2016/03/14

『バイオミミクリー』(生物模倣)はここまで進化していた! 驚きの虫型ロボット

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提供:Harvard Microrobotics Lab

鳥や動物など、生物をモデルにしたロボットの開発が進んでいるが、いよいよ小さな虫をモデルにしたロボットの開発が実用レベルに近づいている。まるで羽虫のような形をした「RoboBee」は、小さな透明な羽で空を飛ぶだけでなく、水中も泳げる優れた機能を持った自律型ロボットである。

提供:Harvard Microrobotics Lab

バイオミミクリー(生物模倣)によるロボットのなかでも、もっともシンプルで機能的な虫型ロボットの開発がハーバード大学で始まったのは、20年前のこと。2013年にはハチのように空を飛ぶ小さなロボットのアイデアが発表され、ニュースでも話題になった。

だが、実際に飛び回れるほどの機能が実現できるのかは、疑問が持たれていた。というのも、ロボットを動かすにはそれなりのバッテリーとモーターが必要で、虫のサイズまで小さくできるとは予想されていなかったからだ。

それから2年。大学研究者たちは驚くほど早く技術を進化させ、さらに水中を泳ぐという機能までも実現させてしまった。羽のように見える部分を、1秒間に120回羽ばたかせて空を飛び、水中に飛び込んだあとも同じように羽を動かしてゆっくりと水面に浮かび上がり、再び空中へと飛び立つことができるという。発表されたデモ映像では本体に極細のケーブルが付いているが、無線での実験にも成功しているという。

最近になって公開された設計図によれば、本体の部分に"頭脳"があり、とても小さなアクチュエーターを使って、入力したエネルギーを回転運動に変えることで空を飛ぶようになっている。光学、UVセンサーを備え、頭には触覚のようなアンテナがある。羽は本物の虫そっくりに軽く作られており、空中で停止し続けるホバリングができるほどの揚力を備える。動力の供給方法や連続飛行時間等の詳細は紹介されていないが、高額の開発費が投資されており、センサーの開発等でほかの研究機関からの協力も集まっている。

提供:Harvard Microrobotics Lab

「RoboBee」の面白いところは、複数を連携して動かせる点だ。それこそ、まるで生きた虫のように編隊を組んで動かすということまでできるという。将来的には、ロボット自身がセンサーなどの機能を使って周囲の状況を判断し、天気や場所に合わせて最適な動きができるようにまで成長するという。いわば世界最小のドローンが実現しようとしているのだ。

「RoboBee」はいろいろな活用方法が考えられるが、ハーバード大学では、本物の虫に近い動きができる特性に注目し、植物の受粉に使う研究を進めている。というのも、ここ数年間、原因不明の理由でハチの数が大幅に減り、ハチミツ農家をはじめとした農作物市場が大打撃を受けているからだ。「RoboBee」を使えば、科学肥料や品質改良に頼ることなく、従来の育成方法そのままで、安定した農作物の収穫が見込めるようになる。

さらに研究が進めば、害虫の駆除やロボットを使った新しい栽培方法が開発されるようになるかもしれない。生態系とのバランスを保ちながらどう安全に開発を進めていくか、今後の開発に大きな期待が寄せられている。

文:野々下裕子

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