに劇的な進化を遂げてきた。バージョン1.0から、その歴史を振り返ってみよう。

iOSの変遷

iOS 1.x iOS誕生(2007年)

2007年6月に発売された初代iPhoneに搭載。メールやSafariといった基本的なアプリは搭載されていたが、まだApp Storeがなかったため、新たにアプリを購入してインストールするということができなかった。さらにiTunesもなかったため、音楽を購入して聴くということもなく、まだGPSによる位置認識も、コピーアンドペーストという操作などもできなかった。初代iPhoneは日本では未発売だったが、タッチパネルでの直感操作を基本としたスマートフォンの登場に、世界中が熱狂した。

iOS 2.x iPhone日本上陸(2008年)

2008年、iOS 2.0とともにiPhone 3Gが登場。初代iPhoneは日本未対応の通信方式であったが、iPhone3Gからその名のとおり3G対応となったため、日本でもiPhoneが発売。App Storeのオープンも、このバージョン2.0から。GPS機能が使えるようになり、Googleマップでストリートビューも見られるように。同年9月、ライバルとなるAndroidフォンの最初の端末「T-Mobile G1」が発売された。

iOS 3.x コピペ機能搭載(2009年)

今では当たり前のコピー&ペーストができるようになったのは、2009年に登場したこの3.0から。Bluetoothに対応し、ワイヤレスヘッドホンで音楽を楽しめるようにもなった。2010年4月には、iPadがアメリカで発売され、一大センセーションを巻き起こした。このiPad専用のiOSとなったのがバージョン3.2だった。

iOS 4.x 正式名称がiOSに(2010年)

2010年6月リリースの4.0から、同時に複数のアプリを動かすことができるマルチタスクに対応。同時期にiPhone 4も発売され、「iBooks」「AirPrint」「AirPlay」「iPhoneを探す」などの機能も搭載。3.xまでは「iPhone OS」と言われていたが、このバージョンから「iOS」という名前に変更。

iOS 5.x Siri誕生(2011年)

2011年10月に登場した5.0では、200以上の新機能が搭載されて大きな話題に。特に「Siri」の誕生に大きな注目が集まった。ほかにも、「通知センター」やiCloudとの連携、「iMessage」の登場、ロック画面からすぐにカメラアプリが使えるようになるなど、たくさんの便利機能がこのバージョンで誕生した。同年3月に発生した東日本大震災の教訓により、緊急地震速報にも対応したバージョン。

iOS 6.x Mapsアプリが話題に(2012年)

2012年に登場した6.0では、Googleマップに加えて、アップル社開発の「Maps」が地図アプリとして新たに登場。携帯電話ネットワークを使って「FaceTime」で会話ができるようになったのもこのバージョンから。Siriも音声でアプリを起動できるなど進化し、同年、iPhone 5が発売となった。

iOS 7.x UIの大変革(2013年)

2013年にリリースされた7.0と7.1で、UI(ユーザーインターフェース)がフラットでクールなデザインに大幅に変更された。なお、この仕様は現在(2019年3月現在)の12.xまで引き継がれている。このバージョンから自動車と連携する「CarPlay」機能が利用できるようになった。

iOS 8.x Apple Musicスタート(2014年)

2014年登場の8.0からのアップデートで、「Apple Pay」「iCloudフォトライブラリ」「Apple Music」など今ではおなじみの機能を搭載。同年、iPhone 6とiPhone 6 Plusが発売される。2015年のバージョン8.2では、新しく登場したApple Watchをサポートするアプリが登場した。

iOS 9.x 3D Touch登場(2015年)

2015年9月にリリースされた9.0では、iPhone 6sに搭載された「3D Touch」に対応。カメラ機能の「Live Photos」やディスプレイ機能の「Night Shift」が登場したのもこのバージョン。「Maps」から公共交通機関情報を得ることができるようにもなり、とても便利になった。

iOS 10.x 日本でもApple Payが利用可能に(2016年)

2016年リリースの10.0は、いろいろなアプリで多くの進化が見られた。たとえば、「写真」には深層学習(ディープラーニング)による顔認識機能が搭載され、新しいiPhone 7 Plus向けには「ポートレート」機能が登場。また、それまではアメリカなどでしか使えなかった「Apple Pay」が、iPhone 7とiPhone 7 Plusに限って日本でも利用できるようになり、大きな話題を集めた。

iOS 11.x カメラ機能の強化とアニ文字生誕(2017年)

11.0ではiPhone 7、iPhone 8、iPhone Xに対応して多くの機能が強化された。光学手ぶれ補正、HDR対応、True Toneフラッシュなど、カメラの機能が進化。また、独自の画像方式であるHEIFフォーマットにも対応して、写真容量の節約に貢献。「App Store」もデザインを一新し、アプリがより見つけやすくなった。「アニ文字」が搭載されたのもこのバージョンから。

iOS 12.x 最新iOS(2018年)

2018年にリリースされた最新のiOSが、このバージョン12.x。「ミー文字」や「グループFaceTime」、「Siriショートカット」などの新機能を搭載。さらに、拡張現実機能を用いた「計測」アプリが登場。全体のパフォーマンスも大幅に向上、カメラの起動は70%も高速化された。

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今後の進化から目が離せない

駆け足で振り返ってきたが、タッチ操作のスマートフォンを普及した基本ソフトとして、iPhoneとともに私たちの生活に大きな影響を与えてきたiOS。スティーブ・ジョブズによって、子どもからお年寄りまで、だれもが直観的に理解して、簡単に操作できるようにと開発されたiOSが、これからどんな進化を続けていくのか。これからも目が離せない。

文:太田 穣