2021/12/21

1,000万人以上が利用する「モバイルSuica」 安心のサポート体制を支える舞台裏とは

JR東日本が提供する「モバイルSuica」。2006年のサービス開始以来、年を追うごとに会員は増え、2021年12月現在の会員数は1,000万人を超える。

モバイルSuica モバイルSuica

電車やバス、タクシーに乗れて、コンビニや自動販売機で買い物ができ、飲食店の支払いにも使える。新幹線の乗車もチケットレスでスイスイ。チャージ残高が足りるか不安なときもアプリですぐに確認ができ、足りなければその場ですぐチャージすることが可能で、定期券もスマホで買える。モバイルSuicaが日々の生活に欠かせないという人は少なくないだろう。

実は、そのサポート体制はJR東日本およびKDDIグループのKDDIエボルバとの協業により支えられている。どのような取り組みが行われているのか、紹介していこう。

利用者の困りごとを解決するサポート体制

便利で使いやすいモバイルSuicaだが、操作や手続きでつまずくこともある。

ログインパスワードを忘れた。チャージができない。スマホを機種変更した際の残高の引き継ぎ方法がわからない――。そんなときはどうすればいいか。

JR東日本は、モバイルSuicaの利用者の困りごとに応えるため、「モバイルSuicaサポートポータル」というサポート専用のWebサイトを設けている。

モバイルSuicaサポートポータル

モバイルSuicaのアプリを起動し、チャージ残高の右側にある「?」のアイコンをタップすると、モバイルSuicaサポートポータルにつながる。

モバイルSuicaサポートポータル

例えば、ログインパスワードを忘れてしまった場合、モバイルSuicaサポートポータルの検索窓に「パスワード」と入力して検索すると、パスワードにまつわる困りごとのリストが表示される。そのなかから「Suicaパスワードを忘れてログインできません」をタップすると、解決方法が表示されるので、案内に従って手続きを進める。

モバイルSuicaサポートポータル

困りごとの発生から解決までわかりやすく解説されており、一連の流れは明快かつスムーズだ。

それでも解決できないときは、電話、チャット、メール、Webフォームのいずれかで問い合わせることになる。窓口は「モバイルSuicaサポートセンター」。モバイルSuica会員専用のサポートデスクだ。

モバイルSuicaサポートセンター

こちらがモバイルSuicaサポートセンター。月間7万件ほどの問い合わせが会員から寄せられるという。

モバイルSuicaサポートセンターでは、会員からの各種問い合わせ、申し込み、手続きなどを、電話、チャット、メール、Webフォームで対応している。急ぎではない場合や営業時間外はメールやWebフォームで、オペレーターと直接やり取りしたい場合は電話やチャットで、といったように、利用者の都合にあわせて問い合わせ方法を選ぶことができる。AIが自動で応答するチャットボットで問い合わせることも可能だ。

JR東日本の課題とその解決策とは

充実のサポート体制を備えるモバイルSuicaだが、サービスを提供するJR東日本はかつて、利用者のサポートにまつわる課題を抱えていた。会員数の増加につれて問い合わせが急激に増えたため、サポート体制を強化する必要に迫られたのだ。

モバイルSuicaのサポート体制を強化するために、どのような対策を講じたのか。JR東日本の鶴谷恭子さんと石澤尚之さんは次のように語る。

東日本旅客鉄道 MaaS・Suica推進本部 鶴谷恭子さん 東日本旅客鉄道 MaaS・Suica推進本部 鶴谷恭子さん

「以前はお客さまからのお問い合わせやお手続きを受け付ける方法として、電話対応のみのコールセンターを運営していました。フィーチャーフォンの時代はそれで十分に対応できていましたが、近年のスマホの普及、特に2016年の『Apple PayのSuica』サービス開始や、JRE POINTのサービス提供により会員数が一気に増え、お問い合わせの件数も急増。サポートの方法として電話以外にも非音声(メール、Webフォーム、チャットなど)によるさまざまな方法を導入することが喫緊の課題となったのです」(鶴谷さん)

