2017/10/02

まるでタケコプター! 1枚の羽根で滑空し、空中で停止できる『THOR』がすごい理由

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近年よく見かけるクワッド式などのマルチロータータイプ(3つ以上のプロペラを搭載して飛行するタイプ)のドローンは、安定して長距離や重い荷物を運ぶのに向いているものの俊敏性に欠け、一方、グライダーのような固定翼タイプは俊敏性はあるものの、クルージングやホバリングするのには向かない。そうした、それぞれのタイプのドローンが抱える課題を解決するドローンが開発されている。

THOR 写真提供:© Singapore University of Technology and Design (SUTD)

ホバリングかと思えばグライダーのように空中を滑空!

THOR(Transformable HOvering Rotorcraft)」と名付けられたこのドローンは、1つのモーターでホバリングとクルージングモードの両方を行える高度な飛行システムを備えている。一枚羽根のシンプルなデザインをしていて、正確にはハイブリッドVTOL(垂直離着陸機)に分類される。開発しているのはシンガポールのデザイン工科大学である「SUTD(Singapore University of Technology and Design)」で、IEEE(アメリカに本部を持つ電気工学・電子工学技術の学会)が主催するロボット技術のカンファレンスで発表され、注目を集めた。

THORの飛び方はとてもユニークで、空中で静止するホバリングモードでは、まるでバレリーナのようにクルクルと本体と羽根を一緒に回転させて飛ぶのだが、クルージングモードに切り替えるとぴたりと羽根の動きを静止させ、グライダーのように空中を飛行する。空中で飛びながら両モードを切り替えることもできるようだ。

THOR 写真提供:© Singapore University of Technology and Design (SUTD)

安定した飛行には緻密な開発の背景が

もちろん開発はそう簡単ではなく、それぞれのモードでフラフラさせずに機体の姿勢を保つようにするのが難しかったという。ポイントはプロペラの角度を維持してコントロールするためのドライブメカニズムで、非常に高度な計算モデルによって実現されている。バランスを取るためのジャイロ機能の設計や、機体を維持するトルクを出せるモーターの開発も重要なポイントだ。繰り返しテストを行い、データを元に改良を重ねた結果、一枚羽根で複数の飛行モードを備えたユニークなドローンの完成にたどり着いた。

THORの設計図 写真提供:© Singapore University of Technology and Design (SUTD)
THORの設計図 写真提供:© Singapore University of Technology and Design (SUTD)

今後も実用化に向けて開発を進めるが、デザインを簡素化でき、自由度が高いのも大きなポイントだという。従来のドローンとは異なるアクロバティックな飛ばし方ができるので、それだけでも楽しめそうだが、今後の開発研究によっては、観測やパトロール、救命救急など、さまざまな用途に応用できると期待されている。

THOR 写真提供:© Singapore University of Technology and Design (SUTD)

文:野々下裕子

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