TS World部

2017/02/17

太陽電池リボンに体の水分がわかるシール? 注目の新技術&素材はこれ!

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科学技術は我々の知らないところで確実に進歩していて、鉄のように強い紙や、透けて見えるアルミ材など、SFや映画の世界に登場する夢のような技術や、それらの元になる新素材が次々と登場している。今回は、一見地味でありながらも、世界を変える可能性を持った注目の新技術&素材をいくつか紹介しよう。

応用は多種多様! 超精密な金属加工技術「wire EDM」

写真提供:Reliable EDM

金属で複雑な金型やエンジンを作れるEDM(放電加工)の分野では、カットした隙間がまったく見えなくなるほど緻密に切断する「wire EDM」という脅威の技術がテキサスで開発されている。厚さ300mmのスチールを0.0001インチ以内の隙間でカットするというもので、切り出した立体物を元に戻すと、継ぎ目がまったく見えなくなってしまうことから、これまで金属を使うのが難しかった場所でも使えるようになると期待を集めている。

例としては、まったくなにもないスチールの壁からロゴが浮き出すようなモチーフや、ジュエリーのような身近なものから、航空機や自動車などでまったく新しい形状のエンジンを作り出したり、あるいは変形するロボットや建物など幅広く応用できるという。加工に必要とされるのは電気と水と黄銅線(真鍮に近い素材)を使うだけだが、もちろんそこには特殊なノウハウが隠されている。これまで、特殊加工は日本の町工場のお家芸とされてきたが、海外でも新しい技術が登場しており、両者の切磋琢磨から製造業を大きく変革させるようなアイデアがこれから生まれるかもしれない。

太陽電池になるスマートリボン「Solar Fabric」

写真提供:University of Central Florida(CC-BY)

便利な新素材として注目されているのが、太陽光を蓄電できる小型の太陽電池をリボン状にして布に織り込む「Solar Fabric」だ。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」からアイデアを得たという技術は、既存の太陽電池がシリコンでできているのに対し、ペロブスカイトと呼ばれる、室温でシリコンの約半分のコストで実現できる結晶材料を使用しており、より柔軟で効率的な電気変換が可能になる。これまでにもバッテリーを持ち歩けるジャケットやベストは登場していたが、さらに薄いシャツぐらいの軽装でも太陽電池の機能を織り込めるようになる。

スマートフォンを充電するには既存のモバイルバッテリーのほうが効率はよさそうだが、たとえば、シャツなどにSolar Fabricを使い、心拍や血圧などの生体情報を長時間計測するウエアラブルデバイスのバッテリーとして組み合わせて使うといったことができる。あるいは、アウトドアウエアや救急隊員の制服に織り込んでおけば、万が一の場合に電気を使って信号を発信したり、体を暖めたりするのに使える。

現時点では、蓄電する時に熱を発生してしまうという課題が残っているが、それらの解決とあわせて、蓄電できる容量を現在の倍にする研究開発が進められており、実用化はそう遠くなさそうだ。

写真提供:University of Central Florida(CC-BY)

体の水分が量れるボディシール「flexible stick-on patch」

同じくウエアラブルで使うのに便利そうなのが、「flexible stick-on patch」だ。肌に貼るだけで体内の水分量がひと目でわかる"スエットモニター"で、血糖値や発汗速度も合わせて測定できる仕組みになっている。開発したイリノイ大学のUrbana-Champaign校研究所によると、前腕や腰に貼るだけで簡単に測定ができ、バッテリーも使わないうえに、ウォータープルーフという、まさしくスポーツ中に使うのにぴったりな機能を備えている。

仕組みは、シールの中にある小さな毛細管を経由して体から出る汗を吸収し、4つの円にある酵素を使って汗に含まれる塩分や濃度などの成分を計測。それぞれの状態によって色が変わる仕組みになっている。さらに、スマートフォンのカメラでシールを撮影して成分を評価できるアプリも開発されているそうで、体の状態を記録しておくこともできる。シールは6時間連続して利用でき、使い捨てできる価格で提供しようと現在開発が進められているところだ。

写真提供: J. Rogers, Northwestern University
写真提供: J. Rogers, Northwestern University

今回取り上げた新素材や技術開発の背景には、ナノテクノロジーやバイオテクノロジー、そしてマシンラーニングの急速な進化が影響しているとされている。特に新素材開発の研究は世界中でビジネスチャンスを狙って競争が激化していることもあり、これからも驚くような形で生活のなかに登場しそうだ。

文:野々下裕子

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