東日本旅客鉄道 MaaS・Suica推進本部 石澤尚之さん 東日本旅客鉄道 MaaS・Suica推進本部 石澤尚之さん

「モバイルSuicaのサポート体制の強化に向けて、パートナー企業としてKDDIエボルバさんにお声がけしました。KDDIエボルバさんとは2018年10月からご一緒させていただき、Webフォームやチャットボットといった非音声の方法の導入をご提案いただくなど、サポート内容を順次拡大しながら、2020年3月からは電話を含むすべてのサポート業務をご担当いただいています。電話以外のお問い合わせ方法の導入をはじめとするサポート体制の改革は、KDDIエボルバさんのご協力がなくては為し得ませんでした」(石澤さん)

「KDDIエボルバさんはカスタマーサポート業務に精通したプロフェッショナルが揃っていることに加え、職場の雰囲気が明るいことも魅力です。初めてオフィスにお邪魔したとき、みなさん笑顔であいさつしてくださり、とても好感を持ちました。カスタマーサポート業務の安定した運用には、職場の雰囲気や働く人たちの人柄も大切な要素だと考えていますので、そこもKDDIエボルバさんにお声をかけた大きな理由となりました」(鶴谷さん)

KDDIエボルバはKDDIのグループ企業。KDDIやauなどグループ内のサポート業務を展開するほか、そこで培ったノウハウを生かしてさまざまな企業にコンタクトセンターやサポートセンターのサービスを提供している。

KDDIエボルバの導入事例 KDDIエボルバの導入事例(同社の公式サイトより)

かつては電話のみだったモバイルSuicaサポートセンターへの問い合わせの対応は、KDDIエボルバとの協業により、段階的に非音声の方法へと置き換わっていった。

モバイルSuicaサポートセンターのWebフォーム モバイルSuicaサポートセンターのWebフォーム
モバイルSuicaサポートセンターのチャットボット モバイルSuicaサポートセンターのWebフォーム

「サポート件数全体に占める非音声の受付数の割合は当初10%台でしたが、チャットボットの公開やチャットなどのサポート開始によって50%を上回り、モバイルSuicaサポートポータルのお客さまご自身による解決を図るFAQを充実させた結果、現在は80%を超えています。非音声によるお問い合わせの対応が広がったことで、お問い合わせの件数自体が減り、より多くのお客さまの対応が可能になりました。ノンボイス化を進めることにより電話の応答率も改善され、お客さまをお待たせする時間が短くなるなど、電話によるお問い合わせを希望されるお客さまの満足度向上にもつながっています」(石澤さん)

グループで培った知見や経験を業務に生かす

モバイルSuicaサポートセンターの運用を支えるKDDIエボルバの担当者は、どのような思いでサポート業務に取り組んでいるのか。同センターのスーパーバイザーとして現場を取り仕切る市原優希と矢吹真実に聞いた。

KDDIエボルバ 市原優希 KDDIエボルバ 市原優希

「私たちKDDIエボルバには、auやKDDIのカスタマーサポート業務で培ってきた知見と経験があります。また、KDDIグループはライフデザイン企業として、通信以外にもさまざまな事業を手がけており、そのカスタマーサポート業務において実績を積み重ねてきました。モバイルSuicaという1,000万人以上のお客さまを抱えるサービスのサポート業務をお手伝いするうえで、これまでに得たノウハウを生かしながら、より良いサポート体制の構築を目指しています」(市原)

KDDIエボルバ 矢吹真実 KDDIエボルバ 矢吹真実

「モバイルSuicaは今後もますます利用者が増え、さらに便利なサービスへと進化していきます。私はカスタマーサポートの立場から、その進化を陰から支えていきたい。そんな思いを胸に日々の業務に取り組んでいます。サポートセンターにお問い合わせいただいたお客さまの印象は、モバイルSuicaのサービスの評価に直結します。これからも、お客さまに『問い合わせてよかった』と思っていただけるような質の高いサポートサービスを提供していきたいと考えています」(矢吹)

KDDIエボルバとJR東日本のみなさん

1,000万人以上が利用するモバイルSuica。安心かつ快適に使える背景には、利用者の疑問や問い合わせにスムーズに応えるJR東日本のサポート体制がある。そして、それはKDDIグループで培われた実績やノウハウを持つKDDIエボルバとの協業により、利用者のライフスタイルや時代背景にあわせて進化し続けている。

文:TIME&SPACE編集部
撮影:魚住一夫

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