2021/12/07

「povo」って何?「ゼロからはじめる料金プラン」に込められた想いや誕生の経緯など取材


povoのメインイメージ

2021年9月、au(KDDI)からスマホ向けの新しい料金プラン「povo2.0」がスタートした。CMで目にした人もいると思うが、いったいこの「povo2.0」とは何なのか。「ゼロからはじまるオールトッピングプラン」とはどういうものなのか。povoについての素朴な疑問から、誕生した経緯など、povoの企画・運営を担当するKDDI Digital Life株式会社の中山理賀に話を聞いた。

povoの企画運営担当者 KDDI Digital Life株式会社 セールス&マーケティング部長 中山理賀

「povo」っていったい何?

―――あらためて「povo」とは何でしょうか。

中山:povoは、2021年3月23日に開始したauのオンライン専用ブランドです。お申込みからご利用開始まですべてオンラインで手続きいただけて、auやUQ mobileにはない新しい考え方の料金プランを選択いただけます。

―――どんな料金プランでしょうか。

中山:サービスを開始した2021年3月は、20GBまでご利用いただけるベースプランに通話定額などをトッピングいただく形でスタートしましたが、2021年9月に「povo 2.0」として内容を刷新し、基本料0円から必要なものだけをお客さまに選んでいただくオールトッピング型の料金プランを提供開始しました。

povoの料金プラン

―――実際にはどんなものがトッピングできるのでしょうか。

中山:2021年11月現在では、大きく4つのジャンルからトッピングを選択いただけます。

<トッピングの種類>
・データトッピング
自分が必要な分だけのデータをトッピング。月額の考え方ではなく、遊びに行くその日だけデータ使い放題ができる「24時間データ使い放題」など、自分の使いたいデータ量と日数をベースに選択できる。

povoのデータトッピング内容一覧

・コンテンツトッピング
映像サービスを見たい人向けのトッピング。サービス利用料にあわせデータ通信量もセットのプラン。

povoのコンテンツトッピング内容一覧

・通話トッピング
データ通信だけでなく、電話も必要な人向けのトッピング。

povoの通話トッピング内容一覧

・サポートトッピング
もしもの故障や紛失に備えた保証サービスのトッピング。交換用のスマホお届けサービスなどを利用できる。

povoのサポートトッピング内容一覧

中山:このような4つのジャンルのトッピングから必要な分だけトッピングすることで、自分にあった料金でスマホを利用できるというわけです。

―――極端な話、「5分以内通話かけ放題」だけでいい場合は、月額550円/月でスマホが持てるということでしょうか。

中山:はい、「基本料0円」ですので、シンプルにトッピングの合計が請求額となるわかりやすい料金となっています。

※料金や詳細の適用条件などは、povoのHPなどでご確認ください。

povoはなぜ基本料0円で持てる?

―――「基本料0円」という言葉はインパクトがあります。この0円から使う分だけトッピングするという考え方は、どのような経緯で生まれたのでしょうか。

中山:スタートした当初の20GBにトッピングしていく形は、実はそこまで実際にトッピングするお客さまがいなかったので、社内でも変更しようという話になっていました。これはpovoを企画する「KDDI Digital Life」の考え方ですが、povoの料金プランは「ここで完成」という概念がなく、お客さまのニーズによってどんどん変化していくものだと考えています。

povoの企画運営担当者

中山:povoのサービスを開始した時期は、さまざまな通信会社で格安プランが登場し始め、20GBという料金プランに注目が集まっていたこともあり、同じラインとなる20GBプランからスタートしましたが、その後もずっと「どういう形がお客さまにとっていい料金プランになるのか」という話を続けていました。それには20GBを10GBにすれば良いのか、5GBにすれば良いのかという議論のなかで、お客さまがいちばん自由に、いちばん自分にフィットした料金プランをつくるには、やっぱりゼロからつくってもらうのがいいよねという話になり、今回の0円から必要な分だけトッピングというpovo2.0の考え方に至ったわけです。

povoのオンライン専用プラン

―――そもそもこのpovoが生まれたきっかけは何だったのでしょうか。

中山:ちょうど1年前となる2020年からオンラインのブランドで何か新しいことをやってみようという検討を進めていたのですが、そのなかでさまざまな案が出てきたなか、最終的に「お客さまが主役になれるブランドって何だろう、そういうものをつくってみよう」という話になり、povoの基礎となるトッピングの考え方が生まれました。

―――今まで料金プランは通信会社が提供するものというのが常識だったのですが、お客さまがつくっていくというのは大きな発想の転換だと感じています。そこに至ったきっかけは何でしょうか。

中山:徹底したお客さま目線での検討を繰り返した結果かもしれません。自分を含むお客さまの生活を考えた際、普段から毎日ずっと一定の生活を送っている人はそんなにいないのではないでしょうか。平日と休日でも過ごし方が変わるように、ずっと家にいる日もあれば、ずっと外に出かけている日もある。そういう自分の動きにフィットできる、柔軟な料金プランがあってもいいんじゃないかという考え方がきっかけでした。

povoの企画運営担当者

まず最初にお客さまの生活があって、そこに料金プランを合わせていくという考え方です。povoはお客さまが主役のブランドですから、お客さまの「今こう使いたい」気持ちにフォーカスしたいと思い、この発想に行き着きました。

例えば月末にギガが足りなくて自分のやりたいことをガマンするというのは、料金プランに翻弄されている生活です。次の休日は時間を気にせず好きなドラマや映画を見たい。だから休みの日の24時間だけギガを思う存分に使いたい。そういうお客さまのやりたいことにあわせて料金プランを選んでもらえるサービスを実現しようとしたわけです。

