2017/08/16

「熱さを可視化」する、スマホ用サーモグラフィーカメラを使ってみた

灼熱の季節がやってきた。・・・・・・今年はことさらにヤバい暑さだ。

外はむわっとした熱気でいっぱいで、アスファルトや外に駐車したクルマはまるで鉄板のよう。たとえ部屋の中だとしても、子どもやペットが心配になってくる。そんな「熱さ」をスマートフォンで可視化できるデバイスが存在する。

それが「FLIR ONE(フリアー ワン)」(フリアーシステムズ)だ。

写真提供:FLIR Systems

FLIR ONE」は、スマートフォンに装着して使える赤外線サーモグラフィーカメラ専用のアプリと連携させることで、スマホから熱が「見える」ようになるというもの。

iPhoneであればLightningアダプターで装着、AndroidであればmicroUSBに対応している。業務用の専門機器というイメージが強いサーモグラフィーが、スマホと連携するといった使い方で一般ユーザーも手軽に使えるようになったというわけだ。

写真提供:FLIR Systems

使い方は簡単で、専用アプリ「FLIR ONE」(無料)を起動して撮影する。Lepton™カメラという特殊なカメラで読み込んだ長波赤外線情報と、あわせて搭載されている標準カメラから撮影された通常の写真とを組み合わせることにより、従来の業務用サーモグラフィーより鮮明な赤外線画像を撮ることが可能となっているという。

このダブルカメラ構造によって、これまでは触れるまでわからなかった「温度」という情報をスマホ画面で確認できるようになったというわけだ。可視化可能温度は-20℃~120℃。

実際に使ってみた

本体をスマートフォンのジャックに接続し、本体の電源を入れるだけで準備完了。本体も数センチなので、それほどかさばらない印象。
※本体にバッテリーが内臓されているので、事前に充電が必要

まずはラーメンで試してみた。白に近いオレンジ色になっているところが高温で、紫のところが低温。スープ全体は高温に、セットの丼モノやあとのせのチャーシューは低めの温度となっているのがわかる。

次に、ペットの犬を撮影。まずは身体全体をチェック。室内でクーラーをかけていても、身体は熱くなっている様子。実際に抱きかかえてみて、お腹側が熱いのに対し、目のあたりの温度が低いことを確認できた。

続いて犬の散歩がてら、外に出てみる。横断歩道を撮影してみると、白線部分は温度が低いのに対し黒色のアスファルトが高温になっている。

犬が白線の上を歩くのは、なるほどそういうことだったのか、と納得。

住宅街を進むと、道の端っこ部分の方が中心部よりも低い温度になっている。これは雨や水などが流れた結果、その部分にたまり、放射冷却が起きていると考えられる。

犬が道の真ん中よりも端を歩くのが好きな理由は、道の端っこに虫や食べ物などが落ちていて、犬の興味を引くものが多いからと思っていたが、もしかしたらそれは副次的理由だったのかもしれない。

最後に公園に行ってみた。石畳は夏の日差しで干上がったように高温だが、砂地の温度が圧倒的に低い。

こうした違いは、靴を履いている人間は体感することは難しいが、素足で歩く犬には積極的に砂地を歩かせたいと思った。

遊具も見てみる。鉄の部分が熱くなっているのがわかる。

金属でできた遊具は太陽光で熱くなりやすく、曇りの日でもこれだけ熱を帯びているのだから、夏の炎天下では小さな子どもなら火傷のおそれもあるだろう。

「熱が見える」ことで、今まで気付かなかったペットの行動や、新たな視点での世界が見えてくる。個人的には犬の散歩の時間帯やコースを考え直すきっかけになっただけでも収穫だ。

ほかにも使い方は色々

部屋の中なら、家電機器から発生している熱をFLIR ONEでチェックして、もし大きな熱源になっているようであれば夏のあいだは使用を控えたり、扇風機を向けて熱を分散させれば省エネにもつながるだろう。AVアンプやPC、据え置きゲーム機は要チェックだ。

ほかにも、たとえばキャンプの際にテントの外に野生動物や不審者がいないか確認できるし、「熱が見える」ことを利用した深夜のサバゲ―に利用してもおもしろそうだ。

写真提供:FLIR Systems

価格は輸入代理店や販売サイトによって幅があるが、公式販売サイトでは249.99ドル(約27,500円)で販売している。スマホをかざすだけで温度の見える「FLIR ONE」は、子どもやペットの安全、レジャー、省エネなど、生活のさまざまな場面で役に立ちそうだ。この夏に導入を検討してみてはいかがだろうか。

文:ごぼうだうし