2021/09/07

日本中に感動を!スポーツ国際大会の映像を途切れることなく届ける舞台裏とは


国際スポーツ大会でKDDIが映像配信ネットワークを支えた裏側

多くの感動を生んだ世界的スポーツの大会。今回は無観客で開催されたため、TVやスマホで観戦した人も多いのではないだろうか。その映像を途切れることなく届けるため、KDDIはこの世界的スポーツの大会において、映像伝送のネットワークを支えつづけていた。

各地のスポーツ映像を放送局に届ける仕組み

例年、世界的なスポーツ大会では、各国の放送局向けに現地特設スタジオとして「IBC(国際放送センター)」が開設される。自国開催である今回は、そのスタジオが東京ビックサイト内に設置され、そこに集められた映像は、KDDIが用意した専用線で日本国内の放送局に届けられた。

IBC(国際放送センター)とMPC(メインプレスセンター)が設置された東京ビッグサイト IBC(国際放送センター)とMPC(メインプレスセンター)が設置された東京ビッグサイト

この各地の競技会場で撮影したスポーツの映像は、どのようにして各放送局に伝送されたのか。その舞台裏について、KDDIの担当者に話を聞いた。

スポーツの国際大会の映像ネットワーク構築を担当したKDDI社員 左から、KDDI 映像サービスセンター 沢本大吾、太田 全、ソリューション5部 小島禎文

国際大会での映像伝送の仕組み

―――今回、KDDIはどのような役割だったのでしょうか。

沢本:私たちの役割としては大きく2つ。ひとつが「今回の映像伝送に必要な設備と専用線をIBCと放送局との間につくること」、そしてもう一つが「大会の期間中、事故なく映像を送り続けること」です。

世界的なスポーツ大会の映像伝送は私たちにとっても特別な仕事の一つで、今までもさまざまな大きな大会でのライブ映像の伝送を担ってきましたが、常に、最善の注意を払って、事前準備から運用まで行ってきました。

映像伝送を行ううえで特に私たちが大切にしているのは、「もらい受けた映像信号を途切れさせることなく放送局に受け渡すこと」です。ご自宅やスマホで見ている多くの人のためにも、その映像は絶対に途切れさせてはいけません。そのため、IBCから各放送局への中継は、まったく同じ映像データを異なるルートで伝送できるよう、複数の専用線を用意しました。

スポーツの国際大会用に設置された映像伝送用の専用回線の概念図

この異なるルートを確保することで、片方のルートでなにかトラブルがあったとしても、一瞬たりとも映像が途切れることなくルートを切り替えて伝送することができるのです。

桁違いの大容量データ伝送への挑戦

小島:専用線の準備と並行し、映像伝送に必要な設備も準備しました。今回のイベントは自国開催ということもあり、各放送局の意気込みは相当なもので、KDDIにも4K、8Kと従来より高画質=大容量データの伝送が求められました。いままでの数ギガの伝送に対し、今回は数百ギガという、これまでとは比べ物にならないデータ伝送へのチャレンジです。

太田:この大容量データの伝送に対応するため、今回は従来よりも大きなサーバーを格納できる、新しい伝送設備を使うことにしました。私たちも初めて扱う設備のため、その構築には相当の時間を要することとなりましたが、いちばん大変だったのが、事前の不具合パターンの洗い出しです。


スポーツの国際大会用に設置された映像伝送用のKDDI映像伝送設備 ズラッと並ぶKDDIの伝送設備

太田:万が一、大会の当日に何か起きてしまったとしても、いかに早く復旧できるかがこのネットワークを任された者の使命です。そのためには、設備が出すエラー表示が何を示すかの確認から、その復旧方法の検討、対処法の確立、実践。それがどれだけのパターンがあるのか、エラー項目をすべて洗い出し、すべて事前に復旧作業のシミュレーションを終えていなければなりません。

もちろん何も起きないことが当たり前の世界ですが、何か起きてもすぐに復旧できる。そんな万全の体制で当日を迎えられるよう事前の検証と緊急時の体制づくりが一番の課題でした。

スポーツの国際大会用に設置された映像伝送用の設備におけるKDDIによる事前の運用環境を整備している様子 運用環境を整備している様子

太田:こうして準備した伝送設備と専用線ですが、最後にIBCや各放送局などそれぞれで準備した設備すべてをつなぎこみ、一貫したネットワークとして機能できるかの接続試験を行わなければいけません。新型コロナウイルスの影響で開催が一年延期になったものの、実際にこの最後の接続試験に取りかかれたのは、なんと大会の2週間前。

それぞれの組織のなかで別々に準備してきたものを、たった2週間という限られた時間のなかで接続確認をしなければいけないというプレッシャーは、相当なものでした。

そして接続試験当日。一回目の接続試験ではうまくいかず、どこでエラーが起きているかを探すことになったのですが、なにせ時間がありません。このときはIBCと各放送局すべての設備に出向き、交代で昼夜土日問わず、リアルタイムに連絡を取り合いながら、その場でトライ&エラーを繰り返し、原因を切り分ける作業を行い、なんとか当日を迎えることができました。

スポーツの国際大会用に設置された映像伝送用の設備におけるKDDIによる設置の様子 KDDI社員による伝送設備の作業風景。作業はすべて内製で行われた。

スポーツの国際大会用に設置された映像伝送用の設備におけるKDDIによる設置の様子

スポーツの国際大会用に設置された映像伝送用の設備におけるKDDIによる設置の様子

沢本:もちろん、映像伝送のネットワークを構築してもそこで終わりではありません。期間中は、もうひとつの大事な役割である「事故なく映像を送り続けること」ができるよう、交代制で映像が適切に伝送できているかを監視し続けることになります。いわゆる“寝ずの番”です。今回、東京ビックサイトに設置された「IBC(国際放送センター)」での勤務はチームを組み、24時間映像を監視し続けました。


スポーツの国際大会の開催期間中、映像伝送の状況を監視する人たち 大会期間中、映像伝送の状況を監視する様子

―――私たちがリアルタイムで映像を見ることができている裏側には、現場で働く人のたゆまない努力があることがわかりました。特に今回の大会は、世間的にも新型コロナウイルスの影響を大きく受けた大会でしたが、準備にも影響があったのでしょうか。

太田:部品の調達などの影響もありましたが、一番の影響は心理的な負担です。新型コロナウイルスの影響で、もしかすると大会自体がなくなるかもしれない。開催を望んでない人の声も聞こえてくるなか、本当にこの仕事をやるのか。やりきれるのか。メンバー全員、モチベーションを保つのに本当に苦しかった一年でした。

それでも、トップアスリートの躍動する姿を自宅で見たい人がいるのであれば…。メンバー一同、その思いだけでやりきった一年です。

もし今回の大会の映像を見て、ひとりでも心動かす瞬間があったのなら、その瞬間こそが、私たちの仕事の成果だと思っています。

―――スポーツの感動を届ける裏側には、通信のチカラと働く人々のゲンバダマシイがあった。KDDIは、これからも期待を超える感動を届けるためにつなぎ続ける。



文:TIME&SPACE編集部

※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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