Wi-Fiが使えるスマホやタブレット端末、PCなら誰でも自由に無料で利用できる、Wi-Fi(無線LAN)によるインターネット接続サービス。契約しているデータ容量がそろそろいっぱいになりそうなときや、電波が不安定なときに助けられた経験がある人も多いだろう。
一方で「うまくスマホとつながらない」「いつもは大丈夫なのに今日はなぜか速度が遅い」といった声も耳にする。またセキュリティリスクも高く、個人情報やクレジットカード情報の漏洩、ウイルス感染なども心配だ。
そこで今回はフリーWi-Fiの利用方法や注意点など、上手な活用方法を紹介していく。

Wi-Fi接続方法を復習してみよう
Wi-Fiに接続するには、まずは端末のWi-Fi設定がONになっていることを確認しよう。機内モードにした場合でも、Wi-FiだけはONにできるので、iPhoneならコントロールセンターから設定をチェックしてほしい。左上のWi-Fiマークをタップするとオン・オフの切り替えができる。

Androidの場合は機種によって異なるが、Galaxy S8 SCV36の場合、ホーム画面をいちばん上から下へスワイプすると表示される「クイック設定パネル」から確認できる。左上のWi-Fiマークをタップするとオン・オフの切り替えができる。

Wi-Fi設定をONにすると、接続できるWi-Fiの電波を自動的に検索するが、公共の空間やカフェで提供しているWi-Fi接続サービスがすべて無料とは限らない。なかには有料で事前に契約が必要なものもある。「Wi-Fi OK!」などの案内表示に、注意書きがないか確認しておこう。
また、間違いなく「フリーWi-Fi」なのに接続できないときは、なんらかの登録・入力作業が必要な場合が多い。よくあるケースは以下のようなこと。
①メールアドレスの登録が必要
②SNSアカウントとの連携が必要
③店内でパスワードなどを教えてもらう必要がある
①と②のときは、ブラウザを開こうとすると登録を促すメッセージが表示されるので、まずはブラウザを立ち上げてみよう。③の場合は、カフェならテーブルのメニューやレシートに接続方法が掲載されていることもある。スタッフの人に声をかけてみる前に、周囲を見回してみよう。

速度が遅いときは「5GHz」を試してみよう
つながったフリーWi-Fiが、なぜか速度が遅くて全然ステイタスバーが進まないことはないだろうか。接続している端末の数が多いと速度は低下するし、Wi-Fiにつなぐことすらできないこともある。
周囲に人がいなくなるまで待つなどと悠長な時間を過ごすのは難しいので、ここであらためて端末のWi-Fiネットワーク名(SSID)の表示を見てみよう。もしかすると、フリーWi-Fiのネットワーク名の末尾に、たとえば「timespace-a」と「timespace-g」というふうに「-a」と「-g」がついた2種類があったりしないだろうか。もし、あったならラッキーだ。この場合、「-a」が5GHzの周波数を、「-g」が2.4GHzの周波数を使っていることを表している。
実はWi-Fiでは2.4GHz帯(規格名はIEEE802.11b/g/n)と、5GHz帯(規格名はIEEE802.11a/n/ac)の2つの周波数帯が使われている。5GHzのほうが通信は高速だ。だから2種類のネットワークがあったなら、末尾に「-a」がついている5GHzの周波数のものを選択するほうが通信は速くなる。とはいえ、ネットワーク名から何GHzなのかわからないこともあるし、いまだ古いWi-Fiルーターを使っているサービスだと2.4GHzにしか対応していないことも多い。ただ、最近のWi-Fiルーターはほとんどが5GHzに対応しているので、新しいお店が提供するWi-Fiほど高速ということは言えるだろう。
安全なWi-FiとそうでないWi-Fiの見分け方
接続できても、まだ安心は禁物。そのフリーWi-Fiははたして安全だろうか? 端末のWi-Fiネットワーク名の表示をみてみると、カギマークが付いているものと、付いていないものがある。カギマークが付いていないのは暗号化されていないWi-Fiネットワークということ。


たとえば大手飲食店に入り、Wi-Fiネットワークに接続したらカギマークなしのフリーWi-Fiだったとする。できることならギガ節約のためにカギ無しでも使いたいところだが、はたしてどれほど危険なのだろうか。
暗号化されていないWi-Fiは、悪意あるハッカーにとっては鍵がかかっていない玄関と同じ。通信内容はほぼハッカーに盗み見されていると思っていい。だが、言いかえれば、友だちとのメール交換やwebで調べ物したり、YouTubeでミュージックビデオを楽しむといった、別に盗み見されても平気なものなら心配はない。
また、ブラウザでアクセスした時にURLの欄にカギマークが出ているものは、通信自体が暗号化されるので安全だとは言われている。とはいえ、仕事の大事なメールやデータの送受信はやはり危険だ。そういうセキュリティ面での万全さを求めるなら、暗号化なしのWi-Fiの利用は避けるべきだろう。

ちなみに、Wi-Fiの暗号化は「WEP」と「WPA」に大別できる。WEPは古くから使われている暗号化技術のため、セキュリティレベルが低い。WPAの方が新しく、複雑な暗号化を行っているためセキュリティレベルは高い。
そういった面では、キャリアが提供しているWi-Fiは安心だ。auが提供する「au Wi-Fi SPOT」は、最新鋭の暗号化技術WPA2-PSKを採用。利用にあたっては「au Wi-Fi接続ツール」アプリをインストールして事前に設定が必要だが、これによってau Wi-Fi SPOTをはじめ高セキュリティなWi-Fi環境にだけ接続するようになる。なお、最近では「FFRI安心アプリチェッカー」など、Wi-Fiネットワークのリスクを診断してくれるアプリなどもあるので、インストールするのもいいだろう。
「訪日外国人向けWi-Fi」は日本に住んでいても使える?
ところで、フリーWi-Fiといえば、最近至るところで目にするようになった「訪日外国人向けサービス」。観光やビジネスで日本にやってきた外国人を対象に、無料でインターネット接続サービスを提供している。多くのサービスはApp StoreやGoogle Playでアプリを無料で配布し、事前に個人情報を登録することで利用が可能になる。
気になるのは、日本に住んでいる人でもこうしたサービスを利用できるのかどうかだ。答えは「サービスによって異なる」。訪日外国人向けとアナウンスしているサービスであっても問題なく使えるものもあれば、登録段階でNGが出るものもある。
訪日外国人であるかどうかは、端末や登録情報の内容で判別している場合が多い。参照するのは端末のSIMカード情報や、登録に使用するSNSアカウントの居住地や電話番号情報など。「外国人はWi-Fiが無料なんていいな」と思うところだが、事業者のサービス目的はさまざまだ。
たとえば「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」は利用者から位置情報を取得するのが利用条件となっている。外国人観光客の位置情報を分析し、マーケティングやコンテンツ配信に活用するためだ。なお、この「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」は日本のApp StoreやGoogle Playからは、そもそもダウンロードすらできない。

無料で高速回線が使えるフリーWi-Fiは便利であることに違いないが、リスクがあることを忘れず、状況に応じてスマートに利用していこう。
文:吉田 努
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