2022/10/03

ドローンが人の役に立つ社会へ 通信を活用した「KDDIスマートドローン」が叶える未来とは

2022年6月21〜23日、日本最大のドローン展示会「ジャパンドローン2022」が千葉県の幕張メッセで開催された。2016年よりモバイル通信ネットワークを活用した「スマートドローン」の開発を進めてきたKDDI、そして同社の100%出資子会社として2022年4月に事業を開始したKDDIスマートドローンは、同展示会に出展し、最新のサービスや技術の展示を行った。

ジャパンドローン2022のKDDIの展示ブース
ジャパンドローン2022のKDDIの展示ブース

KDDIとKDDIスマートドローンは、点検・監視・測量・物流などの幅広い領域におけるサービスや機体を展示したほか、パートナー企業との連携事例やこれまでの実証・導入事例を紹介。来場者の注目を集めていた。

点検・監視・物流など多彩な分野で活躍

モバイル通信ネットワークを活用したKDDIのスマートドローン。実際にどのようなサービスが展開され、どのような分野で活用されているのか。「ジャパンドローン2022」におけるKDDIブースの展示内容とともに紹介しよう。

産業用ドローン「DJI Matrice 300 RTK」 産業用ドローン「DJI Matrice 300 RTK」

まず紹介するのは、最新の航空技術から着想を得て設計された産業用ドローン「DJI Matrice 300 RTK」。高度なAI機能、最大飛行時間55分間、6方向検知&測位技術のほか、安定した飛行性能と優れた空撮機能を備え、風力発電設備の点検などで使用できる。

ドローンによる風力発電設備の自動点検 ドローンによる風力発電設備の自動点検

KDDIのドローン風力点検サービスは、J-POWER(電源開発株式会社)に採用され、2021年度に67基の風力発電設備の点検を受託した。

物流用ドローン「PD6B-Type3」 物流用ドローン「PD6B-Type3」

続いてこちらは、30kgまで搭載可能な物流用ドローン「PD6B-Type3」。2020年8月にスタートした長野県伊那市のドローン配送サービスでも使われている。

長野県伊那市のドローン配送サービス 長野県伊那市のドローン配送サービス
物流用ドローン「AirTruck」 物流用ドローン「AirTruck」

こちらの物流用ドローン「AirTruck」は、独自の重心制御技術の採用により荷物の揺れを抑えつつ安定した飛行を実現。物流業界の人手不足の課題を解消し、最終目的地までのラストワンマイル配送の一翼を担うことを目指す。

自律飛行型ドローン「Skydio 2+」 自律飛行型ドローン「Skydio 2+」

こちらは障害物を自動で回避する自律飛行型ドローン「Skydio 2+」。橋梁の下や室内などGPSが届かない場所でも安全な飛行が行える。

水空合体ドローン 水空合体ドローン

最後に紹介するのは、空を飛ぶ「空中ドローン」に、水中を潜航する「水中ドローン」を搭載した「水空合体ドローン」。遠隔で水中での制御が可能なこのドローンは、船のメンテナンスや海上にある施設の点検・監視を安全に行うことができる。

KDDIの水空合体ドローン
KDDIの水空合体ドローン
KDDIの水空合体ドローン 水空合体ドローンの仕組み

来場者の関心を引いた遠隔制御デモ

今回のKDDIの展示ブースで特に来場者の関心を引いたのが、ドローンの遠隔制御による自律飛行のデモンストレーションだ。モバイル通信ネットワークを用いた運航管理システムにより、会場の幕張メッセの展示ブースから栃木県小山市にあるスマートドローンを遠隔制御し、その様子をリアルタイムで中継した。

ジャパンドローン2022のKDDIブースで行われた遠隔操作デモ
ジャパンドローン2022のKDDIブースで行われた遠隔操作デモ

このデモンストレーションは来場者から高く評価され、KDDIのドローン運航管理システムは「ジャパンドローン2022」における「Best of Japan Drone Award 2022」にて、革新的で将来性のある製品・技術、サービスとして会期中の来場者による投票がもっとも多かったものに贈られる「オーディエンスアワード」を受賞した。

小型ドローン「G6.0」とドローンポート「Nest」 小型ドローン「G6.0」とドローンポート「Nest」

デモンストレーションに用いられた機体は機動力の高い小型のドローン「G6.0」と、自動離発着や充電に対応したドローンポート「Nest」。災害時の遠隔監視や、点検・測量の定期巡回が行える。

ドローンが人の役に立つ社会の実現に向けて

通信事業者であるKDDIがなぜドローン事業に取り組むのか。また、その先にどのような未来を描いているのか。2016年よりKDDIのドローン事業を率い、現在はKDDIスマートドローン代表取締役社長を務める博野雅文は次のように語る。

KDDIスマートドローン 代表取締役社長 博野雅文 KDDIスマートドローン 代表取締役社長 博野雅文

「KDDIスマートドローンは『叶えるために、飛ぶ。』をミッションとして掲げています。ドローン技術とKDDIが得意とするモバイル通信を融合することで新しい価値をつくり出し、お客さまの思いをひとつひとつ叶えること、そしてドローンが人の役に立つ社会を実現することが私たちの目標です。

インターネットの登場により、情報やコミュニケーションといったソフト面のあり方は大きく変わりました。一方、モノというハード面においては、人が運ばなくてはならない点は変わっていません。ドローンは、そんなハード面のあり方を大きく変える可能性を秘めていると私は考えています。

たとえば、日々の買い物に困っている山間部や離島の住民へ、ドローンで効率的にモノを配達できれば、暮らしの安心につながります。都市部で暮らしている人のなかには、買い物に不自由せず豊かに暮らせるなら、地方に移り住みたいと思う人も出てくるかもしれません。高齢化や都市部への人口集中が進むなか、ドローンをそういった社会課題の解決につなげていきたいです。

ドローンが上空を当たり前のように行き交い、人々の生活に溶け込んでいく。そんな社会がやってくることを私は確信しています。そのためにこれからも、パートナーさんと手を組みながら、実証や事例を積み重ねていきたいと思います」

点検・監視・測量・物流などの幅広い領域で活用が進むKDDIのスマートドローン。その背景には、ドローンを通じて社会課題を解決し、より良い社会を実現したいという思いがある。これからもKDDIは、社会の課題解決を技術で支え、社会の持続的な成長・発展を目指していく。

文:TIME&SPACE編集部

※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。