2021/08/06

『自転車ながらスマホ』を撲滅!KDDIと東京都が連携した取り組みやVR教材とは

自転車事故が社会問題として注目されている。警察庁の発表では、全交通事故に占める自転車関連事故の比率は2016年が18.1%だったのが、2020年には21.9%と増加傾向だ。自転車ながらスマホによる事故は、2013年は53件だったが、2019年は87件と約1.6倍に。過去にはスマホを操作しながら自転車を運転していた人が、歩行者に衝突した死亡事故が発生。賠償金請求額も高額化している。そして、2019年12月1日から道路交通法が改正され、スマホを使用しながらの自転車運転への罰則が強化された。

フードデリバリー

法整備が進む一方で、コロナ禍以降はフードデリバリーの需要が高まった影響もあり、配達中の自転車事故の防止が課題に。警察庁や厚生労働省は事業者に向けて、配達員が交通事故でケガをしたり、通行人に危険を及ぼしたりすることがないよう、交通事故防止のポイントを周知し、啓発活動を行っている。

全国で自転車保険の義務化が進む

このような背景から、自転車保険の加入を義務づける自治体が増えている。2021年7月時点で、加入を推奨・義務化している地域は以下のとおり。

自転車保険の義務化を推奨する全国の自治体。2021年7月現在 au損保調べ 自転車保険の義務化を推奨する全国の自治体。2021年7月現在 au損保調べ

2021年4月1日より、宮城県、群馬県、千葉市、岡山市、宮崎県で自転車保険の加入が義務化された。また、6月1日からは大分県でも義務化がはじまり、今後も義務化の動きは拡大傾向にある。

自転車ながらスマホの危険性をVRで伝える

自転車事故という社会課題の解決に向けて、KDDIはナビタイム、au損保と連携し、自転車ながらスマホの撲滅と高額賠償への備えに関する意識向上を図るための「自転車安全・安心プロジェクト」を2017年9月から行っている。

たとえば、VRを活用した取り組み「STOP! 自転車ながらスマホ体験VR」は、自転車ながらスマホ時と、通常の自転車運転時の視野やブレーキ反応速度が比較でき、自転車ながらスマホの危険性を疑似体験するというものだ。

「STOP! 自転車ながらスマホ体験VR」のイメージ

これを活用し、自転車乗車中の交通死傷者が多い高校生(警察庁の統計より)を対象に、スライドムービー、「STOP! 自転車ながらスマホ体験VR」、ワークショップをセットにした「自転車ながらスマホを防ぐVR授業キット」を用意。キットを学校に貸し出す仕組みで、教員はわかりやすく授業を行うことができ、生徒は自転車ながらスマホをVRで体験し、その危険性や問題点を考えることができる。

「自転車ながらスマホを防ぐVR授業キット」のイメージ

2019年3月には神奈川県鶴見大学附属高等学校で、キットを使った初めての授業が行われた。実際に自転車に乗りながら、VRを使って自転車ながらスマホ時と通常運転時の視野やブレーキ反応速度の比較を疑似体験。生徒からは「ながらスマホではブレーキをかけるまで3秒かかったのが、普通の運転では1秒でした。スマホに集中するとこんなにまわりが見えないんだって驚きました」といった声があがるなど、VRを通じて、ながらスマホの危険性を認識できたようだ。

神奈川県鶴見大学附属高等学校で行われた「自転車ながらスマホを防ぐVR授業キット」を利用した授業

実際に「STOP! 自転車ながらスマホ体験VR」を体験してみた。VRゴーグルとヘッドフォンを装着し、左手にスマホ、右手にはブレーキ操作を行うためのリモコンをスタンバイ。ながらスマホの状態を再現し、目線を手元のスマホに落としてVRを体験する。

「STOP! 自転車ながらスマホ体験VR」

VRの映像では、自転車が進むと手前にクルマが現れ、その陰から歩行者が飛び出してくる。だが、手元のスマホを見ているため視野が狭く、慌ててリモコンのボタンを押してブレーキをかけても、目の前には歩行者が……!自転車運転中、スマホに集中してしまうと、いかに視野が狭くなるかがよくわかった。

「STOP! 自転車ながらスマホ体験VR」の画面 「STOP! 自転車ながらスマホ体験VR」のワンシーン

KDDIは2020年末に東京都とのパートナー協定を締結

このようにKDDIは自転車ながらスマホ撲滅のための啓発活動を行うなか、2020年12月23日には東京都と自転車の安全で適正な利用の促進に関する協定を締結した。KDDIは東京都と協定を締結して、「東京都自転車安全利用サポーター」となり、社会全体での自転車安全利用を促進するために、都と連携した取り組みを進めている。

