2019/02/22

“かざして通信”の『NFC』規格とは? FeliCaとの違いやスマホでできることを解説

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「NFC」という規格をご存知だろうか。NFCとは「近距離無線通信規格」のひとつで、搭載されている機器同士を近づけるだけで通信できる技術だ。今回は「NFCとはなにか」に加え、スマホに搭載されることでできる機能や使い方、同一視されがちな「FeliCa」との違いについて解説する。

NFCとは? なにができる?

まずはNFCの概要を説明する。NFCとは「Near Field Communication」の略語で、ソニーとフィリップスが共同で開発。冒頭に書いた通り「近距離無線通信規格」のひとつだ。文字通り、数センチ程度の近距離へとかざすだけで、専用リーダーを搭載したさまざまな機器との無線通信ができる。おサイフケータイはNFCの代表的な導入例で、そのほか、SuicaやEdyといった電子マネー決済にも、NFCの技術が用いられている

スマホでNFCを利用した決済

また、決済だけでなく「認証」もNFCの得意分野だ。たとえば、これまではWi-Fiルーターにスマホを接続する際、複雑なIDやパスワードを一文字ずつ入力する必要があったが、NFCに対応している機器同士なら、互いのロゴマークを近づけるだけで認証できる

文字だけでなく、NFCでは写真や連絡先などのデータのやり取りも可能だ。たとえば、Androidスマホ同士で通信できる「Android Beam(アンドロイドビーム)」がある。これはiPhoneでいうAirDropや、ケータイでいう赤外線通信のように、端末から端末へと無線でデータを送る機能。お気に入りの写真はもちろんのこと、連絡先やWebページのURLなども共有できるため、多くの場面で重宝する。

ちなみにAndroid Beamは、NFCによって転送先のデバイスを認証し、Bluetoothを使ってデータを送信するもの。対してiPhoneのAirDropは、低消費電力規格であるBluetooth LEにより転送先のデバイスを割り出し、Wi-Fiを使ってデータを送信するもの。動作は同じようでも仕組みは異なる。

FeliCaとの違い

さて、「かざして通信」と聞くと、FeliCaを思い浮かべた人が多いだろう。日本ではSuicaを含むFeliCaの普及率が高く、NFCと同じように「かざして通信できる」ことから、NFCとFeliCaは混同されやすい。

NFCは通信方式そのものを指すが、FeliCaはNFCをベースにソニーが独自開発したICカード技術を指す。つまり、NFCのなかの規格のひとつがFeliCaということになる。

NFC規格

そもそもNFCのなかには「Type-A」や「Type-B」など複数の規格があり、ソニーは「Type-F」を開発。その「Type-F」にICカード向けに最適化されたデータ管理やセキュリティ機能を盛り込んだものがFeliCaだ。

それまでのNFCの通信速度は424kbpsだったが、FeliCaはほぼ2倍にあたる847kbps。より高速に処理できることから、日本では交通系ICカードなどを中心に普及していった。

iPhoneでできること

では、実際にNFCを搭載したスマホでどんなことができるのだろうか。まずはiPhoneだが、「Apple Pay」を利用できる

Apple Payは、iPhoneやApple Watchなどのデバイスをかざすことで、お手軽に決済できるサービスだ。使い方も簡単で、クレジットカードなどの支払い方法をあらかじめ登録しておくだけ。Quick Payやau WALLETのような電子マネーはもちろんのこと、モバイルSuicaと連携させて交通機関を利用することもできる。

iPhone Apple Pay Suica

今まで持ち歩いていたカードを一括管理できるだけではない。クレジットカードでの支払い時に手間のかかるサイン、暗証番号などの入力も省略され、スマートになる。iPhoneならTouch IDやFace ID、Apple Watchならサイドボタンを2回押すだけで決済完了。一度慣れたらやめられない便利さだ。

Androidスマホでできること

一方のAndroidスマホだが、NFCでできることは大きく分けて2つある。

1.支払い
まずは「おサイフケータイ」を利用できる。ご存知の通り、スマホを専用のカードリーダーにかざすだけで決済できるサービスだ。クレジットカードや電子マネー、定期券、さらにはクーポンや会員証など、お財布に入るあらゆるものと連携できる。端末にはFeliCaチップ(ICチップ)が埋め込まれており、これにより各種支払いを行えるようになっている。

2.スマホ同士でデータのやり取り
もうひとつは、データの共有。先ほど少し触れた「Android Beam」機能を使って、Androidスマホ同士を近づけることで画像や連絡先、Webサイトなどのデータをやりとりできる。NFCを起点としてBluetoothによってデータが送受信される仕組みだ。

大きなデータでもその場でサクッと送信でき、モバイルデータ通信量を消費しないので外出先などWi-Fiのないところでも重宝する。旅先で撮影した写真を仲間同士でシェアするときなどにも便利だ。

やり方も簡単で、まずは双方のNFC設定をオンにする。写真やWebサイトなど共有したいコンテンツを開き、共有ボタンをタップして出るメニューから「Androidビーム」を選択。

Android ビーム
Android ビーム

Androidスマホ同士を背中合わせに近づけるだけでデータ転送が完了する。

AQUOS sense2でAndroidビーム

ただし、一部のスマホでは、端末の特定の箇所を接触させないといけないケースもある。上記の手順で反応しなかった場合は、確認してみてほしい。

NFCの未来は? 暮らしを劇的に変える可能性も

そんなNFCだが、今後は決済以外のシーンでも目にすることが増えそうだ。特に認証機能が普及すれば、私たちの暮らしが劇的に変わる可能性もある。たとえば、ホテルのドアの鍵などに導入されれば、利用者はオンラインで宿泊予約し、フロントを経由せずに部屋で直接チェックインする、なんてことも可能かもしれない。

また、現在は世界各地で普及している規格が異なるが、今後はそれらを統合し、国際的な互換性を実現していく方針だという。国境をまたいでも「かざすだけで支払い」ができれば、グローバル化の追い風になりそうだ。そのほか、NFCを搭載したシールタグを開発し、より多くの機器を“電子化”していく狙いもある。

身近な生活のカギを握っているかもしれないNFC。その技術がどのように進歩していくのか、その動向に注目だ。

文:佐藤宇紘

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