2018/08/16

VR、AR、MR、SRに続き最近登場した新しい用語『xR』とは?

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近頃、「xR」という文字を目にすることが増えてきた。「ARとかVRとかの新しいバージョン?」……ではない。

xRとは、「VR」「AR」「MR」などの総称のこと。「x」は未知数を示すもの、つまりxRealityということである。

また、近年では映像や触覚などを使う「SR(代替現実)」といった新しい技術も登場している。

xRという言葉が必要になってきた背景は?

VR、AR、MR、SRというそれぞれの技術は、大きな違いがあるとも言えるし、現実世界と仮想世界の融合の度合いが異なる、同種の体験を提供するものとも考えられる。

これらxRは、現実世界と仮想世界を融合させて新しい体験を提供することが目的である。ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使ったARのアプリケーションに、VRのコンテンツを組み合わせた場合は、ARなのかMRなのか、境界線がだんだんと引きにくくなってきているのだ。

Galaxy Gear VR HMD Galaxy Gear VR ヘッドマウントディスプレイ

というのも、厳密に「VRである」「ARである」といった各論の表現では、新しい体験の提供をうまく表現しにくくなってきたからだ。VR寄りのMRであったり、ARだけれどMRに近かったりといった技術も、「xR」という「さまざまなリアリティ体験」というより広い概念で表現することが、この最先端の技術を表現するうえで、より汎用性が高いというわけだ。

VR、AR、MR、そしてSRの違いとは?

では、あらためてここでxRを構成するVR、AR、MRと、新しい技術であるSRについて解説していこう。

■「VR」(仮想現実)

「VR」は「仮想の世界を現実のように体験できる技術」だ。CG(コンピュータグラフィックス)でつくったり、360°カメラで撮影した全周囲映像を、VR用のヘッドマウントディスプレイを使って体験するというもの。どちらの方面を向いても360°仮想空間という没入感を味わえる。

PlayStation VRやHTC ViveなどのVR機器を筆頭に、ゲームなどのコンテンツとして広まっているほか、スマートフォンをセットして利用できるVRゴーグルも手軽に手に入る。VRで体験できるのは仮想の世界だけ、ということを覚えておこう。

VRイメージ

【VRの主な例】
・PlayStation VRなどを使用したゲーム
VR PARK TOKYOなどのアミューズメント施設
・研修医の実習や患者の心理療法などの医療現場

■「AR」(拡張現実)

「AR」は、現実の世界に仮想の世界を重ねて体験できる技術。スマートフォンやヘッドマウントディスプレイ越しに自分の部屋などの現実世界を見たときに、仮想の世界の「データ」や「画像」などを使って現実を「拡張」する。VRと違って、現実世界の映像があり、その上に仮想世界の情報が重なるイメージだ。

たとえばイケアが提供するアプリ「IKEA Place」では、ARによって部屋の映像の上に家具の映像を重ねて購入前に配置やイメージを確認できる。

【ARの主な例】
・「Pokémon GO」や「スノー」、「IKEA Place」などのスマートフォン用アプリ
・保守や点検などにおいて、ヘッドマウントディスプレイに点検箇所に指示や情報を示すことでミスを軽減するような産業利用

■「MR」(複合現実)

「MR」は、「コンピューター上の仮想の世界と現実の世界を密接に融合させる」もの。ARは現実世界の上に仮想世界の情報を表示させて現実を「拡張する」方向の体験だが、MRでは現実の世界と仮想の世界がもっと「複合」していく。現実世界の中に仮想世界の3Dデータを浮かび上がらせたり、逆にVRのような仮想世界の中から現実世界をのぞいたり、さまざまな形の融合の仕方が考えられる。

現在、MRを体感できるツールとしては、マイクロソフトが提供するMicrosoft HoloLensというシステムがある。コンピューターやクラウド上にあるモノのデータを現実空間の中に3D表示させれば、恐竜が目の前を歩いている様子を見たり、これからできる製品や建造物をリアルに自由な方向から見たりすることができるのだ。遠隔地で3D情報を共有して見ながら、共同開発などの作業をすることもでき、教育分野や産業分野での利用が始まったところだ。

MR事例 小柳建設 プロジェクト『Holostruction(ホロストラクション)』 MR事例 小柳建設 プロジェクト『Holostruction(ホロストラクション)』

【MRの主な例】
・MRアプリで美術展鑑賞などのエンターテインメント利用
・建設業の計画・工事・検査の効率化(小柳建設のプロジェクト『Holostruction(ホロストラクション)』)
・製品や建物などをつくる前にデータを3Dで実寸表示させ、事前検証を低コストでスムーズに行う

■「SR」(代替現実)

さらに、新しい現実の拡張方法として「SR」(代替現実)という技術も登場している。「SR」は、仮想世界を現実の世界に置き換えて認識させてしまう技術だ。

2012年に日本の理化学研究所が開発したSRシステムでは、ヘッドマウントディスプレイを通して見る現実世界の映像を、過去の映像に置き換え、被験者のヘッドマウントディスプレイに映る情報を、現在の360°映像から過去の360°映像にすり替えることで、今の現実のように体験させることに成功した。

SRでは、視覚や聴覚だけでなく触覚なども組み合わせて使うことで、仮想世界をより現実世界のことのように体験させることもできる。SRが実用化されたら、ゲームの世界にいるのか、現実世界にいるのか、ヘッドマウントディスプレイを外すまで判断できないようなSF的な世界を体験できそうだ。

xRの現在と未来は?

xRは、こうした「多様な新しい現実」を総称し、新しい現実体験をまとめて表現できるものを指すのだ。仮想世界と現実世界を重ね合わせ、融合させるための技術や概念が進化したからこそ、個別の技術ではなくこれらを総称する「xR」が注目されるようになってきた。

たとえば、KDDIはバーチャルキャラクターとxR技術を活用し、人とバーチャルキャラクターが双方向にコミュニケーションできる世界の実現を目指している。その一例として、KDDIがクリプトン・フューチャー・メディアと共同して開発を推進してきたARアプリ「ミク☆さんぽ」の進化がある。

ミク☆さんぽ 画像提供:3D model by つみだんご © CFM

既存のAR表現に加えて、周囲の物体や音声など現実世界の状況を認識・理解してバーチャルキャラクターが行動するAIを独自開発し、より自然なキャラクターとのコミュニケーションを実現する。これは、次世代移動通信システム5G時代のコミュニケーション体験のトライアルでもある。

5G時代に向けて、エンターテイメントから産業分野まで、広い概念のxRが私たちの現実体験を変化させていくことは間違いないだろう。

文:岩元直久

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