2016/07/08

旅行中の駐車代は、クルマが自分で稼ぎます! 『車両クラウド』の研究とは

駐車場 ©davidmariuz - Fotolia.com

洋の東西を問わず、空港の駐車場には多くのクルマが停められている。日帰り旅行ならば別だが、通常は数日間、クルマは放置され、駐車場の1区画を占拠したまま再び動かされるのを待っている。そのあいだ、ずっと駐車料金はかかり続ける。

一方で、最近のクルマにはコンピュータが搭載されている。ストレージの容量も大きいし、コネクテッド・カーの普及で、通信キャリアのセルラー網にもつながる。こうしたリソースが、運転者の帰還を待つあいだ、エンジンを切られ、電源が切られた状態でなにもしないのはもったいない。

そう考えたオールド・ドミニオン大学(バージニア州)の研究者らは、駐車場のコンピューティング・リソースをデータセンターとして活用しようと考えている。車両クラウド(vehicular cloud)というビジョンだ。

車両クラウドでは、各車両はバーチャルマシンとして動作し、今、なんのタスクをこなしているのか、なにをする余力があるのかなどを、コントロールセンターに伝えることで動作する。旅行中、駐車料金を支払って駐車場に置いているだけのマイカーが、車両クラウドとして働くことで、お金を稼いでくれるマシンに変身するなら、自分も参加したいーーそう考える人は一定数いるのではないだろうか?

実現化への課題とは?

駐車場 ©davidmariuz - Fotolia.com

車両クラウド実現にはいくつかの課題がある。まずひとつは電源だ。さすがに、走行時のように車載バッテリーを使うためにアイドリングを続けるわけにはいかないので、車両クラウドに参加するクルマは、駐車場に設置されたコンセントから電源を取る。

次の課題はタスク管理。参加しているクルマは駐車場からいつ出ていってしまうか予測ができないから、1つのタスクは複数台のクルマで行うことで冗長化する。つまり、2台の構成では、2台が同じタスクと並行して行い、どちらかが途中で抜けてしまったら、3台目を新たにアサインして、抜けるクルマのタスクを引き継ぐ。3台の構成では、1台抜けたら1台、2台抜けたら2台補充して、常に3台が動くようにする。当然ながら3台の構成の方が信頼性は高くなる。

3つめの課題は車両管理だ。参加するクルマは、「駐車場に入った」こと、つまりクラウドの一部になれる状態になりつつあることと、「駐車場を離れようとしている」こと、つまり、クラウドの構成要素から外れつつあることを全体システムに知らせなければタイムリーな運用はできない。でも、駐車場には24時間、多くのクルマが停まっているので、車両クラウドも24時間運用が可能となるはずだ。

車両クラウドの仕組み

もうひとつ、ネットワークのデータ通信量の課題があるが、近い将来、実用化される5Gの高速・大容量なネットワークであれば解決できるだろう。

空港以外にもショッピングモールやスポーツ・スタジアム、アミューズメント・パークなどにも大規模な駐車場はあるが、駐車しているクルマの多くはその日のうちに出ていってしまうし、夜間などにはガラガラになってしまう。車両クラウド実現には、数日駐車する空港のロング・ターム・パーキングがうってつけのようだ。

文:信國謙司

この記事の評価をお願いします

ご回答ありがとうございました。
よろしければ評価の理由を教えてください。

※300文字以内でご入力下さい。
※ご入力いただいた内容については今後の改善に利用させていただきます。
※返信は行っておりませんので、個人情報のご入力はご遠慮下さい。

最新情報はこちらでもチェック

  • メール
  • LINE
  • twitter
  • facebook