月末あと何ギガしかないとか、逆に何ギガ余ってしまったとか、明細やギガ利用量アプリを見る際に出るお客さまのガッカリを少しでも減らしたい。パートナーシップを結んでいるシンガポールの通信会社「Circles Life」が掲げる「No More 'Bill Shock'(請求書を見て衝撃を受けない料金を)」という考え方でもあるのですが、このガッカリをなくすためにどんな料金プランが良いか、自分たちにできることは何か、ということをみんなで言い合っています。

お客さま視点でのサービス設計

―――このトッピングの内容はどのように決めているのでしょうか。

中山:最終的には「通信料金」の専門家が決めていますが、お客さまの声から実現している企画もあります。「お客さまが主役」と考えた際、私たちは日々お客さまのことを考えてはいますが、結局お客さまのことはお客さまがいちばんよく知っていると思いますので、お客さまとともにつくっていく「共創」の考え方から、「povo Lab パワーユーザープログラム」を立ち上げました。

povo Lab パワーユーザープログラム

この「povoラボ」では、「ぜひ通信会社にヒトコト言いたい」というような熱量の高い方々に集まっていただいて、世の中の流行りは今これだ、だからこういう料金プランがいいんじゃないかなどを話し合っています。応募いただいた方は大学生からサラリーマン、フリーの方などさまざまで、1期は10名の方に参加いただきました。まだこのpovoラボから実際に生まれたトッピングはないのですが、日常生活でギガがもらえるという「ギガ活」という発想はメンバーの方からのアイデアで、実際にどこでギガがもらえると嬉しいかなど、具体的な案件開発のアイデアに至るまでユーザー起点のサービスが生まれてきています。

povo Lab パワーユーザープログラム

povo Lab パワーユーザープログラム

例えば「今年はキャンプが流行っている」ということはよく耳にしますが、実際にそのキャンプでスマホをどう使っているのか。よくよく話を聞いてみると、そこで一日中ストリーミングで音楽を聞いているので、その日だけギガの消費が激しい。それだったら24時間使い放題できたら嬉しくない?など気付きにつながる話が多く、今後もこの「お客さまとともにつくっていく」という活動を大切にしていきたいと思います。そういう思いを、ブランドスローガンの「君にピッタリの自由へ、一緒に。」という言葉にも込めました。

povoのスローガン

―――この24時間使い放題プランもそうですが、当日にトッピングを申し込んで、そのまますぐ使えるということにも驚きました。

中山:その部分もお客さまの声から生まれた考え方です。お客さまの声を聞くと、「来月まで待つ」ではなく、「今ほしい、今日ほしい」です。その思いをかなえる料金プランでありたいという気持ちから、今までのスマホ料金の月額の概念を変えたいと考え、都度課金方式を採用しました。

もうひとつ変えたかったのが、料金プラン変更への抵抗です。ケータイの料金プランを変えるとなると「翌月から変更、手続きが面倒」など、変えたいときにすぐ変更できないという声を上げる人が多かったことを受け、できるだけかんたんに、しかもできるだけすぐに変更できる仕組みづくりにチャレンジしました。

povoキャラクター

結果として、povoでは都度課金と後払いと前払いの3つの支払い方法が混在することになり、請求システムのつくり込みで現場は大変になったのですが、お客さま体験としては、オンライン上でボタン数回押すだけでトッピングをすぐに変更できる仕組みをなんとか実現できました。ほしいときだけ申込みができてパッと使える。これからもそんなお客さまの思いを実現するブランドであればと思っています。

―――そんなお客さまのことを考えると、オンライン以外のサポートがほしいと思う人もいると思うのですが、いかがでしょうか。

中山:オンライン専用だからこそ、会社としても従来よりお得で柔軟な料金プランを提供できています。確かにauショップやお電話でのサポートはありませんが、オンラインではしっかりサポート体制を用意しています。とはいえ、お店で実際に対面で相談したい方もいらっしゃると思いますので、店頭や電話でのサポートなどが欲しい方はauやUQ mobile、そしてオンラインで自分の好きな時間に手続きができて、サポートもオンラインのほうが都合が良い方はぜひpovoと、au回線を利用した3つのブランドをうまく選択いただければと思います。

auのマルチブランド戦略

―――povoは今後さらに3.0、4.0と進化していくのでしょうか。

中山:今のpovo 2.0が完成形だとは思っていません。もっとこういうのがいいよ、というお客さまの声が増えれば、名称はともかく、トッピングの種類を追加し、もっと良い使い方のためにトッピング内容を変えていけば良いと考えています。カフェでも季節限定のトッピングがあるように、トッピングメニューはどんどん変わったり増えたりできるものとして、お客さまにより楽しんでいただけるために変化していきたいと思っています。

―――今後どんなトッピングが出るのか楽しみにしています。

中山:auはご利用いただいているお客さまも多く、冒険的なことがしにくいのですが、povoは新しいブランドですので、今までできていなかったことをやる役割だと思っています。povoでの成功事例をauやUQ mobileにも共有できれば、3ブランドそれぞれでより良いサービスになっていきますので、今後もauを先導するタグボートのような形で、お客さまのやりたいことを実現し続ける存在であり続けたいと考えています。

―――お客さまの生活が先にあって、それをかなえる存在。オンラインだからこそできることや、トッピングだからこそできることにチャレンジしていく今後のpovoに期待したい。



文:TIME&SPACE編集部

※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。