2016/10/07

【世界のドローン38】ギネスも認定! 100台のドローンがオーケストラにあわせて光のアートを描く『Drone 100』

写真提供:Ars Electronica(撮影:Robert Bauernhansl)CC-BY-ND-NC
写真提供:Ars Electronica(撮影:Gregor Hartl Photography)CC-BY-ND-NC

毎年9月にオーストリアのリンツで開催されるメディアアートの国際イベント「アルスエレクトロニカ」では、ここ数年、ロボットやAi、VRなど最先端の技術を用いたアート作品が多数展示され、世界から注目を集めている。なかでも今回話題になったのが、LEDライトを搭載した100台のドローンをドナウ川の上へ一斉に飛ばし、オーケストラに合わせて様々な光のアートを空中に描くプロジェクト「Drone 100」だ。

複数の色を自在に発光できるLEDを搭載したクワッドローター式のドローンを、音楽と完全に同期させながら正確な位置に飛ばし、空中にドット絵を描くことでアートパフォーマンスを行うというアイデアは、リンツを拠点に最先端のアートとサイエンスのクリエイターが集まるアルスエレクトロニカ・ラボの子会社である「SPAXELS」が考案したもの。ドローンの開発から企画、制作、運用までのすべてをSPAXELSが取り仕切っている。

初めて披露されたのは2012年の「クラングヴォルケ」で、リンツを流れる広大なドナウ川の上で開催される音楽の祭典では、50台のドローンが音楽にあわせて光のアートを描き出した。その後、ロンドン、ベルリン、ドバイなど様々な都市で披露され、回を重ねるごとにドローンの動きや光のバリエーション、台数を増やし、2015年末にドイツのハンブルグで100台のドローンを一斉に飛行させるというギネス記録に挑戦し、見事に成功させている。

イベントが行われたアルスエレクトロニカの会場ではSPAXELSのこれまでのプロジェクトが紹介されていた

アルスエレクトロニカでの「Drone 100」はさらにプログラミングを進化させ、オーケストラの生演奏に合わせて巨大なアートや図形、文字を正確に空へ描き出すことに成功した。その演出は見事なものであった。まず、夕暮れ時の会場にドイツ語でカウントダウンが始まり、ゼロの合図と共に対岸から100台のクワッド式ドローンが一斉に飛び立ち、ゆっくりと光の点がUFOかのごとく集まってくる。ドローンが放つ独特のうなるようなモーター音が川面に反射し、それをかき消すようにオーケストラの音楽が奏でられ、光の点はそれに合わせて位置や色を変えながら次々と空中で変化していくという約8分間のパフォーマンスは、会場に集まった10万人以上の観客を見事に魅了していた。

写真提供:Ars Electronica(撮影:Martin Hieslmair)CC-BY-ND-NC
写真提供:Ars Electronica(撮影:Florian Voggeneder)CC-BY-ND-NC

プロジェクトがどのように進められていったか紹介するメイキング動画が公開されており、会場の雰囲気をつかむことができる。

「Drone 100」はこれからも世界中のイベントでパフォーマンスを行う予定で、要望に合わせた演出も可能とのこと。リクエストは公式サイトから受け付けている。

文:野々下裕子