「東京都自転車安全利用サポーター」のロゴ

東京都の都民安全推進本部の串田治城さんに、都における自転車事故の現状や、KDDIの啓発活動に期待する点を聞いた。

東京都 都民安全推進本部 総合推進部交通安全課長の串田治城さん 東京都 都民安全推進本部 総合推進部交通安全課長の串田治城さん

「東京都の自転車関連事故件数は2010年が19,891件でしたが、2020年は10,407件に減少しています。しかし、全事故に占める自転車事故の割合は40.6%あり、全国平均の21.9%と比べて非常に高くなっています。信号無視など、自転車側になんらかの違反があったとされる事故の割合が、2020年には5割を超えるなど、利用者のルールやマナーも課題となっています」

もちろん、自転車ながらスマホも道路交通法で禁止されている危険行為にあたる。

「KDDIさんがVRを用いた自転車ながらスマホ防止の啓発活動に力を入れていることを、我々は心強く思っています。過去に東京都立町田工業高等学校で行ったVR授業に参加しましたが、生徒たちから『ながらスマホ運転の怖さがよくわかった』という声をたくさん聞きました。VRという新しいツールを使っての教育は、高校生には非常に新鮮なようで、楽しみながら学べる点も良いと思います。KDDIさんには、VRを用いた自転車の交通安全教育を継続していただくことを期待しています。

また、2020年4月1日から東京都では自転車保険加入が義務化になりました。都としては保険の加入を促進している状況ですが、都内で多数の店舗をもつKDDIさんには、安全な自転車利用の促進を多くの方に周知していただけると期待しています」

東京都立町田工業高等学校でのVR体験 東京都立町田工業高等学校でのVR体験

自転車安全・安心プロジェクトを推進する、KDDI パーソナル事業本部 小河原 晃子に、今後の活動について聞いた。

KDDI パーソナル事業本部 サービス統括本部 サービス開発3部 小河原 晃子 KDDI パーソナル事業本部 サービス統括本部 サービス開発3部 小河原 晃子

「これからもVRを活用した体験授業やイベントを全国で行い、多くの方に体験していただければと思っています。今後もVRを使って自転車の運転中に注意喚起できることがないかを検討していく予定です。

また、都内のauショップには月に10万人のお客様が訪れます。auショップではスタッフのネームプレートに『東京都自転車安全利用サポーター』ロゴを掲載するとともに、カウンターPOPやお客様に対して東京都が制作しているチラシなどを配布し、自転車の安全な利用に関する注意喚起や保険への加入義務化の啓発活動を行っています」(小河原)

auの東京都自転車安全利用サポーターの活動

最後に、串田さんに自転車に乗る人たちへのメッセージをいただいた。

「大人の運転マナーは子どもたちが見ています。子どもたちの悪い見本にならないように、自転車に乗るときの基本ルールやマナーを守っていただけるようお願いいたします。東京都では『自転車安全利用五則』を掲げていますので、ぜひ一度ご覧ください」

東京都の自転車安全利用五則

サービス面でも自転車生活をサポート

これまで伝えてきた自転車ながらスマホの撲滅の啓発活動に加えて、KDDIではサービスでのサポートも行っている。月額500円(税込550円)で家族全員※が利用することができる自転車保険「au自転車サポート」は、au Style/auショップで契約が可能なことに加え、自転車のパンクなどの身近なトラブルから万が一の事故までサポートしてくれる。
※会員ご本人、その配偶者、同居の親族ならびに別居の未婚のお子さまとなります。

au自転車サポート

「自転車ロードサービス」「自転車事故サポート」「生活電話相談サービス」の3つのサービスに加え、さらに最大1億円まで補償する個人賠償責任補償などの保険を付帯している。UQ mobileやpovoをはじめとした、auユーザー以外の方も加入できるので、まだ自転車保険に入っていない人は、ぜひ検討してみてほしい。
※決済方法は、auかんたん決済となります。 ※サービス利用開始日および課金開始日は申込受付の翌日からとなります。 ※サービス開始月は日割りにてご利用料金が発生します。 ※月の途中での退会申込の場合は月末までサービス継続となり、満額にてご請求となります。

これからもKDDIは、スマホを提供する企業の社会的責任として、自転車とスマホの安心安全な共存に向け、啓発活動・サービスの双方からさまざまな取り組みを行っていく。

文:TIME&SPACE編集部

※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。