2022/12/01

都市のデジタルツインを実現する「GEOTRA Activity Data」とは

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GEOTRA Activity Dataは、単に個人の位置情報を地図上にマッピングした仕組みではありません。その最大の特徴といえるのは、一切の個人情報が扱われず、一人ひとりの人流を導線で表現できる点にあります。

その実現に向けて開発したのが、「ペルソナ(エージェント)」 を仮想的に一人ひとりつくり上げ、Web上で動きを再現する技術(Activity Based Modeling)です。この技術は、「秘匿化」されたKDDI保有の人流データや地図・交通データ、公的データ、POI(Point of Interest : 地図上の特定の地点)データなどの情報を基に、AI(人工知能)/機械学習を使った予測分析によってペルソナをつくり上げ、Web上の都市空間で人流を再現します。この仕組みによってつくり上げられたGEOTRA Activity Dataは、仮想の人物の動きであることから、個人情報保護のコンプライアンス上の問題が発生しないのが大きな特徴です。

統計データとAI/機械学習技術の掛け合わせで、人流を可視化する

GEOTRA Activity Dataは統計情報とAI/機械学習技術のかけ合わせによって生成される合成データです。個人が特定されることはなくプライバシーは完全に守られていますが、現実世界と同一の統計的特徴を有し、そのデータによって、さまざまな属性(年代・性別・勤務エリア・居住エリア、など)を持った生活者一人ひとりの移動履歴、ないしは導線を表現・再現することができます。そのためGEOTRA Activity Dataは、さまざまな切り口から人の移動の傾向をとらえ、可視化することが可能です。

例えば、GEOTRA Activity Dataを使うことで「大手町エリア(丸の内2丁目)」に勤務する人が、主としてどの地域に住んでいるかを即時的に分析して可視化することができます(画面1)。

丸の内2丁目の勤務者の居住地表示(行政区画で表示) 画面1 : 丸の内2丁目の勤務者の居住地表示(行政区画で表示)

また、画面2は徒歩という「移動手段」で日比谷公園周辺から日比谷公園へと向かう人を「時間(18時ごろ)」「性別(女性)」「年代(20代)」によってフィルタをかけた結果です。

日比谷公園の徒歩での来訪者の移動履歴表示(「18時ごろ」/「20代女性」でフィルタをかけた例) 画面2 : 日比谷公園の徒歩での来訪者の移動履歴表示
(「18時ごろ」/「20代女性」でフィルタをかけた例)

ご覧のとおり、18時ごろに銀座から日比谷公園へ徒歩で向かう20代女性が相当数いることがわかります。
これまでは、「20代女性の多くが、18時ごろに徒歩で銀座から日比谷公園に向かっているという事実」を突き止めるには、カメラなどで撮影したデータを画像分析する、カウンターで人数を計測するなど、かなりの労力がかかっていました。GEOTRA Activity Dataを使えば、そうした負荷の高い作業が簡単にこなせるのです。
このような年代・性別などのセグメントに分けた人流の可視化は、さまざまなことに役立てることができます。

都市計画や防災計画に役立つ、人流の予測/シミュレート

GEOTRA Activity Dataは、人の所在や人流の可視化だけではなく、人流の予測/シミュレートも行えます。つまり、建物や道路、公共交通などの変更、変化、あるいは破壊、遮断、まひといった都市で発生しうるさまざまな事象に対して人流がどのように変化するかを予測/シミュレートできるということです。これにより、公官庁や自治体、建設・不動産デベロッパーは、スマートシティづくりなどの都市計画や防災計画の効率化に役立てることができます。

また、鉄道会社はGEOTRA Activity Dataによる分析をダイヤ(列車運行)の最適化に生かせるほか、特定の駅で下車した人が主としてどこに向かうかを可視化し、“駅ナカ”のサイネージを最適化するといったことも可能になります。さらに、小売業や飲食業であれは、出店計画の最適化に活用できます。

今後GEOTRAでは、人流を立体的に可視化できるにすることも視野に入れています。今日のスマートフォンには気圧センサーが装備されており、そのデータから人の上下位置をとらえられる技術の開発(MBS)が進んでいます。そのデータを使いながら、人流を立体的に可視化、シミュレートできないか検討しています。これが実現されれば、ビルや商業施設などでの導線の最適化にもGEOTRA Activity Dataが活用できるようになります。

GEOTRA Activity Dataの開発に終わりはなく、日々進化を続けていくことで新たな可能性を広げているのです。

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